日本切手上の文字表記の規制緩和を
切手上の文字表記についてはそれなりの規程が定められているとは思いますが、以前からデザインを圧迫していると感じていました。切手もまた公共デザインの一分野ですから、利用者目線でのウェルフェアを第一に考慮すべきものではありますが、それも程度ものでしょう。
万国郵便連合(UPU)創設150周年記念切手を見た時、まさに”程度もの”を逸脱するギリだと思いました。シート上部の2種、せっかくのモニュメントを描いているのに下部1/4が記念銘(文字・テキスト)で隠れてしまっています。できるだけ題材を見せたいけれど、読める大きさの文字で表記もしなければならないという相反するせめぎ合いに腐心されたであろうことが容易に察せられます。これはもう規程そのものの規制緩和をするべきです。
本来、切手は国名と額面さえあれば十分です。それ以外のあれこれはすべてお飾りであって無ければ無くても何も困りません。これが原理原則です。その上で、図案をどうするか、記念銘の文言をどうするかを構築するものです。だからこそ書いておけば必ず読める、読まれる、読んでくれるだろう的なテキストシンカーの発想は時として安易に過ぎます。
長く公共サインのデザインをしていた筆者は「人は欲する情報しか読みとろうとはしない」ことを嫌と言うほど骨身に染みています。この長々しい記念銘を一体誰がすき好んで読もうとするでしょうか?。郵便に使うのにおよそ必要不可欠というほどの要素ではありません。
結論を言うと、ビジュアルシンカーの筆者は、印面の片隅に「UPU150」とのみ小さく表記してあれば十分理解できます。あるいは、それだけでは理解できないであろう多数のテキストシンカーの人たちも、意味がわからないからと言って何が困るのですか?。郵便に使うのに誰も何も困りません。
いきなりイギリスのロイヤルメールのレベルで大胆に省略するのは難しいでしょう。さりながらシール切手はシート単位でしか販売しないと決まっているのですから、まずはシール切手の場合のみ、記念銘はシート地のみに大きく表記し、切手の料額印面からは省略するとしてはいかがでしょうか。
おそらく何らの支障もないと思います。記念銘がない分、デザインの自由度が上がって良くなることは既に半世紀も前にイギリス切手で証明されています。あるいは現行のアメリカ切手も同様です。シール切手での実証実験ののちに、1枚からでも販売する裏糊式切手にも段階的に拡大すればよろしいかと思います。
参考までにネットで拾った各国の記念切手をお示ししておきます。
▼国連
▼マン島
▼ベトナム、モナコ
▼ブルネイ
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