April 27, 2008

美しき謎の抽象

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 美しい曲線で構成された斬新なデザイン切手、これが最初に世に出たのが1967年(昭和42年)と知り、たいへん驚いたものです。しかも発行はアフリカのマラウイ、券種は不足料切手という、およそデザインとは縁のなさそうな出自です。宗主国イギリスをも巻き込んだ地下資源を巡る利権争いに明け暮れ、独立は果たしたものの、いまだに最貧国のひとつにとどまっているマラウイに、どうしてこのような美しい切手が生まれたのでしょう。
 本業絡みもあってコンピュータ・グラフィックス(CG)によるデザイン切手も注意しています。今でこそ切手デザインの現場にPCが使われることが当たり前になりましたが、1980年代後半でさえPC自体のハードの脆弱さから、それほど複雑なことはできませんでした。1970年代に至ってはドット絵や荒目モザイク画像に代表されるような「いかにもコンピュータで描きました」的なプリミティブなアートが関の山でした。にもかかわらず、本件はそれ以前の1960年代のアイテムですし、おそらくCGではないとは思いますので、現代にも通用する卓越した美を手描きで作り出した手腕には驚かない方が無理と言うものです。その後も額面変更などを重ねながらも曲線のデザインはそのまま、1980年代まで同一図案切手の発行が継続されました。不足料切手という裏方的存在の券種であったことが、かえって息の長いデザインを続けることができたのかもしれません。上図も1971年の改版5種のうちの1枚です。
 旧宗主国イギリスの協力なくしては考えられない切手です。ですが、詳しい事情がほとんど何もわかっていません。気をつけてはいるものの、実逓使用例もまったく見たことがありません。ぜひとも解明したい謎の切手のひとつです。

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January 30, 2008

秀逸!、フィンランド新切手

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 日本の記念・特殊切手は、その題材にゆかりのある日や催事の開幕日などに合わせて逐次発行されます。しかし、今回ご紹介するフィンランドやドイツ、スイスなどは、数ヶ月に一度、決められた日に一括して発行するスタイルをとっています。
 1月24日に発行されたフィンランドの新切手を全部買ってしまいました。同国初のレンティキュラー切手「アルペンスキー」小型シート、アップコードと称するデジタルコードを印刷した「ヘルシンキ工科大学100年」小型シート、不規則形切手5種を収めたシール切手「バレンタイン/ハート」などなど、私の収集テーマに見事に全て一致していたからです。
 特にお気に入りなのは、上に示しました低額0.05ユーロ(約8円相当)3種の「水」切手です。0.10ユーロ(約16円相当)3種の「群島」も同時発行されました。この角丸十字形切手は貼り合わせた時の視覚的な美しさも考慮された加貼用低額切手とのことです。同国のデザインセンスの良さには心底感動してしまいます。他の国々の、どの切手にも似ていない独自性がなお一層お見事です。
 フィンランド郵政の広報誌が定期的に届くので、それを見て発行前にインターネットで注文を出しておきました。すると発行後6日で手元に届きました。土日を挟んでいなければ4〜5日で配達されたことでしょう。フィンランドから日本まで一週間かかっていないのも素晴らしいサービス水準ではありませんか。切手そのもののクオリティーから郵送事務に至るまで非の打ち所がありません。
 フィンランドの新切手、ぜひ見るだけでもアクセスしてご覧になってみてください。

http://puoti.pmk.posti.fi/cgi-bin/ncommerce3/CategoryDisplay?cgrfnbr=855213&cgmenbr=222&kieli=e&sel=1200

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December 28, 2007

POST切手展

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椙山様
「POST切手展」カタログを進呈します。御査収ください。
「デザイン年賀」もそうなんですが、使う人の顔が見えてこないようなデザインが多く、正直あまりピンと来ない展示でした。是非プロの御意見をお伺いしたいと
ころです(笑)

