現代史

July 16, 2026

上皇陛下の英語教師宛

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 著名・有名人だけでなく、地域の老舗企業・大企業・官公庁発受の郵便物にも対象を広げて収集しています。そんな中、宮内庁差出の国際郵便物を拾いました。銘入り専用封筒なれど、あまりにも素っ気ない姿だったせいか無競争で落手しました。現物が届いてから宛先にピンときて調べた結果が大当たりでした。

  エリザベス・グレイ・ヴァイニング(1902年10月6日 - 1999年11月4日)は、ペンシルベニア州フィラデルフィア生まれのアメリカの児童文学作家、図書館員であり、1946年から1950年まで皇太子明仁親王(現在の上皇陛下)の英語家庭教師を務めたことで国際的に知られる人物です。
 第二次世界大戦後、日本は連合国軍の占領下に置かれました。当時の皇太子明仁親王に民主主義的な価値観や英語を教える家庭教師として、GHQと宮内庁がアメリカ人女性を探しました。候補者の中から選ばれたのがエリザベス・ヴァイニングでした。1946年10月から1950年までの約4年間、週数回皇居へ通い、皇太子に英語だけでなく文学、歴史、国際感覚、人間性など幅広い教育を行いました。授業では暗記よりも対話を重視し、自由な発想を促しました。彼女は皇太子を深く尊敬し、その誠実さや知的好奇心を高く評価している。一方、皇太子もヴァイニングを終生敬愛し続けたと伝えられています。
 帰国後も皇室との交流は続き、1960年には皇太子明仁親王と美智子妃殿下の招きで再来日されました。その後もたびたび来日し、上皇ご夫妻とも交流を続けられ、晩年まで日本への深い愛情を語っておられました。
 なお、この当時ヴァイニングは70歳。高齢者向け住宅のAlden Park Manorの住所が確認できる資料であることも特筆すべき点です。

 

 

 

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June 21, 2026

驚きの押印練習紙

 郵趣家が郵頼をした時の返信便が押印依頼書などとともに丸ごと保存されている例があります。その実例を自分のHYPER Philatelistブログで紹介したこともあります。興味のある方は参照ください。

参照:郵頼のための押印サービスページ開設

 そのファミリーがまたひとつ増えました。パインスタンプさんから無料で払い下げられたエフェメラ類(別名「紙クズ」)から出てきました。福岡県内の当時のどこぞの初日指定局でしょう。特印の押印練習に使われたらしき裏紙です。が、表がトンデモナイしろものでした。なぜか練習後に捨てられることなく遺され、しかもよりによって最悪な(最適な?)私のところにたどり着いてしまいました。

 

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 かつて、今の山口市名田島地区にも朝鮮人集落がありました。80を越えた叔母に聞きましたところ、帰還運動が始まって間もなく(昭和30年代後半)集落全員が北朝鮮に渡ったそうです。以後、同級生だった友人を含めて全員音信不通になったそうです。帰国者の多くが厳しい生活環境に置かれ、後年になって差別や飢餓、政治的抑圧に苦しんだ実態が明らかになっています。このチラシ紙に記されている1967年(昭42)当時はまだ帰還事業継続中であり、日本国内では北朝鮮の実情は十分知られていなかったのかもしれません。

 しかも、この頃は郵便局の全逓運動も活発だった時期ですから、この種の政治的なビラも局内に持ち込まれていた可能性があります。当時の帰還事業をめぐっては、北朝鮮の実情に関する情報が十分に共有されていたとは言い難く、この一枚の押印練習紙からも当時の社会情勢の一端をうかがうことができます。

 

 

 

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May 31, 2026

無断発行された皇太子御成婚絵はがき

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 活動母体の夕刊岡山、岡山ペンパルズクラブとも現存しておらず、なおかつ事後60年を経過したので公に記事化します。

 茶袋に入った2種のモノクロ写真の絵はがきは、昭和34年の皇太子御成婚の時のものです (現在の上皇上皇后陛下) 。夕刊岡山と岡山ペンパルズクラブの連名で発行・配布されたのですが、ちょっと信じがたいことに宮内庁に無断でやらかしたことで大問題になりました。権利意識が希薄だった時代とはいえ、そして営利目的ではなかったとはいえども、勝手にやってしまうなんて目眩がしそうなほどに信じがたいです。

