永久保証

December 22, 2022

HAPPY HOLIDAYSのポストマーク

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 インクジェット式機械印の広告部とでも言えば日本ではわかりやすいと思います。アメリカ郵政公社は、2022年11月26日から12月30日まで、4種類のグラフィックスが使われます。私宛にも1通届きましたのでご覧に入れます。詳しくは下記URLを参照ください。

https://about.usps.com/holidaynews/

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 なお、貼られているアフリカンデージー図案のGLOBAL FOREVER切手の発行時 (20220314) の売価は$1.30。今は郵便料金が上がって$1.40になりました。値上げ前に買った人は10c分得した計算になります。これが永久保証切手のメリットです。
 日本にはない郵便制度なのでピンと来ないとは思いますが、郵趣2023年1月号の巻頭カラー6ページ+モノクロ1ページにわたって無額面切手と永久保証切手について執筆しましたのでぜひお読みください。

 

 

 

 

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July 21, 2022

無額面切手のお話(後編)

8.永久保証切手の登場

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 無額面切手にして同時に永久保証であると明確に意思表示したのは、私が知る限りではイギリスが切手発行150年を記念して1989年に発行した1STと2NDのマーチン切手が最初です。それぞれ4枚田型と10枚ブロックの2種の切手帳形式で発行されました。1STは日本で言えば普通郵便、2NDはそれよりちょっと遅い郵便のことです。
 切手発行150年記念の特別な意味合いで、将来、郵便料金がいくらになっても加貼切手不要でこのまま使うことができるとされました。これこそが「永久保証」のコンセプトです。つまり、ユーザーは郵便を出す権利を買っているのであって定額の金額分の切手を買っているわけではないという解釈です。長期的に考えれば郵便料金は値上がりしていきます。一種の先物取引のようなものと言えましょうか。

9.カナダはPERMANENT (パーマネント) 切手

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 2006年11月、カナダが一挙に7種の永久保証切手を発行しました。印面のアイコンPはPERMANENTの頭文字。発行時は国内あて30g以下の基本料金用切手として51cで発行されましたが、翌年1月には52cに値上がりすることがわかっていました。今買っておけば1cお得ですよ、という意味です。
 ところがカナダはたいへんにえげつなく、以後毎年1cずつ値上げし、そのつどパーマネント切手を発行するという販売戦略を採りました。さすがに付き合いきれないと判断して全種を購入するのは2015年頃でやめました。

10.アメリカはFOREVER (フォーエバー) 切手

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 カナダに遅れること半年後の2007年4月、ついにアメリカが本格的に永久保証切手の発行に踏み切りました。リバティー・ベル図案にFIRST-CLASS FOREVERと表示しています。ちょうど1オンス (28g) 以下が39cから41cに値上げされるタイミングで発行されました。カナダ同様、今買っておけば2cお得ですよ、という意味です。
 そして2011年からは同国のすべての記念切手がフォーエバーになったのはご存知の通りです。

11.先物取引だけに損することもある

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 郵便を出す権利を買ったのですから逆に損することもありえます。滅多にないことながら唯一の先物損の例があります・・・というより私自身が体験しました。
 フィンランドが2010年5月4日に発行した「ジャンピング・フォー・ジョイ」小型シートは第1種用€0.80×5種の€4.00。発行時に同郵政で未使用を購入しました。ところが手紙振興政策で同年8月1日に€0.75に値下げされてしまいました。つまり1シートあたり€0.25の損。後日入手した使用済シートの消印は2020年10月7日。旧蔵者さんはどちらの時価で買われたのだろう?と思うことでありました。

12.変わった例

[2回こっきりの「無面値郵票」]
 台湾も1991年から数えて実に26年ぶりの2017年に郵便料金が値上げされました。これに合わせて2種の無額面切手が発行されました。初日印に「無面値郵票」と表示されているのが興味深いです。
 なお、台湾が無額面切手を発行したのは1991に続いてこれが2例目。詳細はわかりませんがこれ以後の発行は確認されていません。

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[2度の加刷で無額面に]
 元は$1.20額面のアルマジロ普通切手でした。それが$1に改値加刷され、さらに額面すべてが加刷で抹消され、結果的に無額面になってしまいました (ウルグアイ・2007)。何が起きても不思議ではないお国柄、いまだに経緯が掴めません。実逓使用例を探してもいますが、図の未使用切手帳を1冊入手できて以来進展がありません。

