おしゃべりめーると音響関係郵便商品あれこれ
滅多にヤフオクは利用しないのですが、たまたま見つけました。音声装置付き便箋「おしゃべりめーる」と言い、1996年3月21日にお祝い用2種と一般用1種の計3種が発売されました。当時の価格はいずれも@1,500円もしました。しかし、全く売れなかったために2000年3月31日で販売終了しました。今となっては超弩級のレアアイテムです。そのうちの2種を無競争で落札できたのでラッキーでした。
未開封だったおかげで20年以上も昔の品ながら電池が生きていました。せっかくなので動画を撮影しましたのでぜひご覧ください。
実は1990年代からいずれ音声を搭載した郵便商品が世に出るだろうと思っていました。なので、おしゃべりメールのことも紙版HYPER Philatelist第5号 (2000年3月20日) にばっちり載せています。テクノロジーの進歩を見通しての予感でした。
実際に音声を再生するだけの郵便商品は図のように各種あります。これらも人気がなくて切手商さんの店頭で雑品扱いされているものばかりです。
再生だけでなく録音機能まで搭載している郵便商品といえば、1957年から始まった「声の郵便」が有名です。これは郵便局員さんがお客さんのところまで出向いて録音し、それを専用封筒に納めて郵送するという涙ぐましいものでした。当時はまだ戦後の傷あとをひきずっていた時代ですので、遠く離れた親戚や親しい友人などに肉声を伝える意義もあったものと思います。
当時はけっこう売れた人気商品だったようですがこれも今では貴重品です。時々レコード盤が出てくることはあるものの、送付に用いた実逓郵便物はまず残されていません。生きているうちに1通は入手したいものです。
図は当時無料配布されていた広報紙「山口郵便局ニュース」の記事と広告のスクラップです。
1960年代に入ると裏面にソノシートを貼り付けた私製はがきを見かけるようになります。中央部分にターンテーブル用の穴が空いているのが特徴です。第1種ではなく第2種扱いで容認されていたことも興味深いです。
なお、これ画像だけでもわかる人にはわかるでしょう、貼ってあるのは7円発光切手です。これも雑品の中から掘り出したもので、消印は葛飾郵便局の和文機械印で昭和44年1月2日の年賀状です。ちょっとした自慢品です。
主にソノシートを使った切手やCDやDVDをセットにしたステーショナリーは各種あります。その中でも筆頭はブータン王国のレコード切手であることは異論はないと思います。今回はこれまで未発表の10CH (セット中最低額面) 混貼のインドあて実逓便 (1977.4.22) と9NU (セット中最高額面) のFDCをご覧いただきます。
最近はパチもんのレコード切手まで出ています(笑)。図は「ベートーベン誕生250年」記念小型シートです (スペイン・2020)。中央の丸いラベル部分だけが切手です。交響曲第5番「運命」(マドリード・フェスティバルオーケストラによる演奏) のレコード盤ということでしたが、現物を見る限りただの丸い厚紙(笑)。レコードの溝らしきものは全く見当たらない”なんちゃってレコード切手”です。なんだよこれ、責任者出てこい!🤣
(追記訂正)
一見して溝が切ってあるようには見えなかったのですが、なんと!再生できるそうです。びっくりしました。音質は良いとはいえませんが、実際に再生した様子を撮影した動画を荒牧裕一さんにお教えいただきました。興味のある方はここをクリック。
テクノロジーの進歩は想像とはだいぶ違う方向に進化しました。切手そのものに録音・再生機能を持たせるのではなく、QRコードなどデジタルコードを搭載し、それを読ませて専用サイトに誘導するスタイルが主流になりました。そのサイトを介して音声・画像そして動画を共有するようになりました。やはり未来のことはなかなかわかりませんね。
なお、音響関係の郵便切手や郵便商品はメジャーでないだけで世界各国に存在しています。図は自作の郵趣データベースからのスクショです。アルゼンチンでは1939年の時点で既にレコードを郵送するための郵便「FONOPOSTAL」があり、その専用切手まで発行されていました。このジャンルも世界標準の眼差しで俯瞰するべきですね。
「おしゃべりめーる」はもし同類品が他になければ、1957年の「声の郵便」に次ぐ日本で2番目の”録音機能を搭載した”音響関係郵便商品と言えます。
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