 袋書きには”所要の切手も貼り宛名もプリントしてあります”とありますが、実際に所持している品は何も加えられていない完全未使用品ばかりです。図版の2種には宛名シールが貼られていますけれど、これはむしろ例外。しかも発行元が事前に貼ったものかどうかも定かではありません。そして何より、JPS岡山支部の田中支部長さんによる地元での掘り出し品以外で見たことがないという謎だらけです。

 袋書きから察するに、送付先が1万人として×2種で2万枚ぐらいは発行されたものかと想像されるものの、割と早い段階で問題が発覚したことなどを考慮すると、実際には多くても数千枚程度しか世に出ていない。現存数はさらに少なく、多く見積もっても百枚程度ではないかと思います。

 郵趣家ですから実際に送られた実逓便をずっと探し続けています。当然ながら見かけたことすらありません。通信文にはprinceの語はあってもAKIHITOの記名がないため、テキスト検索にも引っかかりにくいのでしょう。

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<参考:袋書きの文言を以下に文字起こししておきます>

世界の人々に
ご成婚の絵葉書を送りましょう

 このたび皇太子殿下ご成婚に際し夕刊岡山と岡山ペンパルズクラブが共催で世界各国からお祝いの言葉を募集したところ約一万通の手紙を世界五十余ヵ国から受取りましたが、この絵葉書は、それに対するお返しの言葉を、日本国民の一人一人として送っていただくためのものであります。
 われらのプリンスのご成婚を、遠く海外にある一万人以上の外国の人々が共に喜んでくれたということはわれわれ日本人として心温まるうれしいことではありませんか、どうかこの絵葉書を一人でも多く出して下さい。

 この絵葉書には所要の切手も貼り宛名もプリントしてありますから、あなたのお名前と住所をローマ字で下部に書き入れるだけでポストに投入して下さい。もしあなたが何か文章を書き加えられる場合は切手をもう10円貼り足して下さい。またご希望によりあなたの住所氏名の代筆もいたしますから下記へご委託下さい。

岡山市東中山下88 夕刊新聞株式会社事業部
岡山市上之町58 岡山ペンパルズクラブ

 絵葉書に印刷してある英文の和訳は下の通りです。
拝啓 わが国の皇太子殿下のご成婚に際しあなたが心からのご祝詞をお寄せ下さいましたことを、私は日本国民を代表して厚くお礼申上げます。この機会に貴国と日本との友好がますます増進し世界の平和の礎がより深く固まることを心から念願いたします。そのために感謝をもって私たちも心を合わせようではありませんか。

夕刊岡山
岡山ペンパルズクラブ

 

 

 

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May 23, 2026

通信の秘密は、これを侵してはならない

 日本国憲法第21条第2項は、「通信の秘密」を基本的人権として保障しています。手紙・電話・電報、そして現代であれば電子メールやSNSに至るまで、その内容や通信相手を国家や第三者からみだりに知られない自由を意味するものであり、自由社会を支える根幹のひとつと言ってよいでしょう。もっとも、この権利が歴史上まったく無制限であった訳ではありません。郵趣の世界でも、受刑者・被拘禁者の郵便物に対する検閲、いわゆる「監獄郵趣」は古くから知られています。封緘の開披、検閲印、差止表示などは郵便史料として極めて興味深い一方、その背後には常に、国家権力と個人の通信の自由という重い問題が存在しています。

 しかし、今回ご紹介するのはそれとも少し異なる、さらに扱いの難しい領域です。精神科病院の入院患者が差し出した実逓郵便物です。精神科医療の現場では、患者の安全確保や治療上の理由から、一定の通信制限が行われる場合があります。例えば、自殺・他害の危険、錯乱状態における大量投函、詐欺被害の防止、他患者の個人情報保護などがその理由として挙げられます。しかし当然ながら、それは無制限に許されるものではありません。特に現代日本では、包括的・恒常的な検閲は強く否定される方向にあり、患者の人権保障が重視されています。

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 そのことを踏まえたうえでご覧いただきたいのが、この昭和53年(1978)1月に差し出された、アメリカ宛航空はがきです。差出人は精神科病院入院患者であり、本文には「自由開放病棟だから仙石原と大した変りはないと云うのを信じて来たら、今の所は全く精神病患者の仝様の取扱いで、自由に電話をかける事も手紙やはがきを書いて自分で出す事も出来ない、一々監視検閲が必要で所持品や送ってくる品についても大抵仝
様……」と記されています。(注:「仝様」は当時の差出人表現のまま。「仝」は同の異体字)

