日本では郵趣(Philately)のことを一般に切手収集と訳すため、どうしても切手にしか目が向かない傾向があります。かつての切手収集ブームの残照から、ともすれば子どもの遊びとの先入観が持たれることもあれば、利殖・売買目的かのように曲解される場合すらあります。ですが、ヨーロッパで始まった郵趣は本来、社会と郵便との相関関係を読み解くものであると知ったことから、自分もまた広義の郵趣をと心がけています。そこで、こんなものも収集しているんですよという実例をいくつかご紹介したいと思います。個人情報を知りたくて集めているわけではないことを正しくご理解いただき、ご協力いただける方がおひとりでも増えればたいへん幸せます。
名簿流出で現在進行形の大問題が発生しているベネッセコーポレーションからのお詫び郵便をGETした記念に。
◆JPエクスプレス
2010年7月1日、JPエクスプレス宅配便(日通のペリカン便)はゆうパックに統合されることになりました。その直後から完全なオーバーフロー状態に陥り、大規模な遅配を引き起こしてしまいました。折しもお中元のシーズンで大変なニュースになりました。左は7月30日に自宅ポストに投函されていたお詫びチラシです。全国一斉に配布されたものでしょうが、99.999パーセントは捨てられたものと思います。また、右は7月14日付の書籍を送った実際の荷札です。引き続き事件の核心であるお中元荷札が残されていないか今も探しています。

◆リコール通知書
日産自動車から送られて来たリコールのお知らせ郵便です。リコール自体も収集意義がありますが、ふつうは料金別納・後納であることが多いので、切手貼り・鮮明消印であることもポイントが高いと思います。この他に松下電器さんから送られて来た20~14年前のナショナルFF式石油暖房機を探しています、との呼びかけ郵便も残しています。

◆交通違反督促状
スピード違反等を起こした際の罰金を支払わないでいると、このような配達証明郵便が送られてきます。大分県庁内局、昭54年4月2日消印です。中身はありません。これも捨てられるのが当たり前な部類ですので2通しか所持していません。自分が違反をして罰金を払わなければいいんですがね、さすがにちょっとそれはね(笑)。

◆第一生命 第一回定時株主総会議決権行使書
第一生命さんが株式会社になった際、保険のおばさまがたに勧められた通りに株主になりました、わずか2株ですが(笑)。すると必然的にこれが送られてきました。これはコレクションするべきでしょう!。

◆防府市最初のカード型国民健康保険被保険者証
わが街防府も平成24年からカード型保険証になりました。その際の郵送物一式です。もちろん最初のカード型、最後の折りたたみ型いずれの保険証実物も残してあります。

◆配達地域指定ゆうメール
平成22年5月1~5日、新システム移行のためにATMはじめすべてのオンラインサービスを止めた時の予告で、山口県内全域に送られた配達地域指定ゆうメールです。郵便制度面の資料価値とともに銀行史的にも意味があると思います。

◆原子力立地給付金振込通知書
鹿児島在住時代、川内原発のある薩摩川内市に隣接するいちき串木野市(旧串木野市)に住んでいました。原発があることのいわば地元対策費の一環で、九州電力から毎年3,000円もらっていました。これが薩摩川内市なら5,000円だったと記憶しています。味も素っ気もないただの料金後納郵便はがきですけれど、原発絡みの郵便資料として他の原発地域のものも入手したいと思っています。

◆労災支給決定・支払通知書
3ヶ月間しかなかったはがき30円料金時期の使用例としてもふさわしいのですが、コンテンツの方が気に入って入手しました。仕事柄、労災認定云々も身近なことですけれど、安全対策が厳格な今では滅多に体験することがありません。その労災の通知書なんて見たことがありませんでした。

◆国民年金保険料免除通知書
これも制度としてはあることは知ってはいますが、自分自身が該当することはまずありません。個人情報そのものですし、これが郵趣市場に持ち込まれる機会は決して多くはありません。

◆杉良太郎さんからのお誕生日カード
後援会、ファンクラブ会員への特典として送られたものでしょう。こんな柔らかいアイテムも気が付けばGETしています。切手貼りで送ってくださるのならタレントさんのファンクラブに入ってあげてもいいです(笑)。

◆クーリング・オフ通知書
これも実際に制度利用した経験のある人は多くないのではないでしょうか。しかもこちらが差し出す側ですから手許に実物が残らないために稀少度はさらに上がると考えます。

◆定額給付金申請書一式
平成21年のことですからわずか3年前のものです。それでも当時の送付物現物のほとんどが失われていることと思います。意識して残していかないと完全にわからなくなる典型例です。と同時に行政区内全戸に郵送される(信書に該当するため宅配メール便は使用できなかった)郵便区内特別郵便であり、郵便資料としても最適なものと考えます。もちろん、政経資料としての意味が第一であることは言うまでもありません。

このように硬軟取り混ぜてアンテナに引っかかったものは極力残すようにしています。不幸の手紙といった民俗資料もあれば、今ではありふれた存在の圧着はがきの極初期使用例、逆に今では絶滅してしまった湿式コピー(ジアゾ式)印刷の郵便物などもあります。プリントゴッコで印刷されたはがき類などもいずれ珍しくなる時代が来るかもしれません。
残す価値があるかどうかわからないという声を良く聞きます。それは間違いです。価値があるかどうかわからないからこそ収集するのです。断捨離は絶対にいけません。現代の焚書坑儒のようなもので、まったく許しがたい蛮行です。
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