グッド・デザイン切手

October 09, 2024

日本切手上の文字表記の規制緩和を

 切手上の文字表記についてはそれなりの規程が定められているとは思いますが、以前からデザインを圧迫していると感じていました。切手もまた公共デザインの一分野ですから、利用者目線でのウェルフェアを第一に考慮すべきものではありますが、それも程度ものでしょう。

 万国郵便連合(UPU)創設150周年記念切手を見た時、まさに”程度もの”を逸脱するギリだと思いました。シート上部の2種、せっかくのモニュメントを描いているのに下部1/4が記念銘(文字・テキスト)で隠れてしまっています。できるだけ題材を見せたいけれど、読める大きさの文字で表記もしなければならないという相反するせめぎ合いに腐心されたであろうことが容易に察せられます。これはもう規程そのものの規制緩和をするべきです。

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 本来、切手は国名と額面さえあれば十分です。それ以外のあれこれはすべてお飾りであって無ければ無くても何も困りません。これが原理原則です。その上で、図案をどうするか、記念銘の文言をどうするかを構築するものです。だからこそ書いておけば必ず読める、読まれる、読んでくれるだろう的なテキストシンカーの発想は時として安易に過ぎます。

 長く公共サインのデザインをしていた筆者は「人は欲する情報しか読みとろうとはしない」ことを嫌と言うほど骨身に染みています。この長々しい記念銘を一体誰がすき好んで読もうとするでしょうか?。郵便に使うのにおよそ必要不可欠というほどの要素ではありません。
 結論を言うと、ビジュアルシンカーの筆者は、印面の片隅に「UPU150」とのみ小さく表記してあれば十分理解できます。あるいは、それだけでは理解できないであろう多数のテキストシンカーの人たちも、意味がわからないからと言って何が困るのですか?。郵便に使うのに誰も何も困りません。

 いきなりイギリスのロイヤルメールのレベルで大胆に省略するのは難しいでしょう。さりながらシール切手はシート単位でしか販売しないと決まっているのですから、まずはシール切手の場合のみ、記念銘はシート地のみに大きく表記し、切手の料額印面からは省略するとしてはいかがでしょうか。
 おそらく何らの支障もないと思います。記念銘がない分、デザインの自由度が上がって良くなることは既に半世紀も前にイギリス切手で証明されています。あるいは現行のアメリカ切手も同様です。シール切手での実証実験ののちに、1枚からでも販売する裏糊式切手にも段階的に拡大すればよろしいかと思います。

 参考までにネットで拾った各国の記念切手をお示ししておきます。

▼国連

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▼マン島

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▼ベトナム、モナコ

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▼ブルネイ

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March 16, 2024

切手収集家はデザインを見る目がない

 昨日配信された郵趣ウイークリー紙2024年12号を見て表題通りの暗然たる気分に陥ってしまいました。元職業デザイナーの目から見たら、歴代の日本切手の中でトップクラス級に優れたデザインであるシンプル切手の素晴らしさが理解できない切手収集家 (同じ仲間だとは思いたくないので『郵趣家』とは書きません) のセンスの無さにがっかりです。こんなことではますます収集家の意見など聞かなくても良いと思われても致し方ありません。

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 もちろん、嫌われた最大の理由がデザインではなく販売形態であることは理解しています。1シート50面でバラ売りもしないのでは買えない、買いにくいのはもっともです。しかし、これも日本切手しか関心がない大多数の収集家の視野の狭さが指摘されます。オランダ、フィンランドなど多くの先進国では企業・団体向けのビジネス切手を発行しています。カナダなどは1,000枚ロールのコイル切手 (発行目的は主に会社のデスクでの使用) すら出ています。顧客対象が個人ではないので買えない云々はそもそもがお門違いです。

 ここまで書けばもうおわかりですね。日本郵便さんもはっきり「ビジネス切手」だと謳えば良いのです。なんでもかんでも「特殊切手」に一絡げにしているから視野の狭い収集家が誤解するのです。
 少なくとも切手カタログ上ではシンプル切手をグリーティングから分離し、独立した「ビジネス切手」の分類軸を立てるべきです。郵趣家サイドで一方的にそう決めたところで、誤解が軽減されることはあっても困ることは何もありません。その意味で「普通切手として発行すればよい」の意見は自分も同感です。

