
以前、声優さんたちが自分の声をAIが自動合成して使うことに反対しているニュースを見ました。著作権の侵害であり、そんなことを許したらおまんまの食い上げだというのはごもっとも。その一方で、どんなに規制しても無理だろうなあとも思いました。たとえ法律を作ったところで悪意がある模倣者はやらかすものだし、現実的に著作権侵害がないかどうかをいったい誰が監視するんですか?、無理でしょう。
デザインの世界の方がもっと深刻で、納品したイラストをお客さんが勝手にAIで改造しただの、2次利用されたのにギャラをもらえないなど、あれこれネットに流れてきます。ところが、私を含めて老害クラス(私がいかに老害と戦ってきたか何も知らんくせに私を「老害」呼ばわりしてきた舐め腐ったガキがいたので、あえて勲章として自称することにしました🤣)のデザイン職は冷めて見ています。むしろ、AIがどこまで仕事ができるようになるのか、楽しみに眺めているというのが大方であろうかと思います。流用・改変ごときであたふたするのはキャリアが浅いか、真面目に過ぎる人だけです。
流用・改変どころか無断盗用されるなんてのはAI以前から普通にありましたからね。私ですら何回もあります。AI云々に関係なく、自分の著作物を守るのは法律ではなく自分の頭脳しかないのです。最初から2次使用の項目を契約書に盛り込むとか、著作権を丸ごと売り渡す代わりにデザイン料以外に数倍の金額を上乗せするなど、対策はいくらでもあります。それをしないでのほほんとしている方が悪いのです。
クライアントさんの職種によっては改変を認めてもらわないと使い勝手が悪くなる場合が少なからず。現実的には著作権を含めてデザインを売り渡すのが良いでしょう。金額が折り合うかどうかはあなたの交渉力次第です。
切手の世界でもAIを使ったデザイン切手が9件認められます(20260501時点)。AI生成ですよと言われなければそれとはわかりませんが、かといって人力を凌駕するようなできばえでもありません。だからこそ”AIがどこまで仕事ができるようになるのか、楽しみに眺めている”のです。
私的にあれこれ作画してもらっていますが、おおむねリベラル傾向が強すぎてなんの毒もない平凡なものしか上がってきません。実際にあった例としては「浮浪者」はダメでした、作画自体を断られました。理由は差別を助長する懸念があるからだそうです。差別かどうかはこっちが判断するからと言ってもNOでした。昭和の老害風に言うと「こいつ、使えねえな」です。
常識ギリギリを攻めなくてはならない場面ってのは普通にあるので、つまり、常識の範囲内で既視感のある凡庸なデザインをさせるだけなら良いのですが・・・断言すると当面創造性は期待できないってことです。
とはいえ、デザイナー職の求人自体が激減する未来が来るであろうことは確実です。AIに指示を出す審美眼のあるアートディレクターやビジネスとして成立させる役割のプロデューサーは生き残れるでしょうが、並のデザイナーは必要ではなくなります。イラストレーターもその人にしか描けないというレベルのごく一部を除いて必要とされなくなるでしょう。それでも業界としてはそんなに心配してはいないように見えます。これもAI云々以前に既に職種自体がなくなるという経験をしているからです。
デザイン業界にパソコンが入ってきて街中の写植屋さんが壊滅。元オペレーターさんなんかも多いことと思います。さらに設備面ではジアゾ式図面コピー機(いわゆる青焼き)も、大型のライトテーブルもとっくになくなりました。製図盤ももう絶滅危惧種でしょう。手描き図面を持って行ったらパソコンが故障したのかと心配されるのがオチです。
図は今年ドイツが発行したグリーティング切手「花」です。裏糊式とセルフ糊式が同時発行されました。この図案がAI生成です。じきにAI生成が当たり前になり、特に注記されることもなくなるでしょう。デザイン業界で生き残る自信のない方は早めに転職してください。
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