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まとめ:無額面切手も種類がある

・・・ということがおわかりいただけたでしょうか。無額面と言っても数字がないだけで郵便等級、種別、記号など用途を表す文字や記号が表記してあるのが通例です。それも、国や地域・時代によって表現が違ったり、有効期限があったり、加貼切手が必要だったりと、その運用はまちまちです。

 特に追加料金の不要な永久保証かどうかは正直言って全部は把握できていません。実逓カバーを見て永久保証のようだ・そうではなさそうだと個別に類推しています。例えばフィンランドは、公には言っていないけれど永久保証のつもりでやっている・・・と、なかなか巧妙な回答をいただいています。まあ、無額面にしてさえおけば後でなんとでもできますから。

 現代はIT技術の進歩のおかげでマーケティング調査も流通量把握も容易になりました。いくらの切手をどのくらいの量発行すれば良いかも掴めているはずです。日本も総務省が積極的に法改正し、永久保証の無額面切手を発行できるようにすれば、膨大な紙資源、お金、時間の節約、さらに現場の郵便局員さんの労務を軽減できると思います。

 

 

 

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無額面切手のお話(前編)

 日本での発行実績がないせいか無額面切手の話をしても「何それ?」とぽかーんとされてしまいがちです。これは一度きちんと説明しておくべきと思いました。おおよその歴史を理解していただけるものと思います。

1.額面が無いとはどういうことか?2022072001

 理由は大きく分けて2つあります。ひとつはインフレなど極端な経済の混乱で郵便料金の変動が激しく、定額の額面を表示したくてもできない場合です。これは第2次世界大戦直後のハンガリーや中国、ソ連崩壊後の旧東欧共産圏などで発生しました。図はそのハンガリーの例(1945-46)で、”国内はがき用”などと加刷されています。いずれも台切手の額面は無効です。
 懇意の切手商さんが「安いものだけど種類を揃えるのは大変だよ。15種セットで600円でいいよ」との口上に釣られて購入したものです。確かにバラならよく見かけますが、一種ずつ自力で揃えるのは面倒です。

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 ふたつ目の理由は額面を表示する必要がない場合です。用途が限られていて他の転用が考えにくい場合がそれに当たります。一般的ではないけれど話題になりそうなアイテムを3点ご紹介します。

[左:切手発行125年/トリニダード・トバコ (1972)]
 世界最初の船切手「レディ・マクラウド号」を再現した”切手の切手”です。同号のオーナーが自分の持ち船で郵便物を運ぶために発行した私的切手です。このような背景から正式な郵便切手とは言い難いものの、長年の習慣でトリニダートの一番切手として認知されています。
 切手にはレディ・マクラウド号とその頭文字”LMcL”が装飾文字風に描かれているのみで額面はありません。当時は1枚5cで販売されていました。

[中:非常用切手/デンマーク(1963)]
 1962年10月15日から13日間続いたキューバ危機で東西の緊張が高まったことを契機にデンマークが極秘に作った切手。約30年間にわたって国内の戦略拠点で保管されていましたが、東西冷戦の終結が確実となった1991年に回収・破棄が決定しました。その一部がデンマーク郵趣連合を通じて限定販売されたおかげで自分も入手することができました。

[右:普通切手/モナコ (2000)]
 国名のMONACOの文字と紋章以外の表示が一切なく、ある意味完璧な”無額面”です。第1地帯あて20gまでの封書に使えましたが、かくもストイックなまでに素っ気ないと、もはや切手と思えず困ったのではないかと思ってしまいます。そこは人口小国ならではのメリットで対応できたのかもしれません。

2.無額面の代表例”軍事切手”

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 各国の軍事郵便規則に則り、月に3枚等と戦場の兵士に無償配布された軍事切手こそ最もポピュラーな無額面切手です。無償なのでそもそも額面を表示する必要がありません。郵便差出許可シールとでも言うべきもので、これも郵便切手を「郵便料金前納証紙」と定義するならば、厳密には郵便切手とは言えないのですが、これも長年の習慣で認知されています。
 せっかくなのでちょっと捻ってベトナムの軍事切手の実逓使用例を3通ご覧に入れます。いずれもここ50年以内のものなので、そんなに遠い昔の話ではありません。