というメッセージカード付きでPOST切手展のカタログを頂戴してしまいました。1冊3,000円もするので、こりゃあ速攻でブログに載せないとやべぇ・・・とびびってます。びびってますが、今のところ何も考えてないので、えー、打ち込みながら考えをまとめなくっちゃー、と焦ってます。

 この展覧会は純粋なデザイン展ということにとどまらず『日本郵政も民営化されたことだし、切手のデザインを、今まで以上に外部発注を増やしてもらいたい。ほれこの通り実力もありますがなー!』的な、大がかりなプロモーション活動でもあると理解しています。ですから「使う人の顔が見えてこないようなデザイン」という感想・印象はある意味正しくて、言い換えれば「デザイナーの主張が前面に出されているデザイン」が多いため、従来の切手に求められていた「郵便に使う」ことの意味合いが相対的に減じているわけです。それが同展の副題であります「郵便が変わり始めた。切手のデザインはどう変わる。」に象徴されています。
 現代日本の状況で言えば、全郵便物中における個人の信書の割合が5パーセントを切ってしまっています。それゆえ郵便番号制度が導入された昭和42年は、郵便番号宣伝切手が億単位で発行されていたのに、郵便番号7桁化の時はただの1種のキャンペーン切手も発行されませんでした。発行したところでPR効果が期待できないことを、当時の日本郵政がいちばんよく知っていたのです。皮肉ですね。
 さりながら個人が差し出す郵便量の減少は日本だけではなく世界的な傾向です。それが同じく皮肉なことに、切手のグラフィック表現の可能性を押し広げる環境となったと理解しています。以前は、実際に郵便物に貼って使われることが大きな制約となっていました。極端に派手な色彩は使えない、封筒に貼れないほどの大型切手は発行できない、といった類のことです。それが今や、郵便に使われることは無視できないものの、昔ほど厳格である必要がなくなったのです。実際に使われる絶対量が激減したから。
 POST切手展が謳っているように、日本切手のデザインも現実的に大胆に変わっていくことと思います。諸外国のように、デザインのみならずその発行形態も大化けし、いわゆる変り種切手、変形切手、面白切手もがんがん増えると思います。ですから、この切手展が普通のユーザーの理解を超えている部分があるのは良いことなのです。やはり「ちょっと先に行き過ぎ」的なデザインもないと面白くないし、将来性もないから。そこはそれ、モーターショーにおけるコンセプトカーみたいなもんですよ。実際に商品化されて公道を走らせる目的で作られたクルマではないけれど、だからといってそれがイカンわけではないでしょ?。それと同じことです。

 グラフィックデザインは、数あるデザイン分野の中でも最もアートに近い性格を持っています。ですから、ちょっとしたコツがありまして、鑑賞する時にはそのアプローチ方法を使うと効果的です。それはですね、言葉や理屈で「理解しよう」とするのではなく、芸術作品に接する時と同じく自分の感性で「感じよう」とすることです。色彩や構図などから発せられる空間感覚(=イメージ空間)を肌感覚で触れるように心がけると「理由はうまく説明できないが自分はこれが好きだ」とわかるようになります。音楽感覚で接する、みたいな感じですが、この例えはわかりますかねー???。
 それと、注意点もひとつ。昨今のデザイナーの多くは、エコだのなんのとやたらメッセージを込める悪い伝染病に冒されている人が多いので、それらのメッセージがウザったらしい時も多かろうと思いますので、あまり真に受けないで聞き流してください。都会に住み、自動車に乗り、製品が大量生産され、そのデザインを生業としていながらエコなんてチャンチャラおかしい話です。切手でエコを訴えるなんて大ばか野郎のすることです。本気でエコを実行するなら手紙なんか出さない(森林資源を使わない)のが一番いいんですから。
 山口県周南市のコンビナート群を眼前にし、ここで生産される大量の工業製品、その多くは扱い次第によっては自然破壊を惹起する強力な化学合成品であり、それらを輸出して外貨を稼がないことには外国から食料が輸入できない現実。樹脂アレルギーを薬で抑えてまでして造形デザインをしている私は、そのことをよーーーーっく知っています。コンビニがなければ生きていけないよーなヤツにエコを言う資格はないぞよ。はすっぱなエコなんざやめい!。

