ゆうペーン・切手帳

June 09, 2018

レガシーとしての切手帳収集スタイル

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 携帯に便利なように表紙をつけた切手帳の歴史は古く、日本でも実に明治39年には世に出ています。菊切手の時代です。戦前はそれほど注目されていませんでしたが、昭和12年の昭和切手以降は正刷切手の一部という認識が明確になり、表紙も捨てずに残すようになりました。昭和38年の切手帳と平成14年のゆうペーンのそれぞれの初日カバーをご覧いただきます。表紙を捨てずに初日カバー封筒に切手とともに貼り込んでいます。時代は変わってもフォーマットは受け継がれていることを表していますね。

 ゆうペーンは切手帳の異名です。昭和50年代後半、世の中は空前のテレホンカードブームでした。郵趣界でも郵趣品ならではの郵便商品の開発が期待されていました。さりとて当時の郵政省はガッチガチの官庁です、そんな”頭脳”はいません。
 そこで我らが日本郵趣協会の水原明窓理事長(当時)がオリジナルの表紙に1000円切手の小型シートを挟み込んだ切手帳を発案され、全国切手展JAPEX’86会場で売り出されました。昭和61年秋の出来事です。これに”ゆうペーン”という愛称を付けられたのも水原理事長でした。
 これが大当たり。いつもは喧嘩ばかりしていた郵政省も目ざとく乗っかり、ありていに言えば便乗、パクリですが(笑)、積極的なゆうペーン発行路線に乗り出しました。翌年の昭和62年には全国で453種、翌々年の63年には591種もの大盛況を呈しました。この数は各郵政局に発行申請をし整理番号を割り振られた正規発行だけの数です。

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 作りがシンプルなので各郵便局が独自に製作発行したものも少なくありませんし、またそれが非正規だからダメということもありません。例えば図は平成6年に発行された植村直己マッキンリー単独登頂記念ゆうペーンです。1984年に遭難されていますので、単独登頂10周年を記念して地元兵庫県が発行したものです。文芸春秋社から写真提供を受けた真っ当な郵便商品ですけれど、整理番号が付与されていないので独自発行の非正規品ということになります。
 このゆうペーンムーブメントは平成の時代にまで及んだのですから、郵趣史上決して看過できるものではありません。

 写真付き切手(Pスタンプ)やフレーム切手の登場とともにゆうペーンも発行されなくなりました。平成の10年代前半にはその役目を終えたように感じられます。
 さらに時と技術は進んでシール式切手が多くなった今、興味深いことに発行形態は”切手シート”と言うより”ペーン”に近いものになってきました。ただし、従来のような保護用の表紙ではなく剥離台紙にとその役割を変えました。シール式は使いやすく便利になったかわりに、切手部分はほんの一部で、製作物の大半はゴミとして捨てられてしまう皮肉な状況になっています。エコロジーに反するこの問題は日本だけでなく世界共通の課題となっています。
 表紙からただの剥離台紙に変わった今ですが、和の食文化シリーズのように裏面にも印刷されるものもあります。剥離台紙というくらいですから、いろんな接着剤を試してみたものの、これをカバーやカードに貼ることはできませんでした。やむを得ずこれまでは捨てていましたけれど、今さらながら捨ててはいけないものだったのではないかという思いがいたします。

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 来たる7月23日発行のふみの日、その62円もまた2つ折りにすると名刺サイズで携帯に適したサイズになるとのこと。折ると剥離台紙の裏面があたかも切手帳の表紙のように変身です。このフォーマットはまさしくゆうペーンのそれと全く同じではありませんか。レガシーとしての切手帳収集スタイルをかんがみた時、捨てるのではなく、なにか大事な郵趣品として昇華させてあげたいものだと思うのであります。なにか良いアイデアはありませんか?