 デザインについては、茶の間のオヤジが酔っ払って野球中継にいちゃもんつけているのと全く同じで、絵を描いたこともない素人がわかったかのような口ぶりで難癖をつけるなど、ハタから見ていて恥ずかしいったらありません。イメージ中心の単純明快なデザインにこそ切手デザイナーさんたちの腕がいかに素晴らしいかが如実に現れています。ジャンルは違えど元同職種の自分は十分に理解しています。はっきり言います、収集家の意見など無視していいです。何の参考にもなりません。

 もともとアート的な素質に乏しいのが集まって来やすいのが切手です。自分に理解できないことは素直に「わかりません」と白旗を挙げればよいものを、何か言ってやらなくては気が収まらないかのようで批判し否定します。これはまさに『老害』と同じ精神構造です。わからないなら黙ってろ!です。

 こうして収集家のセンスのなさを自ら露呈するだけなので、ベスト切手・ワースト切手の企画はホントやめてほしいです。自殺行為に等しいです。

 

 

 

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February 07, 2024

にゃんこ四字熟語ポストカード

 たまたま立ち寄った防府緑町郵便局。窓口カウンター横に置かれているのが目に入り、気がついた時は全6種を買っていました(笑)。
 帰宅して即ググりました。昨2023年10月5日付のlivedoor News等各社によると、フタバ株式会社 (本社愛知県名古屋市) が全国約500の郵便局で販売。虎視耽耽・上昇志向・白河夜船・人生如夢・臥薪嘗胆・大兵肥満の6種でいずれも132円 (税込)。こういうのは初っ端の第1次が大事なので全種を大人買いしたわけです。

 添えられていた小紙には日本郵便関連会社の名前はなく、日本郵便さんの直販品ではないことは明らか。しかし、そのために日本郵便によるプレスリリースも一切行われないため、ほんの数年で由緒来歴がわからなくなりがちです。後年の記録のために取り上げることにしました。

 プレスリリースがないので最寄りのどの郵便局で買えるのかすらわからないのは難儀なことです。大人の事情で広報できないのはわかりますが、買う側にとっては不便この上ありません。何とかならないものでしょうか。

 

▼代表的な1枚「虎視眈々」とパッケージに同封されていた小紙。

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▼全6種の写真 (フタバ株式会社様のホームページより)

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▼防府緑町郵便局の領収書と局舎写真。

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November 02, 2023

グリーティング・シンプルを『ビジネス切手』に

 グリーティング・シンプル切手の種類も増えてきたので、そろそろグリーティング切手の括りから独立させて「ビジネス切手」に昇格させるべき時期が来たと思います。日本郵便さんの分類は今後もグリーティング切手の一部という位置付けでも構いませんが、郵趣家サイド独自の分類としてそうした方がはるかに有意義です。

 日本切手にしか目が向いていない郵趣家は、前世紀には既にオランダやベルギー等でビジネス切手が発行されていたことを知りません。それゆえグリーティング切手としては違和感と不満感しか持てないようです。事実、すべてセルフ糊式だしシート構成も50面で分割購入も不可で明らかに切手の性格が異なります。およそグリーティング性はどこに?。はっきりビジネス (専用) 切手と謳った方が売る側・買う側とも納得できるでしょう。

 何よりその使われ方が独特です。官公庁や企業など個人以外のまとめ買い&使用がほとんどです。自然な使用例を丹念に見ていくと適正1枚貼りがほとんどで、2枚以上の多数貼りや混貼そして特殊取扱が本当に少ない。これほど面白味がない切手も珍しいだけに、逆に郵趣家のやる気を起こさせる存在でもあります。
 図版右の特定記録郵便は返信用封筒同封が条件だったので、作り物が嫌いな自分もこの時ばかりは多数貼りを意識してシンプル切手3枚貼りにしたほどです。

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 地元の収集協力者さんから来信郵便物を買い取りさせていただいています。また、JPS防府支部で山口県内各地の社会福祉協議会さんが集めた使用済切手も引き取らせて頂いています。そうした実際の使用動向を見ますと、郵趣家が思っている以上にシンプル切手は使われています。ベテラン郵趣家ほどその現実とのギャップに気付いていないようです。それを正す意味でもせめてカタログ上だけでも独立した分類を立てることが急務だと考えます。