3.世界的な転機となったアメリカのクリスマス切手

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 1975年は私が切手収集を始めたまさにその年だったので強烈な印象があります。アメリカ議会の承認が長引き、郵便料金値上げに合わせた発行が間に合わないことから、10月14日に無額面のまま2種のクリスマス切手が発行されました。売価はいずれも10c。
 当時は誰も思いつかないような奇策として受け止められました。しかし、いざ発行してみるとほとんど混乱は起きなかったため、味をしめたアメリカはもちろんのこと、世界的に無額面切手が発行されるトリガーとなりました。
 なお、本券はアメリカ国内専用のはずでしたがそんな縛りを律儀に守るようなお国柄ではありませんね。ただの10c切手として外国郵便にも使われています。図は日本あての未納不足はがきです。本来なら切手は無効のはずなのに10セント分は有効で不足分の8c相当の11円だけが日本で徴収されています。

4.A切手の発行2022072005

 再び議会承認が間に合わない事態が発生した1978年のアメリカ、Aとだけ表示した切手を発行しました。Aというアルファベット自体には意味はなく1枚15cで販売されました。1975年のクリスマス切手からわずか3年後、普通シート以外にコイル切手も切手帳も発行するという積極さでした。ここでもトラブルがなかったため、郵便料金値上げのたびにB, C, D・・・とアルファベット表示だけの無額面切手の発行が続くことになりました。
 これらもアメリカ国内専用のはずでしたが、案の定、国際郵便にもバンバン使われています。図は1996年に自分あてに届いたC切手9枚貼りの航空便です。

5.F切手および加貼用無額面切手の発行

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 アメリカのアルファベット切手はその後もE, Fと続きました。図は当時の郵趣サービス社さんのワールド・トピックス頒布会リーフです。1991年のF切手 (29cに相当) の際、料金補助の加貼用切手も同時発行されました。「25c切手と併用すればF切手の額面に相当する」とあるので、実質4c切手ということになります。
 つまり、アルファベット表示の無額面切手は今で言う永久保証切手ではなかったのです。唯一この点が使い勝手が悪かったのか、1998年のH切手で幕引きとなりました。

6.世界に広がる郵便等級・種別・記号表示の無額面切手

 今世紀に入ってからは世界各国で積極的・肯定的に郵便等級・種別・記号表示のみの無額面切手が発行され始めます。国や地域によって様々ですので代表的なものを4点ご覧いただきます。向かって左からの順です。

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[普通切手/ジブラルタル (2003)]
 印面左下にUK expressと表示。イギリスあて速達用切手という意味。

[自然保護/オーランド (2008)]
 印面左にINDIKESと表示。これは国内用=本国フィンランドあてを意味しています。この他にEUROPE (欧州用)、VARIDEN (欧州以外の外国用) があります。

[普通切手/チェコ (2010)]
 印面右上にAと表示。国内書状50gまで10kに相当。題材は同国のコミック「四つ葉のクローバー」のキャラクターFifinka (フィフィンカ)。

[自動化切手/ベルギー (2007)]
 ① (丸数字に1) はEU域内あてで€0.52に相当。ベルギーはそれ以外にも丸数字に2 ②、同3 ③、同5 ⑤、同7 ⑦などを発行。ここまで記号化されるとちょっとやりすぎのようにも思えます。

7.デザイン上のメリット

 無額面切手が受け入れられた理由は実務上の使い勝手の良さだけではないと私は考えます。大きな額面数字を省いたことでデザイン上の自由度が格段に広がりました。 2022072008

 上は南アフリカが発行した1997年用クリスマス切手です。印面下部にSTANDARD POSTAGE (基本料金用) と統一された表示フォーマットでまとめ、主題は過去の複十字シールをずらり並べています。
 下はフランスが2011年に発行した当時の現行普通切手「ボジャールのマリアンヌ」7種を収めた連刷シートです。印面左下に郵便物のグラム数が表示されています。詳しくは郵趣誌2011年10月号P.52を参照ください。

