偏光視覚切手

December 27, 2012

追悼・ジェリー・アンダーソン氏

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 1965年に初めてテレビで放映され、世界的な人気を博したSF人形劇「サンダーバード」シリーズの生みの親で英国のテレビプロデューサー、ジェリー・アンダーソン氏が26日、英国内の老人ホームで死去した。83歳だった。BBC放送などが伝えた。アルツハイマー病にかかっていた。
 1929年ロンドン生まれ。1940年代から映画製作に関わり、精巧なセットと操り人形でSFの世界を表現する独自の手法を確立した。
 当時の妻シルビアさんと共に制作した「サンダーバード」シリーズは近未来の国際救助隊が主人公。近年も人気を集めている。(毎日新聞社・共同通信社)

 図版はイギリス・ロイヤルメールが2011年に発行した「昔の子供番組」切手から小型シートをご紹介します。41pサンダーバード4号、60p 同3号、88p 同2号、97p同1号。地に同5と地球。レンティキュラー印刷で発進場面を再現しています。
 原題は"FAB: The Genius of Gerry Anderson"。映像作品プロデューサー・ジェリー・アンダーソン(1929-2012)による特撮テレビ番組(APフィルム制作)です。
 また、YouTubeに発行当時のPVがありますのであわせてご紹介します。お元気だった当時の姿を拝見することができます。


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August 06, 2011

国立印刷局のパールインクカード

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 いやあ見事に何も見えませんね。先の日本国際切手展会場で国立印刷局さんが無料配布していたカード2枚の画像です。みなとみらい地区の夜景を描いたもので、いずれも記念銘とともにパールインクで花火がプリントされています。いや、まったく見えませんね。スキャナーで読み取ろうとしてもこのようにただの夜景にしか見えないので、これを取り上げたブログ、サイトはないようですが、しかし、それこそが意味のあることなのです。

11080602 カラーマーク部分の拡大図です。左から4つまではスクリーン印刷(プロセス印刷)のCMYKの4色がYMCKの順で並んでいます。問題はその右側の3つ。淡いオレンジ、シアン、パープルの特色にパールパウダーが混入されているらしいことが示されています。「らしいこと」と曖昧な表現をしているのは、肉眼だけで判別できるレベルのものではない最新鋭の精密印刷だからです。係員さんにパール印刷ですよと説明されたから、自分もああそうなのかと思う訳で、説明なしに解説することなどまず無理です。それだからこそ、諸外国ではこの技術は切手よりも先に紙幣印刷に使われているのです。
 印刷を業とする者は、その試作品にみずからの最も得意な表現を込めます。まず指先で触ってみてください。パールパウダーが極めて微細なために特に盛り上がりもなく平滑に刷り上がっています。パール原料の雲母は細かく砕くとその輝きが減じてしまううえ、インキの皮膜が薄くても同様に効果が減退してしまいます。そしてあえて漆黒の闇夜を背景にしたのは、いかなる濃色印刷上であってもパールインクの輝きを損なうものではありませんという同局の自信を示しています。このカードをもらった方々、今一度手許に置いて見る角度をいろいろ変えて眺めて触ってみてください。

11080603 紙幣印刷に用いられるほどの特殊技術であるため、専門的には雲母の他にさまざまな原材料が使われているもののセキュリティーの面からその詳細が公表される機会は限られています。また、肉眼で区別をするのもほぼ困難であることから、郵趣シーンでは「偏光視覚切手」という大まかな表現を使うようにしています。その実例を7点ご紹介しておきます。

(1)£5ウィンザー城普通切手/イギリス(1992)
 公表されている世界最初の偏光視覚切手。見る角度によってエリザベス2世女王のシルエットがさまざまな金属的光彩の変化を示します。スイス・ローザンヌのシクパ社(Sicpa)が開発したパール顔料入りです。同時発行された£1、£1.50、£2各高額普通切手にも偽造防止目的のために使われています。と同時に世界最初の楕円目打切手でもあります。ハリソン父子社製。

(2)£1エリザベス2世女王普通切手/イギリス
 現行のイギリス切手の例。背景全体が偏光視覚になっていることが普通になってきた感があります。特に珍しい感覚もなくなってきました。日本のメルク株式会社が開発したパールインクの一種「イリオジン(iriogin)」を使用。デ・ラ・ルー社製。

(3)真珠/オーストラリア(1996)
 真珠の部分にパールインクを刷り込んでいます。発行当時の資料によるとフォイルテックス加工と言うそうです。

(4)指揮者トスカニーニ没後50年/イタリア(2007)
 印面左と下辺にL字型で入っているオレンジの帯部分にclear-gold interference inkなる乱反射・光干渉インクが加刷方式で塗布されています。パールインクではないようですが偏光視覚効果は明りょうです。

(5)国際女性の日100年/中国(2010)
 女性の青い横顔部分が偏光視覚。見た目にはパールインクそのものですがさすが中国、何のインフォメーションもありません。この不遜な態度ゆえにレベルの高い収集家ほどうんざりして中国切手を集めなくなるという大損をしていることすらも無視しているようです。さすが独裁国家は違うねえ。