 なお、シンプル切手のデザインが良くないと感じている人は、申し訳ないですが美的センスがないと自覚してください。諸外国と比べてもはるかにグッド・デザインです。元デザイナーの私が言うのですから間違いありません。プロのアーティスト・デザイナーでシンプル切手をダメと言う人は皆無だと思いますよ。

 

 

 

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August 30, 2023

官製加刷の昭和63年用お年玉付き年賀はがき

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 亡父の文箱から拾い出した一枚です。ラグビー図案が取り上げられたこと、今に続く四面はがきが初めて発売されたことなどで話題になった昭和63年用年賀はがき全国版 (裏面無地) です。ところが、寄附金付きの山口県版と同じ「フク提灯」の絵が裏面に入ったバージョンが少数作られていたことを風の便りで耳にしました。しかし、私も当時はまだ26歳。インターネットもなかった時代で、詳しく調べる気持ちが起きないまま35年の月日が経ってしまいました。それがこの4月にJPS防府支部長役を引き受けることになり、前支部長から過去の支部報一式を引き継いだことで、当時の記録を発掘することができました。

 山口県版はフク提灯のイラストが大好評で、10月20日の予約締切日時点ですでに当初印刷分の270万枚をオーバー。急きょ50万枚が増刷されましたが、それでも品不足を不安視する当局が独自に裏面無地の全国版に加刷したバージョンを約20万枚製造。今回ご紹介する年賀はがきはこれです。
 記事では”当局”とあるのみで、当時の中国郵政局によるものか、それとも郵政本省なのか判然としません。推測ですが中国郵政局が郵政本省に上申して製造してもらったものだろうと推測しています。その理由は、地方郵政局が単独で加刷コピーしたとは思えない精密すぎる仕上がりだからです。注意しないとただの山口県版と見過ごしてしまう高品位レベルです。まとめますと次のようになります。
 ラグビー図案40円料額印面の全国版の裏面にフク提灯図案を加刷。その下に小さく「売価45円」と付記。料額印面はそのままで郵便局窓口では45円で販売。台はがきは凸版印刷製で加刷もおそらく同社と推定。製造枚数は約20万枚。確認されている組番号はB1127。
 一応、加刷と表現していますが、20万枚もの印刷済の年賀はがきをいちいち封包を開け一枚ずつ手作業で印刷するなんてことは非現実的です。私は台はがきから新たに製造したものと確信します。納品済の製品に追加加工するのは会計処理上も厄介でしょうから。

 最後にカタログに載っていない情報を2件追記します。凸版印刷のラグビー図案全国版は漂白技術に問題があったらしく、残されたものはことごとく茶色く変色しています。亡父の文箱に一緒に入れられていたのに、これのみ変色しているので横から見ると断層のように区別がつきます。同じ保存状態なのですからこれは明らかに不自然です。ですから変色しているからといって安易に見捨てられませんように。
 また出典のJPS防府支部会報「ほうふ」第16号 (1987.12) によると、40円はがきへの加刷は、昭和62年用の岡山版が初とも伝えています。

出典:調布郵趣第462号(20230903/JPS調布支部)

 

 

 

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October 26, 2021

CARTE POSTALE

 FBフレンドさんのオススメで「美人画レボリューション」展に行ってきました。現代作家さんたちのポストカードやクリアファイルの物販があったので入念にチェックしてきました。見事、素晴らしいポストカードを発見しました。

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 作家さんのお名前はマツオヒロミさん。島根県松江市出身で現在は岡山県でフリーランスとして活動されているとのこと。5種類くらいのポストカードを見て唸ってしまいました。どのポストカードも宛名面もいちいち違うデザインになっていたからです。絵柄面にこだわるのは当たり前ですけれど、宛名面はたいていワンパターン。中には全くの無地(白地)なんてのもあるのに、しっかりこだわってデザインされていました。特に気に入った1種をピックアップしてきました。

 郵趣家であればこのフォーマットが、大正7年に表面記載制限が左1/3から1/2にと緩和されて以降のスタイルであることはすぐにわかりますね。また、郵便の世界標準は今も英語の他にフランス語もアクティブなので、POST CARDのかわりにCARTE POSTALEと表記してあるのも正当。つまり注目すべきはこのクラシックなスタイルを現代に使っている美的センスの素晴らしさです。2015(27) の著作権表示があるのも資料的に重要です。日本郵便さんが定めた現行フォーマットではないので推奨はされないにしても違反ではありません。