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October 06, 2021

消印されない外国郵便

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 何かのミステリー小説のようなタイトルですが、実際にミステリーです。ここ数年、特にアメリカ、カナダからの郵便はこのように消印されていないか、消印せずにボールペンや油性マジックペンで荒々しく線引き抹消されている場合がほとんどです。日本郵便の方でリカバリーできないものかと調べてもらいましたら、何もせずそのまま配達するのが正しい取り扱いなのだそうです。かつては消印もれ消印 (抹消印) が押されるものとばかり思い込んでいたのですが、どうやらそれも私の思い違いで、あくまでも国内郵便物が対象であって国際郵便 (外国来郵便) は対象外なのだそうです。厳密にいうと規程がないとのこと。

 郵趣家の立場から言わせてもらえば、記念押印にしろ引受消印にしろ複雑難解な押印規程に縛られているというのに、外国来の到着郵便物へのかくも無関心は著しく公平性を欠いています。次期UPU事務局長に日本郵便の目時氏が就任することにもなりましたので、郵便印の正しい行使についてぜひとも協議対象にしていただきたいです。取り扱いの国際標準化はUPUの最重要課題でもあるはずです。

 全郵便物を電磁記録することで郵便印を廃止する・・・みたいなことも全世界共通の実現目標であるなら賛成します。しかし、現状のような各国まちまちの状況はいけません。特に書留郵便物など記録が重要な郵便物に消印がないのはどう考えても業務怠慢です。

 日本国民は渋々ながらも日本郵便の業務軽減に協力しています。大規模な反対運動もなく土曜日休配も受け入れました。しかも切手貼りの郵便物が全郵便物量の1%以下にまで減ってしまった現在、せめて外国来の到着郵便物の消印もれに対して何らかのリカバリーをするくらいの譲歩を求めても決して過剰な要求ではないはずです。

※外国来の到着郵便物の消印もれが目に余るので、可能な限り郵便局留置にして自己防衛を計っています。しかし、送り出し国側の切手に消印がないこと自体については相変わらずリカバリー方法がありません。

 

 

 

 

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July 01, 2017

HAPPY CANADA DAY

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 今年はカナダ連邦成立150年です。カナダ郵政はそれを記念し、”HAPPY CANADA DAY”と題する10種の記念切手を発行しました。カナダのシンボルであるカエデの葉の変形シール切手に、この50年間に起きた忘れることのできない10の出来事を取り上げています。それぞれを説明するビデオも公開されています。詳しくはカナダ郵政ホームページもしくはfacebookページをご覧ください。

Learn about the 10 unforgettable moments and achievements from the last 50 years that are being commemorated.

・Expo67(1967)
・Trans-Canada Highway(1971)
・Summit Series(1972)
・Marathon of Hope(1980)
・Canadarm(1981)
・The Constitution(1982)
・Nunavut(1999)
・Marriage Equality(2005)
・Olympic Games(1976, 1988 & 2010)
・Paralympic Glory(1976 & 2010)

 この中でNunavut(ヌナヴット)を特にご紹介したいと思います。ヌナヴットとはカナダに住むエスキモー、イヌイットのことです。いわゆる先住民族のひとつで、1999年には彼らの自治政府が認められヌナヴット準州が誕生しました。その際にも記念切手が発行され、印面に彼ら先住民の文字で”ヌナヴット”と表示されています。

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 このたびの記念切手も同様にカナダ先住民文字が表記されています。カナダの歴史と先住民に対する意識が大きく変わったことを象徴しています。
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 なお、本件も全て額面表示のない”無額面”でなおかつ”永久保証”の切手です。カナダ国内あての封書基本料金85セントで販売されています。将来、郵便料金が値上がりしても値上がり分を貼り足す必要はありません。購入者は”郵便を差し出す権利”を購入したもので、その権利は永久に保証されています。これをカナダではパーマネントスタンプ(Permanent™ stamp)と呼んでいます。
 さらに、今年発行される全ての記念切手にはUVインクで隠し文字が入れられています。ブラックライトを照らすとでマージンに「CANADA150」の文字が見えます。

[参照]
カナダ郵政ホームページ
カナダ郵政facebookページ

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May 31, 2017

日本も法改正して永久保証切手を発行しよう

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 明日6月1日からはがき料金が52円から62円へと10円値上げされます。そのためだけに新しく62円切手やはがきが去る5月15日に一斉に発行されました。忙しかったのでしょうか、往復はがきでは「郵便往復はがき」と表記すべきところ「往復」の2文字が抜けていたというケアレスミスまで発生してしまいました。
 さらに明日から52円普通切手の販売は中止です。売れ残りの回収と煮潰してのリサイクル費用だけでいったい何千万円になるのでしょうか。