 話を元に戻しましょうか(笑)

 POST切手展は、実際にこんな切手ができたらいいな、というグラフィックデザイナーさんたちのイメージの遊園地だと思ってはいかがでしょう。郵便切手というステージ上で繰り広げられるワンダーランドです。そう思って空想世界に楽しく遊ぶ気持ちで鑑賞されることをお薦めします。

(追伸)
 同展のポスターは下手だね。展覧会のコンセプトがほとんど伝わってきません。ずいぶん損してると思います。キラ星のごとくデザイナーさんたちがいるのに、こんなしょーもないポスター、誰も止められなかったんですかね。

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December 24, 2007

切手デザイナーとともに

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 韓国を旅行中のYさんからプレゼントが届きました。いろいろ見繕ってくださった中でこれはと思ったのが表題の「切手デザイナーとともに」と題する官製絵はがきです(料額印面はなし。要切手貼り)。原題は英文でTogether with stamp Designerとあり、表(上)は切手シートまたはマキシマムカードのイメージ、裏(下)は普通に宛先記入面ながら隅に当該切手のデザイナーさんの写真が配されています。

 ついに韓国郵政も切手デザイナーのタレント化か!?

 たまに切手デザイナーさんのお話を聞くのはたいへん有意義なことですが、このようなタレント扱いじみた企画はちょっとね。切手のような公共デザインの分野は、基本的には無名性であることが重要だと思うのです。誰それのデザインだから良い(悪い)が問われるのは、本来、公共物が持つ機能とは異なるものです。誰かの手技、くせ、特徴が出るのは原則としてよろしくない。非常口誘導灯のように、誰がデザインしたか知らないけれど(もちろん私は知ってますが)、みんなが知っていて、意味も理解していて、違和感もなく受け入れられているという社会的コンセンサスが出来上がっている、ことが最も重要なことです。自分も長く公共デザインを手がけていたので非常に違和感を感じるのです。しかしながら・・・・・

 ま、それも古い考えで、えー、そんなこと言わずに、まあエエじゃないすか。

と、確かにそうも思いますね。いや、最近はそっちの想いの比重の方が高いです。んな、お堅いことを言わんでもいいんじゃない?みたいな。世界各国の郵政事業体が軒並み民営化されている潮流に伴い、切手の「重さ」も多分に減っているというか、Pスタンプやフレーム切手などの登場で、手の届く身近な存在に変化してきているので、デザイナーの役割も変化しているのでしょう。
 しかし、クリエイターってのは作品こそ美しいものの、ご本人は人前に出るのは憚られる系の御仁もけっこう多くてですね、人のことはあんまり言えないんですが、イギリス切手のシリーズ名にその名を残す写真家ドロシー・ワイルディング女史(Dorothy Wilding)なんか超インパクトあり過ぎなご面体であられましたですからねえ。そんなブーな方々もタレント化して良いのか!。例えばXXXX氏などはXXXXX!?(以下、自主規制)。

 アコーデオン式に折り畳まれた官製絵はがきは、2007年に発行された韓国切手7点がピックアップされ、それぞれルレットで切り離して使う仕様になっています。マキシマムカード的な美しさはもちろんのこと、切手貼りかのように見える部分は実際は印刷ですので、官製模造に興味のある方も必須です。日本の郵模法に相当する韓国の法規制を知らないのですが、上掲の「ナム・ジュン・パイク追悼」のように、切手の料額印面に該当するカ所に斜線が引かれるわけでもなくそのまんまなのです。

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May 22, 2007

復活祭(水かけ祭り)