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 実際に自分あてに差し出してみたのがこれです。消印は山口郵便局 (地域区分郵便局) の和文印 (金属印) で令3.10.24です。

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August 17, 2021

クイーン切手分譲のお知らせ

 イギリスが2020年に発行したクイーンの顕彰切手を6組限定で分譲します。
 最初にファンタスティック・スタンプクラブ(FSC)メンバーを対象に分譲したものと同一品です。その結果、6組の余りが出ましたので切手収集家に限定せずご希望の方ならどなたでもお譲りします。ラインナップは以下の通りです。

(1)小型シート1,300円 (現在の相場は1,660円)

(2)単片8種完セット2,300円 (同2,870円)

(3)プレゼンテーションパック3,800円 (同4,800円)

 (3)は(1)と(2)をセットにしたもので切手の内容自体は同じです。図版のように解説書を兼ねた収納ホルダーが付くのがプレゼンテーションパックの特徴です。なお、数量が少ないので先着&全セット希望者優先とさせていただきます。

 ご希望の方はブログ画面の左列上から2列目の「メールを送信」をクリックするとメーラーが起動しますので、それにて希望内容と住所氏名をお知らせください。うまく送信できない方は直接 aplcofe@gmail.com あてにご連絡いただいてもかまいません。折り返し送金方法などをお知らせします。入金確認次第現品を発送します。

▼上が (1)小型シート、下が (2)単片8種完セット
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▼ (3)プレゼンテーションパック2021081702

 なお、音楽関係者の方 (特にプロの方) は申込時に一言お書き添えください。お知らせしたいことがございます。その詳細は商談成立後にお伝えします。

 

 

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June 12, 2021

私のムーミン切手コレクション

 「伊予和紙 季節のムーミンはがき」6種を防府郵便局さんで買ってきました。いつものように自作の郵趣データベースStella (ステラ) に入力し、なにげなく”ムーミン”で検索したら24件もヒット。こんなに持ってたっけ!?と自分でもびっくり。これだけの量があるなら一ヶ所にまとめておいた方がよかろうと思い、たった今、専用のファイルケースを作ったところです。せっかくなのでその中からトピックを8点ご紹介します。

[1]世界最初のムーミン郵便商品
 実は切手ではありませんでした。国際切手展フィンランディア’88 (6月1日~12日まで開催) の際に発行された切手展入場券付きポストカードが最初です。ムーミン切手が発行されるより4年も早いです。上半分がポストカード、下半分が入場券になっていて、上下に切り離して使う仕様になっています。図版では未使用をお示ししますが、個人的にはムーミンママを描く特印付きの初日カードをお勧めします。

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[2]世界最初のムーミン切手
 1992年、母国フィンランドから発行されたのが世界初です。当時、郵趣サービス社さんのワールド・トピックス頒布会でも取り上げられましたので、その解説リーフをご覧いただきます。

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[3]フロックコート紙のムーミン切手
 2004年、フロックコート紙 (起毛加工紙) 切手としても同国初でした。裸のムーミンなのに毛が生えた切手というのも不思議な感じでした。これもワールド・トピックス頒布会のリーフをご覧ください。

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[4]日本最初のムーミン郵便商品はエコーはがき
 ムーミンの頭部がラ・フランスに似ているから・・・という理由で山形県・JAグループ山形・山形県青果物基金の広告部分に採用されたと聞き及んでいます。私が確認した範囲では3種、平成10年前後の発行です。

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[5]トーベ・ヤンソンの絵画
 ムーミンとはまたタッチが異なる絵画作品の切手です (オーランド・2007年発行)。実は、私はこの実物を至近距離で見ました。2015年に北九州で開催されたトーベ・ヤンソン展の順路最後に展示されていました。その時の詳しいレポートは私のHYPER Philatelistブログに掲載していますのでどうぞリンク先をご覧ください。
http://topofswan.tea-nifty.com/hyper_philatelist_annex/2015/05/post-56f0.html

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[6]日本最初のムーミン切手
 2015年発行のグリーティング 切手が、母国フィンランド以外で発行された最初のムーミン切手となりました。また、発行時には何のアナウンスもありませんでしたがムーミン誕生70年を兼ねているとも言われています。この時の担当デザイナー中丸ひとみさんの直筆サイン入り初日カードをご覧いただきます。2021061206