 そこでアメリカ、カナダ、イギリス、フィンランド、シンガポールをはじめ、数多くの国や地域が採用している”永久保証切手"を発行できるように日本も法改正をと思います。それだと新切手の発行も旧切手の回収も必要ないからです。
 その一例として、今年アメリカが発行したはがき料金用の永久保証切手をご覧に入れます。印面には現行料金の34cという料額はなく単にPOSTCARDとのみ表記されています。これははがきを1枚差し出す料金ではなく権利があることを示しています。仮に郵便料金が値上がりしても差額分の切手を加貼する必要はありません。なぜなら”権利”を買ったからです。

 例えばの話、日本で52円料金時代に永久保証切手を1枚あたり52円で販売したとします。これが明日から値上がりしてもこのまま使えるので、買いだめしていたお客さんは10円トクするわけです。もちろん、料金値下げがあったら逆に損しますけれど、あくまでもはがきを差し出す権利を買っただけですから払い戻しはありません。

 慣れていないから難しそうに思えますが、本来、郵便切手は有価証券とはいえ郵便物を差し出す以外の用途はないので、むしろ金額より権利を示した方が合理的です。そうでなくては世界中にこれほどまでに永久保証切手が広がるわけがありません。

 アメリカでは永久保証切手のことをフォーエバー・スタンプ(Forever Stamps)と呼び、2007年から実用化されています。今ではアメリカの記念切手はすべて永久保証切手に切り替わりました。
 アメリカから最近届いた郵便があればよくご覧ください。古い切手以外は切手に額面数字が入っていません。

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February 05, 2017

ディーワーリー切手

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 以前、当ブログでもポリティカル・コレクトネスの欺瞞について述べたことがあります(記事はここ)。切手においてはどんな伝統・宗教・文化にも偏らない共通図案で・・・というのはもはや不可能というより無意味だと結論が出ています。10人全員を納得させようとしてただの一人も満足させられないようなデザインでは売れないことが、販売不振という形ではっきり示されてしまうからです。
 それに対してひとつの結論を出したのがアメリカです。図版左上からクリスマス、年賀、下段左からユダヤ教のハヌカー、アフリカ系アメリカ人のクワンザ、イスラムのイードの各切手です。
 つまり、それぞれの伝統・宗教・文化ごとに切手を発行するのがもっとも平等ということです。そして2016年10月、ヒンドゥー教のディーワーリー切手がラインナップに加わりました(下)。これが多民族国家・移民国家のアメリカが選択した切手発行方針です。

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April 15, 2015

LOVE YOUR PET

 来る5月2日、カナダがこんなキュートなペット切手を発行します。ネコ図案3種、イヌ図案2種の計5種です。5種を2セット納めるペーンが50万冊、5種を1セット納める小型シートが15万シート発行されます。小型シートを全面貼りした公式FDCも13,000通作成されます。かわいいですね、よくできてますね。

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December 23, 2013

アメリカ最初の全世界あて永久保証切手

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 あまり大っぴらに言えませんがよほどのことがない限りアメリカの新切手は買いません。日米間の郵便物量は非常に多いので、じっくり待ち構えていればいつのまにか実逓カバーが入手できてしまうからです。案の定これもイタバシくんが恵んでくれました。我ながら実に横着な収集態度ですな。
 これは永久保証切手の中でもGlobal Forever(グローバル・フォーエバー)と呼ばれる無額面・円形・シール式の切手です。1オンス(約28g)までの全世界あての書状・はがきに適用されます。2013年1月28日発行で、発売時の価格は1枚$1.10、約115円でした。今後、郵便料金が値上りしても値上げ分の差額を加貼する必要はありません。だから”Forever”なのです。

