盛り上げ印刷

December 02, 2015

日本最初の盛り上げ印刷?

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2015120204 フィラメイト12月増刊号が届きました。9ページ下に掲載されている「神戸ルミナリエII」ホルダー入りがけっこう面白いのです。ふるさと切手とともにパッケージされたポストカード4種(料額印面なし)には、透明樹脂による盛り上げ印刷が施されているのです。4種全てそうです。発行当時も特に話題になることもなかったので私も実物を見るまでまったく知りませんでした。

 ファンタスティック・スタンプクラブ(FSC)あてに寄付していただいた不要品の中に、ホルダーとポストカードだけが残った状態で入っていました。料額印面がないので、これを正統な郵趣品とみなすかどうかは意見の分かれるところでしょう。しかし、私の知る限りではこれが日本郵便最初の盛り上げ印刷アイテムです。発行日は2005年12月9日です。

2015120305 ホルダーは青版のフロントーネ、赤版のスパッリエーラの2種があります。中身は同一です。ふつうは捨ててしまうホルダーですが、コピーライト、再生紙使用、ソイインク使用の各表示がしっかり入っていますので、環境郵趣の1アイテムとして残しておく価値はあると思います。
 ふるさと切手もパッケージされた完全セットはフィラメイトでお買い求めください。しかし、タトウとポストカード4種セットだけでよろしければ1セット500円(送料込み)で分譲します。ホルダーがまた狙ったかのようにぴったり納まるスマートレターで発送します。青版か赤版のどちらになるかは一任してください。

 左欄上から2行目「メール送信」をクリックすると現れますメールフォームにてご連絡ください。折り返し送金先等をご連絡いたします。先着順です。

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November 10, 2013

日本の「異物混入・添付」郵趣品

2013111004 「異物混入・添付」とは変り種切手コレクター仲間でよく話題になる分類軸です。紙製の切手に異なる物質が文字通り混入されたり添付された切手類のことです。
 古くは1972年にチリが発行した「銅鉱山国有化記念」小型シートが知られています。シート下部に銅製メダルが接着剤で貼り付けてあります。ソリッドなメダルではなく、薄い銅板にエンボス加工を加えた軽いものですけれど、紙は薄手のケント紙並の堅牢な用紙が使われています。また、印面には1971とありますが実際の発行年は1972ですのでご注意ください。

 今世紀に入ってからは樹脂に異物を混入させて切手上に印刷する方法が登場しました。樹脂が厚みを持ったまま固まるので広義には盛り上げ印刷の一種です。あるいは表面を覆っているのでコーティング印刷でもあります。この樹脂に異物を混入させた最初が2002年・ジブラルタル発行の「ジブラルタルの岩」4種横連刷です。製造はフランスのカルトール社です。現在においてもなお樹脂スタイルの異物混入・添付切手は同社が圧倒的なシェアを誇っています。
 しかしながら、この技術は切手専用に開発されたものではなく、もともとは民生用の商業向け技術でした。カラー印刷を引き立たせるためにカタログやパンフレットなどに透明なコーティング剤を印刷方式で塗布していました。これは日本でもよく見かけるものです。

 そして日本の郵趣品でも樹脂方式の異物混入・添付例を発見しました。記念切手も発行された昭和63年(1988)の鹿児島国際火山会議です。この時に郵便局が作った私製はがき2種、記念切手帳2種です。余白にはっきりと「この印刷は火山灰で加工したものです」と注記があります。
 左は桜島の山体と噴煙部分(空の部分以外全部)に桜島の火山灰が樹脂とともに印刷されています。樹脂が透明なのでルーペで見ると、火山灰の細かい粒が見えますし触感でもわかります。右は噴火をイメージした赤い溶岩部分に同じく火山灰が練り込まれています。こちらは樹脂に不透明な赤色が着色されています。

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 はがき2種とセットであったらしい記念切手帳の表紙にも同じく赤色部分に同様の加工がなされています。

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 上記とはまた別種で「ザ・桜島」と題する紐綴じ切手帳も入手しました。そこには桜島のイラストに合わせて樹脂状の接着剤がシルクスクリーン方式で印刷され、その上に桜島の火山灰を振りかけています(下画像の黒色部分はすべて火山灰です)。以前、私がご紹介した方法と良く似ていますが、最終的に火山灰丸ごとをオーバーレイしておらず粒子がむき出しです。そのために指先で触ると火山灰がぽろぽろこぼれ落ちます。これはちょっと困った例です(笑)

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 これらはいずれもJPS鹿児島支部の元支部長だった故植田総一さんの旧蔵品です。責任と使命感を持って私が引き継がせていただきました。