(6)蛾/フィンランド(2008)
 ヒトリガを描く第1種用無額面切手(€0.70相当)。パール顔料で羽根を開いた状態(半分)を印刷しているのですがスキャン画像には全く再現されません。実物でご確認を。

(7)漫画シリーズ第9集・炎の剣小型シート/韓国(2007)
 印面右下に馬の線図が見えます。普通シートでも同様の加工が施されています。Korea Minting & Security Printing Corporation製。

 なお、国際展会場で「このパールインクは印刷局さんで独自に開発されたものですか?」と質問しました。池上某であれば、いい質問ですねえ、と誉めてくれそうなものですが現実にはそうではなく、一瞬戸惑った表情をされた後「独自ではないです」と正直にお答えいただきました。となるとドイツ系のあの会社かな?・・・などと思う私でした。
 広く偏光視覚技術ということであれば日本切手でも既に2002年の切手趣味週間切手「賀茂競馬図屏風」2種で初めて使われたメタリックマルチイメージ印刷があります。しかし、国際展でPRをしたとなると、いよいよ日本切手でもパールインク・イリオジンインクが使われる日が近いのかな?・・・とも思う私でした。

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November 19, 2010

シロナガスクジラ

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 郵趣12月号用の連載記事が責了しました。次の新年1月号は毎年恒例のJAPEX特集号なので私の連載も1回お休みです。そのお休み号にちょうど重なりそうな大ネタがありますのでブログでご紹介することにしました。2010年10月4日にカナダが発行した10カナダドル普通切手「シロナガスクジラ」です。
 第一印象はとにかくデカい!。縦49ミリ×横128ミリもあり、カナダ郵政によると同国最大の切手だということです。縦2枚連だけでフルシートという貫禄です。
 Canadian Bank Note社によるリソグラフ(オフセット)4色+シルクスクリーン+凹版の計6色印刷。発行枚数は2面シート(普通シート)で150万枚(75万シート)、アンカットプレスシートが1,000シート。マイクロ文字、UVインク、見る角度によって異なる光彩を放つ偏光視覚印刷等、様々な特殊技術を駆使しています。そして、凹版彫刻の冴えが非常に見事です。線の強弱だけで重量感まで伝わってくる優れた表現力を感じます。また、カラーマークがスキューバ・ダイバーの形をしているのも面白いです。実逓カバーが欲しいざんすねえ〜。

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June 14, 2010

国際女性の日100年

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 郵趣サービス社さんから毎月恒例のワールド・トピックス頒布会リーフが送られてきました。3アイテムのひとつが国際女性の日100年で、中国のこれはまったくノーマークでした。現物を見てありゃま!、女性の横顔を表す青色部分がキラキラ輝いているではありませんか。マイクロスコープで観察すると光る小粒子がはっきりわかります。おそらくパールインクまたはイリオジンインクと呼ばれる偏光視覚印刷です。もちろん、中国切手には定番の紫外線反応インクによる記号(数字)もあります。前者は偽造防止、後者は横流し防止のために用いられている特殊印刷ですから、やはりと言うべきか中国は複合的に対策しなければならないほどヤバイ郵便環境ということなのでしょう。

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March 08, 2009

極地保護切手

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 『2007年にフィンランド、チリ両国の大統領が提唱し、両国の郵政事業体の呼びかけに賛同した42の国と地域において、切手を通じて、世界中の多くの人々に南極・北極の極地保護及び氷河の保護を訴え、地球温暖化という世界的な環境問題に関心を持っていただくために、2007年からの第4回国際極年(International Polar Year)にちなみ、環境問題を題材とした「極地保護切手」を共同発行します。
 各国と地域の切手は、環境問題を題材としてそれぞれ独自のデザインにより発行しますが、共通デザインとして、シンボルマーク「アイスクリスタル」(切手シート左上部のマーク)とスローガン「極地と氷河を保護しよう!」を記載した小型シートとして発行します。』

 上記は日本郵政のホームページに掲載されている極地保護切手の説明文です。また、図版はノルウェーが発行した極地保護切手です。国際テーマでの発行ですから、日本切手であろうとノルウェー切手であろうと主旨は相通じるものがあって当然です。ノルウェー切手には様々な特殊加工が施されているのですが(後述します)、それを差し引いて図版を見ただけでも発行意義や目的(=コンセプト)と切手の出来ばえ(=デザイン)がぴたっと一致していることにどなたも納得されることと思います。さらに、その他の国々の事例は、これから発行される分も含め、下記フィンランド郵政サイト内で一覧できます。
http://www.posti.fi/postimerkkikeskus/preservethepolarregionsandglaciers.html