[7]原画作者は日本人
 2018年発行のグリーティング切手ムーミンは画期的でした。トーベ・ヤンソンの死去後、基本的には既に存在するオリジナル原画が使われるという原則ですが、本券に関しては特別に版権者の許可を得て中丸ひとみ切手デザイナーさんが原画を描き起こしました。普通はまずあり得ない快挙です。未使用切手をそのままスキャンすると面倒なことになりかねないので、今回は切手解説書をご覧いただきます。この内面に著作権者名もしっかり表記してありますので軽視できません。

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[8]私の家宝です・・・世界で5通のみ
 フィンランドでは諸般の事情により切手デザイナーのサイン会は行われていません。担当切手デザイナーのサトゥ・ルサさん (女性) 直筆サイン入り公式FDCは、2013年5月に切手の博物館で開催された「ムーミン切手展」のために特別に作成されたものです。
 全部で5通作成され、内2通はフィンランドポスト本社保管用とフィンランドのポストミュージアム収蔵用になり、残り3通が日本に渡ってきました。幸いなことに3通のうちの1通が私のところにやってきました。その詳しい経緯は冒頭のStellaに詳しく記録していますけれど、関係者がこの世を去るまで公表しませんしできません。私にとっては家宝級のムーミン・コレクションの目玉です。

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April 17, 2021

ブルース・リー

 公益財団法人日本郵趣協会の会報・月刊「郵趣」誌5月号の担当連載記事が無事に入稿しました。久々に一部をチラ見せします。
 ヌンチャクを振り回し、自分にぶつけて痛い思いをしたおばか中学生丸出しど真ん中世代です。私たち世代にとってはこれこそブルース・リーのイメージそのものです。中国香港郵政の素晴らしい仕事に喝采を贈りたいと思います。
 どれもお手頃価格なのでこの際一挙に全種買いをお勧めします。発行時に買い漏らすと後で入手難になりそうですし。

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March 11, 2021

プラハ城の小型シート

 郵趣4月号の担当連載記事でも取り上げます。ゲラを見ただけで素晴らしい出来栄えが察せられましたので、大急ぎで個人輸入をかけました。予想通りの素晴らしさと同時に、予想を超えた発見もありました。

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 本件は凹版と平版(オフセット)の掛け合わせ印刷です。ZEの郵便等級表示部分のオレンジ色のベタ刷りあたりが平版かと予想していましたらぜんぜん違いました。赤矢印で示した郵便等級Eの藍色のプラハ城部分だけが凹版で、それ以外はすべて平版でした。ビュラン刃で直接彫刻したかのような2ヶ所のタブ部もインクの盛り上がりが一切ありません。シート下部のエンブレムも同様で明らかに平版。これらの事実はいろんな示唆に富んでいます。
 一般に凹版切手と言えば、腰の強いややよれたような凹版専用用紙が使われます。印刷時に強い圧力がかかるためで、それは日本の凹版切手でも同様です。グラビアやオフセットとは全く違う強靭な用紙が使われるのがスタンダードです。
 ところが、本券はその凹版専用用紙ではありません。子細に観察すると色ずれの様子から先に平版印刷されたようです。平版印刷ユニットの後に凹版印刷ユニットが接続され、平版→凹版の連続印刷だろうと推定されます。つまり、スタンダードの切手用紙であっても、平版印刷機と同じスピードで凹版印刷できる技術力がありますよという意味です。
 また郵便等級Z切手も平版なのですが、非常に緻密な表現がなされています。窓のひとつひとつまでくっきりと印刷されています。この緻密さは日本の印刷局の技術水準を超えているのではないかとすら思います。
 タブ部については前例があるのでおそらく次のような手順だと思われます。凹版彫刻師が原版を彫り紙に印刷します。その印刷物を高解像度スキャンして平版印刷の版下を作成し実際の切手印刷に使用。わざわざそんな手の込んだ工程を踏むのは第一にコストダウンです(凹版は製造コストが高いのです)。そして何より平版でも凹版に劣らない表現力があることの技術力の誇示です。

 私自身もエンジニアの端くれでしたから職人さんたちの心意気が伝わってきます。郵趣4月号に掲載されますのでぜひお買い求めください。そしてすみずみまでルーペで観察してください。

 

 

 

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