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 なお、余談ですが、今年のふみの日切手は”消しゴムはんこ”技法を使ったデザインであるとプレスリリースにあります。正刷切手ではこれが初になります。

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July 17, 2017

ラジオ体操”忖度”疑惑

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 数を集めてみないとわからないことがある・・・と常々申し上げていますが、まさにそんな発見がありました。ゆうペーン6,000枚の中からラジオ体操祭中央大会記念を5種ほど発見しました。データベースにインプットしている最中に手が止まりました。

 第27回および28回大会の管理番号がともに123

 第27回は信越郵政局・昭和63年、第28回は東北郵政局・平成元年。管轄は異なるけれど単なる偶然の一致であろうか。主催は郵政省簡易保険局なのである。なんらかの”忖度”があったのではないだろうか?(なんてね)

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<防府切手のつどい2017夏のご案内>

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 開催1ヶ月前になりました。以上のように開催要項が決定しましたのでお知らせいたします。私も販売ブース設営のために朝の8時半には会場入りします。大量の販売品を持ち込みますので、時間を有効に活用される意味でも朝早く涼しい時間にお越しください。

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左)今回も大量の実逓カバー、はがき類を持参します。ここ半年間で寄贈された内外の実逓便を、ゆうパック大箱で5個程度持ち込みます。いつものように1通20円均一で放出します。
 また、前回同様、JPS防府支部の運営費に供するために売り上げの30パーセント相当を寄付します。皆さまのお手元に不要品がありましたらなんでもかまいませんのでぜひご寄贈ください。最低限ゆうパック中箱以上の物量で送料着払いで送っていただければたいへん幸せます。(事前にメールでご一報いただけると助かります)

右)郵趣誌連載記事でご紹介した話題の外国新切手、ジャポニカ切手、変形切手も個別販売ファイルを作って持参します。個人輸入したものが大半ですので、国内流通価格の2〜3割安くご提供しています。

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左)日本普通切手収集はとうにやめましたので過去の収集品も放出します。それなりのプレミアがあるものを厳選したファイルをご用意します。

右)今回の目玉品です。ゆうペーン表紙だけで6,000枚以上もの巨大アキュームレーションを入手しました。長崎、佐賀、鹿児島、石川、長野、千葉、茨城、神奈川各県については各地元のコレクターさんにまとめて引き取っていただきましたが、それ以外はまるまる残してあります。テーマチク収集用としてもウブなストックです。1枚50円とやや高めですけれど、一度にこれだけまとまった量が市場に出るのはもうないのではないかと言われる規模ですから、この機会を逃すと入手は非常に困難と思われます。意味と意義を正しく理解していただける方のお買い上げを期待しています。

[お願い]
 販売ブースを構えるだけでなく、私自身もあれこれ入手したく思います。収集している人がほとんどいないと言われている以下の品々をお持ちいただければたいへん幸せます。お値段はその時にご相談させてください。

(1)ゆうペーン表紙:昭和62年までの物、管理番号がない物。
(2)切手コースター:旧郵政弘済会製のものを中心に。
(3)切手下敷き:日本郵便、旧郵政省製以外の民間製造品も含む。
(4)郵トピア関連品:郵トピアの表示があるものならなんでも。

 以上、よろしくお願いいたします。

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July 14, 2017

よく発行したものです(その1)

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 恐山の写真と”DISCOVARY SHIMOKITA”のマーク(DISCOVERYのスペリングミス)。内面に恐山、イタコの口寄せの写真と説明文。

 表紙の写真に何かよからぬものが写り込んでいないか気になって正視するのが憚られます。バブル時代とはいえ、よくこの企画が通ったものです。セールス的にどうだったのでしょうか。

(東北H1-68/日本三大霊場 恐山祭り/売価620円)

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July 13, 2017

アーティスト名を知りたい

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 少年時代の少年雑誌に載っていたレトロフューチャーなイラスト、あるいはプラモデルの箱絵(ボックスアート)のような濃ゆいタッチに惹かれました。題材は江古田獅子の”帯掛りの舞”とあるものの、肝心の原画作者の名前がまったくありません。これがもし憧れの小松崎茂大先生だったらたいへんうれしいです。
 東京中野区、中野西部会による平成2年発行のゆうペーンです。詳細をご存知の方、ぜひお知らせください。

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July 12, 2017

大塚均氏原画のゆうペーン

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 切手原画も多数手がけられた技芸官・大塚均氏画のゆうペーンがありました。東京の青梅勝沼郵便局新築落成記念です。図案は「青梅鉄道公園にSLを描く」と説明文もあります。郵便創業当時の書状箱も描かれています。大塚氏は山口県のご出身でもあることから取り上げました。

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July 08, 2017

年間最多発行件数

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 関東郵政局(当時)の昭和63年一年間で206件目というのが見つかった中で年間最多でした。データは関東S63-206 新局舎落成記念 栗橋郵便局 売価500円。
 年間100件を超えた年は少なくないのですが200件超えはこれだけでした。すごい勢いだったんだなあと今さらながらびっくりです。なお、次点も同じく栗橋郵便局さんの関東S63-205 栗橋のみこし。