 注目すべきは、差出人自身が「1978.1.23」と記した日付に対し、実際の消印は一週間後の昭和53年1月30日・調布局機械印となっており、病院側による留置あるいは確認作業の存在を強く推測させます。もちろん、これらだけをもって病院側の行為を断定的に論じることは出来ません。当時の精神医療体制、病棟規則、患者の病状、郵便差出経路など、多くの前提条件を慎重に考慮する必要があります。しかし少なくとも本状は、昭和50年代の精神科病院における「通信の自由」の実態を生々しく伝える貴重な証言史料であることは間違いないでしょう。

 本状差出から6年後の1984年(昭和59)、日本社会を震撼させた「宇都宮病院事件」が発覚します。1984年(昭和59)3月14日の朝日新聞報道を契機として、精神科病院における患者虐待や隔離の実態が社会問題化し、日本の精神医療は大きな転換点を迎えることになりました。本状は、まさにその「事件前夜」の時代空気を宿した郵便物です。

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 なお、本状は差出から半世紀を経ておらず、病院も現存していること、さらに通信文そのものが極めて高度なプライバシー情報を含むことから、画像・本文とも大幅にマスキング処理を施しています。ご理解いただければ幸いです。なお、研究目的の範囲では、山口郵趣会例会など限られた場において現物を提示予定です。

 精神科病院入院患者差出の実逓郵便物は、筆者確認例としては本状でまだ2通目に過ぎません。「珍しい使用例」というより、そもそも現存絶対数そのものが極めて少ない分野なのであろうと考えられます。

 

 

 

 

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May 19, 2026

AIでデザイナーが失業?

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 以前、声優さんたちが自分の声をAIが自動合成して使うことに反対しているニュースを見ました。著作権の侵害であり、そんなことを許したらおまんまの食い上げだというのはごもっとも。その一方で、どんなに規制しても無理だろうなあとも思いました。たとえ法律を作ったところで悪意がある模倣者はやらかすものだし、現実的に著作権侵害がないかどうかをいったい誰が監視するんですか?、無理でしょう。

 デザインの世界の方がもっと深刻で、納品したイラストをお客さんが勝手にAIで改造しただの、2次利用されたのにギャラをもらえないなど、あれこれネットに流れてきます。ところが、私を含めて老害クラス(私がいかに老害と戦ってきたか何も知らんくせに私を「老害」呼ばわりしてきた舐め腐ったガキがいたので、あえて勲章として自称することにしました🤣)のデザイン職は冷めて見ています。むしろ、AIがどこまで仕事ができるようになるのか、楽しみに眺めているというのが大方であろうかと思います。流用・改変ごときであたふたするのはキャリアが浅いか、真面目に過ぎる人だけです。

 流用・改変どころか無断盗用されるなんてのはAI以前から普通にありましたからね。私ですら何回もあります。AI云々に関係なく、自分の著作物を守るのは法律ではなく自分の頭脳しかないのです。最初から2次使用の項目を契約書に盛り込むとか、著作権を丸ごと売り渡す代わりにデザイン料以外に数倍の金額を上乗せするなど、対策はいくらでもあります。それをしないでのほほんとしている方が悪いのです。
 クライアントさんの職種によっては改変を認めてもらわないと使い勝手が悪くなる場合が少なからず。現実的には著作権を含めてデザインを売り渡すのが良いでしょう。金額が折り合うかどうかはあなたの交渉力次第です。

 切手の世界でもAIを使ったデザイン切手が9件認められます(20260501時点)。AI生成ですよと言われなければそれとはわかりませんが、かといって人力を凌駕するようなできばえでもありません。だからこそ”AIがどこまで仕事ができるようになるのか、楽しみに眺めている”のです。

 私的にあれこれ作画してもらっていますが、おおむねリベラル傾向が強すぎてなんの毒もない平凡なものしか上がってきません。実際にあった例としては「浮浪者」はダメでした、作画自体を断られました。理由は差別を助長する懸念があるからだそうです。差別かどうかはこっちが判断するからと言ってもNOでした。昭和の老害風に言うと「こいつ、使えねえな」です。

 常識ギリギリを攻めなくてはならない場面ってのは普通にあるので、つまり、常識の範囲内で既視感のある凡庸なデザインをさせるだけなら良いのですが・・・断言すると当面創造性は期待できないってことです。