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 アメリカではこれが最初ですけれど、世界的に見ればフランスに続いて2ヶ国目になります。せっかくですからそれもご説明しておきます。世界最初の全世界あて永久保証切手はフランスが2009年5月19日に発行した「フランスの名所」切手帳です。国際郵便用(書状20gまで€0.85)の無額面・永久保証切手8枚を納めるセルフ糊式切手帳です。採用されたのはメゾン・デ・タヌール、アゼ・ル・リドー城、ノートルダム大聖堂(パリのセーヌ河岸は世界遺産・1991)、ボルドーのブドウ園、プロムナード・デ・ザングレ、モン・サン・ミシェル(世界遺産・1979、2007)、エッフェル塔、サン・ポール・ド・バンスです。特に注目なのは裏表紙に日本語の説明文が入れられたことでした。その文面は

郵便切手シート(8枚入り)・この切手1枚でフランスから世界中に20gまでの書状を送ることができます・有効期限はありません・

 画期的なことではありますが、句点「。」と中黒「・」を取り違えていること、そもそもこの形状は切手帳であって郵便切手シートとは呼ばないこと、その2点のミスが惜しまれます。
 また、2011年にもボジャールのマリアンヌ図案で発行されています。それは、こちらのページの1番切手、紫色の無額面でMonde=世界あて書状20gまでです。売価は€0.89でした。現在はまたオランド大統領に変わりましたので近いうちにOlivier CiappaとDavid Kawenaデザインの新しいマリアンヌ切手が発行されるものと思います。

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August 12, 2012

モナコ公国の無額面・永久保証切手

 日本にはない郵便制度下で発行・運用されている切手も収集範囲です。先進諸国で次々と採用されている代表例が無額面切手で、その多くは永久保証切手でもあります。なんのことかわからないと思いますので詳しくご説明します。

 現在の日本の封書の基本料金は80円です。それに対応する切手には額面が80と表示されています。無額面切手とはその額面数字を表示しない、あるいは「第1種用25gまで」といった方式で郵便等級を示します。この無額面方式に一体何のメリットがあるのか即座には思い及ばないことでしょう。その威力を発揮するのは料金値上げの場面です。わざわざ新額面の切手を印刷する必要がないのです。現実に起こった事例では1975年のアメリカのクリスマス切手でした。料金値上げの議会承認が長引き、議決を待っていては印刷が間に合わないからと、2種のクリスマス切手を無額面で発行しました。結果的に新料金は10セントになったので郵便窓口では10セントで販売されました。そしていかにも荒っぽい手法かのように思えた強攻策であったにも関わらず、実際にはまったく何の問題も起きませんでした。
 これに永久保証という新しい運用制度が加わったのが普及に拍車をかけました。これも例えて言いますと仮に販売当初80円だったとします。料金値上げで90円になったとしても、第1種用25gまでの郵便物に貼って使う限り、差額の10円は支払わなくても良い、としたのです。つまり80円分の金券ではなく、あくまでも「該当する種別の郵便物を差し出す権利」を永久に保証するという考え方です。これも料金値上げ時に威力を発揮します。値上げの1〜2ヶ月前に買い溜めしておけば値上げ後はその分割安になります。世界中どこでも公共料金は一般的に値上りするものですから、駆け込み需要を当て込んで切手を売ることができるのです。
 その結果、カナダでは2006年から「永久保証」を意味する商品名「PERMANENT STAMP」の頭文字の「P」とのみ表示した無額面・永久保証切手が発行されています。同様にアメリカも2007年から「Forever」(Forever Stampsの意)とのみ表示した普通切手を発行し、さらに2011年からはすべての記念切手がForeverになりました。

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 そしていよいよ本題、上図のモナコ切手です。これも額面が入っていません。切手は2000年に発行されたもので第1地帯と呼ぶEU圏内およびスイスあて20gまでの郵便物(日本のような封書、はがきの区別はありません)に使う切手です。それが発行後9年も後の2009年7月6日であるにもかかわらず1枚貼りで使われていることこそが重要な意味を持っています。従来の伝統郵趣では切手が発行されておおむね3ヶ月以内の使用を初期使用例と呼んで重宝していましたが、こと無額面・永久保証切手ではまったく逆で、より後年の使用例の方が意義深いのです。
 下図のように2000年以降も数年おきにデザインを少しずつ変えた無額面・永久保証切手を出しています。それぞれの券種についても1枚貼り使用例が欲しいところですが、はい、まったく焦る必要はありませんね。使われた時期が遅ければ遅いほど意味があるのですから。

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※関連記事:左欄CATEGORIESの「永久保証切手」「無額面切手」をクリックしてください。


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