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ゆうペーンリスト保管庫

 ゆうペーン(表紙)6,000枚の整理を進めています。ある程度まとまったつどリストにまとめてpdfファイル形式で一般公開します。この記事からアクセス&ダウンロードできるようにしておきますので、興味のある方はブックマークやお気に入りに登録しておいてください。
 なお、更新のたびにvol.No.をひとつずつ加算する方式です。最新版かどうかはこれでご確認ください。
 また、リストにするほどの量がない場合や、トピックな話題はHYPER Philatelistブログの通常記事のみの場合があります。その際はブログ画面左列のCATEGORIESから「ゆうペーン・切手帳」をクリックしてください。関係記事が常時閲覧できます。


[標準リスト/サムネール付き]
香り付きリストvol.002

[簡易リスト/テキストのみ]
香り付き簡易リストvol.002

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香り付きゆうペーン表紙(2)

 ゆうペーン表紙6,000枚の巨大アキュームレーションの総覧がようやく終わりました。各種新発見がありましたので少しずつ発表していきます。変り種切手コレクターでもある私ですので、まずは香り付きゆうペーンについてご報告いたします。

 これまでにも[1]〜[3]の3点が知られていました。今回のアキュームレーションからもそれは出てきました。

[1]七尾/表紙にツツジの香り付き
北陸H4-56 七尾郵便局 売価620円(内面は無地)

平成4年(1992)に石川県で行われた「国民文化祭」にあわせて発行された。香りは当時の七尾市の市花が「ツツジ」だったことによる。なお、市花は平成16年に合併した後に「菜の花」に変更された。(大杉輝男さん情報提供)

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[2]不老橋/表紙にみかんの香り付き
近畿H6-13 和歌山県内郵便局 売価800円

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[3]名草山/表紙にみかんの香り付き
近畿H6-14 和歌山県内郵便局 売価800円

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 今回さらに2点を確認し、可能性は高いものの香りが確認できないものを1点発見しました。

[4]童話シリーズNo.2・白雪姫/りんごの香りの丸いシール貼り
東北H2-22 盛岡中央郵便局 売価750円。香りは既に飛んでしまっていますが香りの丸シールが完全に残っていましたので認めました。なお、シリーズNo.3の桃太郎も見つかりましたが香りシールは貼られていませんでした(東北H2-106)。またNo.1とNo.4以降のシリーズは見つかりませんでした。

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[5]彩ノ国名所シリーズ第1集・日本一の道標/表紙にヒノキ?の香り付き
関東H7-49 埼玉西南連絡会 売価800円。濃厚な香りが残っていたため認めました。ただし、何の香りであるかといったことが全く記載がないため詳細は不明です。なお、記念押印されている消印データは和光白子南8.1.4。

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[6]おいでん祭/香りの確認できず
東海S63-64,65 中津川郵便局 売価500円。表紙は同一で中身の切手違いでNo.64と65の2種あり。表紙に”香りのゆうペーン”と表記はあるものの香り成分らしきものが全く感じられないため保留扱いとしました。

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 以上、6アイテムについて詳細をご存知の方がいらっしゃいましたらぜひお知らせください。

<参照記事>
香り付きゆうペーン表紙(1)日本最初の香り付き郵趣品

 

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July 06, 2017

21世紀最初の”平成の大合併(新設)”は西東京市

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「平成の大合併」とは1995(H7)の合併特例法により2005-06(H17,18)にピークを迎えた市町村合併の総称です。ゆうペーンはその初期をカバーしています。その最初期は次の通りです。

1番 1999(H11)0401・篠山市(兵庫:新設/市制)
2番 2001(H12)0101・新潟市(新潟:編入)
3番 2001(H12)0121・西東京市(東京:新設)

 田無市と保谷市の合併による西東京市は21世紀に入ってから最初の新設合併です。それゆえ管理番号も”東京H13-1”で堂々の1番です。引き続き他の合併ゆうペーン発見も努めています。

 ペーンの記述をチェックしましょう。前年の1998(H10)0202からスタートした郵便番号7桁PRのマスコットのポストンとキャッチコピーがあります。”何々をお願いします”ではなく、先に礼を述べる啓蒙標語スタイルがこの時点で既に存在したことがわかります。
 また、郵便ホームページのURLの表記もあります。eメールアドレスも含め、最初に記載が始まったゆうペーンは何かも注目しているところです。

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