 とはいえ、デザイナー職の求人自体が激減する未来が来るであろうことは確実です。AIに指示を出す審美眼のあるアートディレクターやビジネスとして成立させる役割のプロデューサーは生き残れるでしょうが、並のデザイナーは必要ではなくなります。イラストレーターもその人にしか描けないというレベルのごく一部を除いて必要とされなくなるでしょう。それでも業界としてはそんなに心配してはいないように見えます。これもAI云々以前に既に職種自体がなくなるという経験をしているからです。
 デザイン業界にパソコンが入ってきて街中の写植屋さんが壊滅。元オペレーターさんなんかも多いことと思います。さらに設備面ではジアゾ式図面コピー機(いわゆる青焼き)も、大型のライトテーブルもとっくになくなりました。製図盤ももう絶滅危惧種でしょう。手描き図面を持って行ったらパソコンが故障したのかと心配されるのがオチです。

 図は今年ドイツが発行したグリーティング切手「花」です。裏糊式とセルフ糊式が同時発行されました。この図案がAI生成です。じきにAI生成が当たり前になり、特に注記されることもなくなるでしょう。デザイン業界で生き残る自信のない方は早めに転職してください。

 

 

 

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April 13, 2026

防府市の「おこめ券」送付の行政郵便

 桑木正道さんからご提供をいただき実逓カバーを入手することができました。いつもありがとうございます。

 

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 事前周知の通り、郵便局のゆうパックでの発送でした。中身はおこめ券3,080円分 (440円券×7枚) と商品券2,000円分 (1,000円券×2枚)。検索結果 (追跡記録) を見ますと、先月の3月13日には防府郵便局に持ち込まれていました。同月19日朝から順次発送が始まり、桑木さんお住まいの多々良地区では4月3日に配達されていました。ちなみに他の地区の例も確認しましたところ、持ち込み~発送準備完了までのスケジュールはまったく同じでした。

 

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 商品券の類は信書には当たらないので、法的には宅配業者さんも取り扱うことができます。しかし、ヤマト運輸さんや佐川急便さんなどでは、約款で商品券・金券類は取扱不可または補償対象外とされています。理由はシンプルで、現金と同等のリスク (盗難や紛失) が懸念されるためです。つまり、実務上では郵便が最も現実的で安全です。むしろ日本郵便さん以外での配達例があれば是非ともGETしておきたいものです。

 一昨年からの米不足と市場価格の高騰、農政の失策、高市政権の施策などなど、その時代の物証と言える郵便資料です。防府市以外の例も入手したいところです。引き続きご協力・ご支援をお願いいたします。

 

 

 

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March 14, 2026

山口郵趣会 (JPS防府支部) 例会案内

日 時:2026年3月21日(土)13時~16時
場 所:防府市立佐波公民館(学習室)

 今月も終活郵趣家さんからの寄贈品を2~3箱持ち込み、皆で分配するお楽しみ企画を行います。これまで通り、例会開始の13時から1時間を交換・売買の時間に充てますのでふるってご参加ください。大量につき自宅に持ち帰ってのチェックと購入にも応じます(信用取引)。

 2月に初開催しました郵趣講演会「楽しい切手の話」にご参加いただきありがとうございました。県外では広島、熊本からもご参加があったほか、なんと池田防府市長さんまでお見えになりました。詳しくご報告いたします。

 2月の衆院選 (県知事選) では面白い郵便使用例が散見されました。山口県内でも自治体によって対応が若干異なっていましたので実例をご覧いただきます。また、特に珍しい不在者投票の使用例についてレジュメをご用意しましたので詳しくお話しします。皆さんもご自身宛に届いた選挙はがきがあればぜひご持参ください。

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 山口県では、偶然、衆院選と県知事選の投票日が重なってしまいました。山口市は衆院選用の投票所入場券を別途発行することはせず、県知事選用のそれを共用する旨のお知らせはがきを送ってきました。同様例の記憶がないので配達日をメモ書きしてコレクションに加えました。

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 最も重要なご相談があります。ここ数年をかけて会の収益体質を強化してきた成果で、年会費無償化の目処が立ってきました。新年度4月からの実施を視野に細かい条件を決めるべく3月例会でご相談・ご提案いたします。

[連絡先]
椙山哲太郎 (山口郵趣会会長)
aplcofe@gmail.com
090-8765-2197

 

 

 