 それらをご覧になったうえで、改めて見比べていただきたいのが日本のデザインです。

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 可能ならばきちんと説明を聞かせてもらってからモノを言うべきでしょうが、残念ながらその機会はないので、やむをえず先に自分の意見を書きたいと思います。日本初のホログラム切手であるとか、1シート320円という五百円玉を出してお釣りがくる手軽なワンコイン価格といった長所はもちろんおおいに認めますけれど、端的に言ってこんな切手を出しているようではいけません。情けないにもほどがあります。
 そもそも、この共同発行への参加が呼びかけられた時も日本郵政はずっとたな晒しにしたままでした。申込締切日が過ぎた後になってやっと参加表明するようなていたらくであったことも承知しています。この時には既に図案発表まで済ませていた国や地域が少なからずあったというのに、です。そんな役所時代そのままの、スピード感のない遅きに失した対応のあおりが付け焼き刃的なデザインにまで影響しているとは思いたくはありませんが。
 世界各国のデザインと比較して、明らかに見劣りしている、否、次元が低過ぎます。国際テーマとして何も競う必要はないにせよ、協調して極地保護を訴えるというスタートラインにすら届いていません。詳しく書きますと、提示された極地保護というテーマについてそのコンセプトに高い次元で取り組んでいるかどうか、もっと言えば誠実であるかどうかに疑問符が付きます。他国の図案も簡単に見比べられるというのに、日本はなぜ漫画チックなイラスト表現を選択したのでしょうか?。極地保護を訴えるのに、かわいさをも感じる親しみやすいシンプルなデザインである必要性は(さしあたっては)ありません。第一に必要だと思う「意義を啓蒙する」とか「危機感を訴える」などの、芯となるべき意図がまるで感じられないことに、企画段階で誰も何も問題視しなかったのですか?。極地のオーロラを背景に動物イラストで、これがベストだなんて本気でそう判断したのですか?。どう見てもお菓子に付いてくるおまけシールじゃないか。これが日本独自の個性とでも?。とても信じられません。
 まるで今、日本中が注目している第2回ワールド・ベースボール・クラシック大会に、何の手違いか草野球チームが乱入してきたかのような気恥ずかしい思いがします。要は、極地保護とは何かという基本的なスタディが全然できていないのではないかと危惧する次第です。
 郵趣2月号の巻頭特集記事でも書きましたように、いかに特殊で高度な印刷技術を駆使しようとも、まず切手としてきちんと成り立つデザインになっていなければ合格とは言えません。今回の場合、6色オフセットであるとか(通常はCMYKの4色)、ホログラムであるとか、そこそこがんばってはいますが、外国切手ではとっくに使い慣れた技術であって特段の珍しさはありません。ホログラムごときにいちいち感動するホドのモンはないんで、やはり図案そのものの吟味に取り組んでもらいたいです。

 おしまいに、ノルウェーの小型シートについて記しておきます。円形切手が2種横並びに納められているように見えますが、額面が円形目打の外側に表示されているので、円形切手ではなく穴開き切手の一種になります。また、右側は氷で表現した緯度経度部分がエンボス+透明樹脂コーティングという文字通りクールな(かっこいい)姿。シート地の共通マーク「アイスクリスタル」部分もエンボスです。さらにまだ裏付けが取れていないのですが、地の淡い青緑色が全体に輝きを持っているので、何らかのイリオジン系インクを使用している可能性があります。
 もちろん、ノルウェー切手を出してきましたのは、前述の通り「提示された極地保護というテーマについてそのコンセプトに高い次元で取り組んでいるかどうか、もっと言えば誠実であるかどうか」が十分発揮されていて、提唱国のフィンランド、チリ両国とも堂々と比肩できる出来ばえだと思ったからです。もっとがんばってくれなきゃ困ります日本!。

▼ノルウェー郵政の詳細説明ページ
http://www.posten.no/en/Products+and+services/Stamps+and+collecting/Stamp+programme+2009/9189.cms

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April 22, 2007

指揮者トスカニーニ没後50年

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 毎月1回届く郵趣サービス社のワールド・トピックス頒布会。今月の3種のうちのひとつが上掲の「指揮者トスカニーニ没後50年」でした。収集対象としては音楽関係に限定しての興味はないので処分ファイル行きかと思ったその時、何か印面が光ったように見えました。
 印面にL型のオレンジ帯がありますね、記念銘・国名・額面が白抜きになっている部分です。日本の発光切手を観察するように、切手を目の高さにして光にかざして見ると、このL型部分が金色に輝いて見えるのです。何だこれは?、聞いてないよ!(笑)。
 さっそくイタリア郵政ホームページで確認しましたところ、正体は"clear-gold interference ink"というものらしい。直訳すると"透明金色の光干渉インク"。見る角度によって光彩が変化する偏光視覚切手の一種のようです。同国の高額普通切手は最先端の印刷技術の粋を集めて製造されていることはつとに有名で、本件もその流れの一種ならば、ちょっとお堅い話になりますが偽造防止目的と言えます。ただし、カラーコピーをしたりスキャナーをかけたりした際に光が撹乱されて画像が得られないという程の強力なセキュリティーではないです(←実際にやってみました)。
 変り種切手の中でもホログラムやレンティキュラー(3D印刷)をも含めた広義の偏光視覚切手は、デジタル技術の躍進と連動してその種類と量を急激に増やしています。現時点ですでに一大ジャンルを形成していると言ってもいいでしょう。本格的な収集・研究グループの立ち上げが大いに期待されます。

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