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August 25, 2010

エイヤフィヤトラヨークトル火山噴火

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 今年2010年3月20日から約2ヶ月間にわたって噴火を繰り返し、その火山灰がヨーロッパ各国の空港を一時閉鎖に追い込んだ、あのエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火を描く切手が出ました。当事国のアイスランドが7月22日に発行したもので、商魂逞しいと言いますか、転んでもタダでは起きないと言いますか、やはりお見事な早業と賞しておきましょう。
 しかもここぞとばかりに特殊印刷技術を投入しています。切手本体はオフセット印刷(リトグラフ)で、これにシルクスクリーンの盛り上げ印刷で透明樹脂の中に火山灰を混入しています。オランダのエンスケデ社製で、もちろん同国初の異物混入・添付切手です。指先で樹脂部分を触ると火山灰のつぶつぶ感がわかります。ルーペでもはっきり見えます。
 今回も図版は公式FDCを掲げました。3月10日から4月10日までの地震波形をカシェにしている点がいいと思ったからです。実際にヨーロッパの空港で足止めを実体験した方、郵便物が遅延して届いた方など、当時の航空券や郵便物とともにこの公式FDCもしくは切手をセットでコレクションされることをお薦めします。せっかくですからね。

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January 18, 2009

切手が伝える視覚障害

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 表題の郵趣文献を著者の大沢秀雄さんからご寄贈いただきましたのでさっそくご紹介いたします。彩流社の5冊目の「切手で知ろうシリーズ」になります。JAPEX'08の時の大沢さんのご講演を思い出しながら一気に目を通しました。当たり前のことですがオールカラー本というのはいいですね。HYPER Philatelistにとって得難いネタのてんこ盛りです。表紙カバー上部に、実際に点字で「キッテ」と打たれているのも芸が細かい。こういうの好き(笑)。
 下記でインターネット購入できますのでリンクを設定しておきます。

■彩流社 切手が伝える視覚障害

 せっかくですから点字エンボス以外の特殊加工について記しておきます。印刷物の表面に凸部を形成すること、その総称を「エンボス」と言います。伝統的に金属製の凸形状版を紙の裏から押し当てる工法が主流でした。それが近年に至り、樹脂系の盛り上げ印刷なども登場し、これも広義にはエンボスのひとつです。つまり工程・工法が問題なのではないということです。まず、この基本認識を頭に入れておいてください。

【エンボスとデボス】
 そこから一歩踏み込んで、郵趣の世界では裏からプレスするのをエンボス、表からプレスするのをデボスと言って区別するようになりました。いずれも金属金型(ロール版等)が使われます。エンボスもデボスも成果品の見た目上の明瞭な違いが少ないことから、区別しない考え方もあります。私の場合も、発行元がデボス加工であると正式にインフォメーションしたものに限って区別しています。

【凹版切手】
 もともと凹版用インクはそれ自体の粘度が高く、高い圧力をかけるために"結果的"に盛り上がった仕上がりになります。下図左の「ハンガリー難民支援寄附金付き加刷」(ドミニカ共和国/1957)がそれで、赤版の加刷マークと寄附金表記が盛り上がっています。その下は同切手の裏面で、高い圧力の結果くっきりと押圧痕があります。日本の船シリーズでも盛り上がった凹版用インクを体感できますので指先で触れてみてください。ただし、これら凹版を盛り上げ印刷とは看做さないのが普通で、私もその理解で良いと思います。

【発泡インク】
 印刷後に膨らんで固化するもので、これは切手の世界では私はまだ見たことがありません。ただし、民生印刷物では以前からある工法なので、いつ何時、切手に使われても不思議ではありませんので一応取り上げておきます。

【透明樹脂】
 これが今、盛り上げ印刷と呼ばれているものの主流です。特に多いのが現Phil@poste(旧ITVF)製の仏領ポリネシア切手、仏カルトール社製のその他各国切手などがあります。その特徴はプレスして凸形状を形成するわけではないので、切手裏面に押圧痕がないことです。これがエンボス、デボス加工と大きく異なる点です。ただし、これも加工面積が広いと表面ニス塗りとどこが違うのか、厚みの違いだけでどこまで判別可能か(判別する意味自体があるのか)といった不確定要素があります。これらは今後の検討課題です。
 なお、この技術自体は意外な古切手に登場しています。かの悪名高いアラブ土侯国ラスアルカイマに見ることができます。下図右の「日本鉄道100年」(1971)の図柄すべてが暗青緑色の樹脂インクによる盛り上げ印刷です。図版の通り裏面の押圧痕もありません。往時のパケットにもさんざん紛れ込んでいた安切手ながら私が確認した最古例です。翌1972年の札幌オリンピック便乗切手にも同じ技術が使われているものの、アラブ土侯国だけに当時の技術情報がわからないのが悔やまれます。
 その後、1990年代まで空白期が続いているので、技術的な継続性があるのかどうかも未解明です。

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