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February 01, 2026

郷土の大郵趣家・藤本敏一氏

 昨2025年8月17日、山口県が誇る大郵趣家・藤本敏一(ふじもと・としいち)氏の子孫の方から直接ご連絡をいただき、遺品コレクションを引き受けさせていただきました。郷土の郵趣家の事績も記録保存している自分にとっては願ってもないことでした。主要コレクションは既に処分された後とのことで、その通り切手に関しては普通でしたけれど、郵趣活動家としての貴重な品々は残されていました。前述の通り、自分はむしろその方面での資料収集に力を入れているので記録に残すと同時に可能な限り公開して参ります。
 藤本氏は戦後間もない昭和23年に山口郵趣会を創設されました。奇遇にもお声かけいただいた2025年に自分がJPS防府支部を山口郵趣会と改めました(第2次になります)。そのご縁を踏まえ、遺品コレクションは私個人ではなく山口郵趣会として引き受けさせてていただきました。その後半年を経て、例会での引き継ぎ分譲もほぼ完了しましたので、一区切りつける意味で郵趣活動家としての足跡を示す8点を選抜してご覧いただきます。

 全体のボリュームはこんな感じでした。軽自動車の後部座席ほぼ満杯の量でした。

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 中国郵政局(当時)からの第20回全日本切手展 中国地方予備選の審査員依頼です。公務員の方なら依頼書のフォーマットが正式な公文書であることが一目でおわかりかと思います。
 なお、藤本氏は「山口県吉敷郡小郡町」だけで郵便が届くトンデモナイ有名人でらっしゃいました。個人情報保護のモザイク処理を必要としない大家であったこともあわせてご理解ください。
(19691213/昭44)

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 審査員依頼書に同封されていた中国郵政局報第887号です。全日展の審査基準が表紙を含めて3ページにわたって掲載されています。これこそ後年の資料とするため、関係箇所全文をご覧いただきます。
(19691218/昭44)

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 春の切手趣味週間に合わせて企画された宇部郵便局の切手展、その出品要請に応じた藤本氏へのお礼状です。文面と日付から開催前に送られたことがわかります。手持ちの資料と照合しますと、昭和46年4月の切手趣味週間切手展で、使われた小型印図案も「常磐公園と鯉」と判明。小型印の使用期間は4月20日から22日までの3日間です。
(19740418/昭49)

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 戦後直後の昭和20年10~12月の山口郵便局の別納使用例です。本来なら廃棄処分されるところを郵趣会重鎮の顔でレスキューされたものの一部と推測します。料金別納制度は大正時代からありましたが、別納シートを郵趣家・切手商に払い下げが開始されたのは1955/昭30年9月からです。空白期の貴重な使用例をよくぞ残しておいてくださいました。
 なんせ終戦直後に第1・2次昭和切手のシートを在庫していたというのが驚きです。山口郵便局が意識して在庫していたものか?。あるいは金額的に民間企業とは考えにくいため、地理的に近かった山口県庁・山口市役所が手持ちしていたものかと今となっては想像するしかありません。これらブロックも山口郵趣会例会で目利きさんに委譲されました。
(19451022/昭20)

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 ドイツ占領セルビアの小型シートです。藤本氏は戦前から国際的な文通・交換サークルに加入されていました。これはその交換相手から入手されたものと思います。額面1+寄附金49、同2+48セルビア・ディナールというトンデモナイ高額寄附金付きです。裏糊のない厚めの紙が使われており、ハナから郵便使用を意図したものではありません。いったい誰が買えたのだろうと不思議です。なお、別に無目打シートもあり。現在のカタログ評価は目打あり・なしとも€70ほどです。
(1941/昭16)

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 第2次国立公園シリーズの「大山隠岐国立公園」より隠岐浄土ヶ浦のマキシマムカードです。フジカラーのプリントサービスを使ってのはがき用紙であることから、写真趣味もおありになった藤本氏自身が撮影されたものと思われます。当該切手に駅鈴を描く有名な隠岐島の西郷郵便局の風景印が押されているのがベスト・マッチングです。
 なお、写真下部に2人の紳士が写っています。誰なのか今となってはわかりません。初日カバーやマキシマムカードを自作される場合は、後年のために解説書の添付や裏面への印刷を切望するのはこうした事例があまりにも多いからです。(実際はほとんどがこの説明なしパターン)
(19650120/昭40)

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 最後はちょっと変化球。当時取引をされていたであろう切手商の東京スタンプ商会の切手納入袋です。はっきり印刷されているように、郵便切手の直輸出入のほかに観光客向けのお土産品も作っていたことがわかります。切手商さんの業態も時代によって変化していますので、こうした梱包用品類も大切に保存しています。
(時代特定は困難。左書きであるところからおそらく戦後、それも貿易再開の昭和23年以降)

