去る2024年2月1日発行の「ピーターラビット™ 花を贈るフレーム切手セット」に、推定ながら日本初の、植物の種子を漉き込んだ”シードペーパー”の郵便商品が含まれているのでご報告します。プレスリリースではさらっと書いてあるだけで、詳細説明がなかったことから私自身も気付くのがたいへんに遅れてしまいました。(なお、”シードペーパー”はSOUP Inc.さんの登録商標です)

基本スペックは以下の通り。フレーム切手84円×4枚、封筒×3枚、便箋×6枚、シードペーパーカード×3枚のセット内容で売価1,760円。全国約1,000の郵便局および郵便局のネットショップで販売。このうち、ピーターラビットのシルエットのダイカットカードがオーストラリア産のジャーマンカモミールの種子を漉き込んだシードペーパーで、これが推定ながら日本初ではないかと思われます。

シードペーパー自体は1995年にアメリカで発明されました。古紙を再生する際に植物の種子を漉き込んだもので、一晩水に浸したのち土に植えると発芽します。このことから植物テーマはもちろんのこと、環境郵趣やリサイクル、手漉きはがき、和紙はがきなど広い範囲のテーマにまたがります。
下図はセットの台紙兼取扱説明書(2ツ折)。お花の育て方をイラスト入りで説明。カードに添えて送ることまで考慮されていて同じ説明小紙が3セット印刷されています。ルレットで切り離すことができます。

植物の種子を切手表面に貼り付けた変り種切手は私が確認した限りではおよそ15件。ただし、シードペーパータイプはオーストラリアの1件のみでそれも正刷切手ではありません(文末に説明記事へのリンクを貼っておきます)。このたびのシードペーパーも郵便局物販サービスさんの郵便商品で、いわゆる郵趣品ではありません。しかし、今後、ファミリーが増える可能性がありますので、フォアランナーとしての位置付けとしてぜひとも入手しておきたいものです。
(追記)
変り種切手の第一人者 荒牧裕一さんからご指摘いただきました。2017年にニュージーランドが発行した「自家栽培」6種連刷の国内販売用には円形に切り抜いたシードペーパーが切手に貼り付けてあります、とのことです。これが世界最初のシードペーパーを使った正刷切手になります。
ただし、同国の植物検疫制限に引っかかってしまうため、海外向けには貼り付けなしで販売されました。

例えば、シードペーパーのはがきを作ろう、それを郵便で送ろうといったお手紙ワークショップでの応用が期待されます。切手を貼って郵送すればそれだけで立派な”郵趣品”になり得ます。ただし、これを海外に送る際は植物検疫の禁輸品に引っかかる危険性もあるため注意も必要です。
<参照>
・報道発表:オリジナル フレーム切手「ピーターラビット™ 花を贈るフレーム切手セット」の販売開始
・過去記事:「オーストラリアの公園と庭」特別版FDC
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