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 2月9日にハンガリーが発行した復活祭(イースター)切手です。同国の伝統行事でもある水かけ祭りの場面をイラストで表現しています。
 こういうタッチのデザインをさせたらハンガリーはトップクラスの出来の良さですな。バリバリのヲンナコドモ狙いであることは明らかなんですが、あざとさを感じさせない不思議な魅力があります。社会主義国だった当時からこの手のデザインは確かに卓越していましたし、ちょっぴり古めかしさをも醸し出しているあたり、歴史の重みを感じます。巧いなあ〜。
 発行されて間もないので100〜150円くらいで入手できるでしょう。郵趣サービス社さん等、外国の新切手を扱っているデイーラーさんにお問い合わせください。

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April 01, 2007

Aino-maija Metsolaさん

Aino_maija_metsola

 郵趣4月号が届いたことと思います。スペースの関係で自分の担当記事では割愛したのですが、ぜひとも紹介したいと思ったのでブログに書くことにしました。4月号のP.28、日本郵趣エージェンシーさんの広告ページを開いてください。その中段2種のフィンランド郵政公式FDC「バレンタイン・顔」と「サンセット」です。
 実はこの2種の原画を描いたのは同一人物で、「バレンタイン・顔」はヘルシンキ芸術デザイン大学の学生デザインコンクール入賞作品、「サンセット」は同大学の卒業作品で、作者はともにAino-maija Metsolaさん(日本語ではアイノ・マイヤさんと呼ばれているようですがいずれ正確な発音は確認します)。素晴らしい才能を持った若いアーティストが現れたものです。調べてみましたら、同国の2005年のヨーロッパ切手も彼女の作品でした(上図左端)。その才能を理解し、学生時代から郵便切手というパブリック・デザインに抜擢した同郵政の手腕もたいへんお見事です。Ainoさんは編集デザインやパッケージデザイン、絵本のイラストなど、すでに多方面にわたるアートワークを手がけられているようで、今後の活動が楽しみです。なぜなら若いながらもAinoさんのデザイン水準は非常に高く、おそらくは他の国々、とりわけ北欧各国でも彼女の作品が採用される可能性があると思われます。北欧切手収集家、好きなデザイン切手だけ集める派そして切手女子のみなさんに特にお薦めします。

◆Aino-maija Metsolaさん自身のホームページ
 http://www.aino-maija.com/

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March 07, 2007

北海道支社のセンスの良さは

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 北海道のYUAさんから折々に小型印付きはがき類を送って頂いています。以前からうすうす気付いてはいたのですが、北海道郵政支社の小型印はデザインセンスの良さが抜きん出ています。使用申請を受けた支社内あるいは業務依託された外部デザイナーが、実用に耐えうる印影デザインヘとドレスアップしているものと思いますが、その方のセンスが良いのでしょう、他の郵政支社のそれらがことごとくどん臭く思えるほどです。
 10人いたら10人全員から嫌われないように、いろいろな題材をごっちゃにし、結局ただの1人も満足させられない悪しき官僚的発想とデザインレベルの低さこそが小型印とさえ言いえたものですが北海道支社は違います。その大きな特長は文字表現に対する非常に行き届いた配慮です。文字数が多ければ文字高を小さく、少なければ大きくすればよいとか、あるいは読めればどんな書体でもいいとか、そういうザツな気配が微塵もありません。イメージに合う書体の選別と文字高の設定が非常によく吟味され、絵柄もシンプルな描線で小ぶりに扱われているため、それらの相乗効果で洗練されたヨーロッパの風景印かのような感すらあります。タイポグラフィー(文字のデザイン)が優れていると全体の印象まで大きく変わることを熟知されている優秀なデザイナーさんがいらっしゃるのでしょう、きっと。
 そのことに気付いている人間が、ここ本州最西端の県にひとりいます。どうぞこれからも質の高いデザイン・ワークを!。

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