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January 30, 2026

謎の農事グループ「百姓家」

 防府切手のつどい2026冬にてまたまた百姓家宛の郵便を入手しました。なんともストレートに過ぎる名前なのでギョッとしますね。しかし、その実態はほとんどわかっていません。

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 「百姓家」名義で農業雑誌を発行していた記録が国会図書館にあり、農業を核にしての出版、啓蒙活動をしていた農事グループ会社ではなかったと想像しています。場所も「阿武郡奈古村第三百六十六番屋敷」と判明しています。

 それが倒産したか廃業・解散して家屋敷が解体された結果、百姓家宛郵便物が古物商へと流れ、そして私たち郵趣家の許へと流れ着いたことはまず間違いないところです。それを100年以上も後になって調べようなんてのがそもそもクレイジーであることは承知の上です。

 にも関わらず惹きつけられるのは、差出人がいずれも東北・北関東に偏重しているからです。今回お示しするのもはがきが栃木県(明治21)、書状が宮城県(明治30)です。

 特に1896-09(明治29-39)に発行された「實業雑誌」には百姓家の出版物「百姓家」を「其名の如く農家の談話実験等を記載したる小冊子にて有益の書なり」と讃えているのですが、その出版社は福島實業雑誌社と言います。長州の宿敵会津藩なのにいいのか?。

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 以下は私の全くの想像です。藩政時代に地域の知を統べていたのはいわゆる庄屋さんでした。当時、読書階級といえば武士と僧侶しかいなかったと思われがちですが、実際の農村地帯の小作人子弟のために寺子屋や私塾を運営したり、生活のあらゆる面をサポートしていたのが庄屋さんです。
 それが明治維新後にもその社会機能が維持され、知的好奇心に溢れた青少年たちの集う場所になりました。身近なところでは山口市阿知須の江口家がそうです。それが後の自由民権運動の担い手になり、要は今で言う反体制活動組織としておおいに弾圧もされました。東京の八王子・多摩地区なんかはその騒乱の代表地なのはよく知られているところです。
 記録が全く見つからないのでなんとも言えないのですが、百姓家もその始まりは庄屋さんあるいは篤農家による農村社会の啓蒙活動団体だったのではないか、またそうあって欲しいと夢想しているところであります。

 実は2年前の2014年に実際に現地を訪ねました。活動期間は決して短くないのに痕跡は一切なく、阿武町史にも記述がありません・・・とは町役場でお聞きしたご返事でした。それ以後、リサーチは全く進んでいません。地元の方で何かご存知ではありませんでしょうか?。

 

 

 

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October 24, 2025

アメリカ独立250年を前に

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 来る2026年はアメリカ独立250年の節目の年です(独立宣言の署名から250年) 。同200年にあたる1976年は、本格的に切手収集を始めて2年目でしたので、1975年から多種多様な記念小型シート群が発行されていた様をリアルタイムに経験しています。当時は高校生、2026年は65歳になります。

 

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 郵趣誌10月号の編集部おすすめに「アメリカ独立戦争の戦場」が取り上げられています。これは来年の250年を見据えてのフォアランナーでしょう。独立と同時に陸海海兵3軍、そして郵便も250年を迎えるので、これから賑やかになりそうです。
 特に歴史題材として南北戦争テーマも発行されるでしょうから注視しています。それは山口県民および長崎県民なら常識と言えることがらが関わってくるからです。
 南北戦争が終わったのが1865年。そして第二次長州征伐が1866年です。このたったの一年間で何があったか。それは終戦で大量に余った銃を長崎の武器商人グラバーなどが上海市場で買い漁り、それを長州藩が購入したからです。今も博物館などで保存されているスペンサー銃あたりがその代表です。藩独自に購入したものの他に、薩長同盟の成果として薩摩藩名義で輸入された銃が秘密裏に長州藩に分配されるなども行われており、それらも含めると一体どれほどの数に及んだことでしょうか。

 こうした歴史を切手上でも辿ることができるのもまた郵趣の面白さです。郵趣は他の収集趣味と違い、アイテムを入手して終わりではなく、入手してからが始まりと言えます。だからこそ郵趣は日本郵便より長い歴史を保ち続けることができたのです。知的好奇心を満たすには郵趣がお勧めです。

 

 

 

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