輸送手段

December 04, 2024

ロケット郵便

 桑木正道御大から下賜いただいた1960年代の月刊「郵趣」誌を少しずつ読み進め、必要な記事は自作のデータベースに取り込む作業を続けています。その1961年4月号に表題の記事がありましたのでご紹介します。

 当時は当事者の真剣な想いとは裏腹に、けっこうなパチモン扱いであったことがわかります。収集家の懐を狙って記念フライト (発射?) カバー、はがきを作って販売。その売上金が次の発射資金になるといった具合です。総括すれば新しもの好きな超マニアック限定の分野でした。その現実性のなさから普通の航空郵便とは明らかに一線を画しています。どこに落下するかわからない上に、着弾に失敗すれば搭載したカバー類も木っ端微塵ですから当たり前ですわな。

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 その風向きが突然変わりました。日付でピンと来た方は鋭い!。そうです、本記事直後の1961年4月12日、旧ソ連のガガーリンが世界初の有人宇宙飛行を行いました。突然のニュースで世界中が驚愕したのはよく知られているところです。当該記事の執筆者 (匿名のX.Y.Z.生氏) もこのタイミングの良さに相当驚いたことでしょう。
 それ以後、手のひらを返したように世界中でロケット・ミサイル郵便がばんばん打ち上げられます。主に切手展などの郵趣イベントの余興で、ぶっちゃけ打ち上げ花火ちっくなものがほとんどです。しかし、当時の人たちの驚きと興奮を今に伝える稀有なブームだったと言えるでしょう。

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 なぜそんなことに関心を持ったか?。はい、自分の誕生日日付のロケット・ミサイル郵便が、図示の1通しかなかったからです。自分の誕生日が1961年3月23日で、ガガーリンの有人宇宙飛行のわずか20日余前。ガガーリン前と後でこんなに違うのかと、我が身に引き寄せて痛感したからでした。

 これだけ価値ある貴重な記事があるのですからpdfデータ化してサブスク方式で購読できる体制にすれば良いのに。世界新切手ニューズも然りで、これだけのコンテンツが蓄積されているのにお金にしないのは勿体無いです。

 

 

 

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August 28, 2024

ヤマト運輸「こねこ便420」初日実逓便

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 2024年8月26日から東京都を皮切りに専用資材の販売が始まったヤマト運輸さんの「こねこ便420」の初日実逓便を富澤昇吉さんがご恵送いただきました。いつもありがとうございます。
 10月1日の郵便料金値上げ後のレターパックライト(430円)よりも10円安い料金設定になっています。レタパとは異なり信書は送れませんが、レタパにはない3,000円を上限とした損害賠償が付されている点が大きな特徴となっています。

 こねこ便420の報道発表があった時、ヤマト運輸さんは集荷だけして後は日本郵便さんに丸投げするんじゃないの?、なんて言ってましたがもちろん冗談のつもりでした。ところが業界紙の通信文化新報8月26日配信号によると、最初から移管という名の丸投げを考えていたことが報じられました。実際はこれから話し合いが始まるそうで、本便もヤマト運輸さん自身がラストワンマイルまできっちり配達していたことが追跡記録に残されていました。
 いずれ話がまとまり協業体制に移行するものと思われますので、追跡記録をしっかりプリントアウトして残しておかれることを強くお勧めします。

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 専用資材(封筒)裏面の注意書きの最後にこう書かれています。『こねこ便420は「宅急便」または「クロネコゆうパケット」と同様の配送網を活用し、お届けします。』協業への布石と見るべきでしょう。

 

 

 

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August 19, 2023

令和5年台風第7号による配達遅延便

 兵庫県宝塚市の中野賢司さんから貴重な災害郵便物の実逓便をご恵送いただきました。ありがとうございます。さっそくトラッキング情報を確認し搬送経路を確認することができました。

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・20230810 Waukesha, WI (アメリカ) Fedexにて差出
・20230814 新大阪郵便局に到着
       ↓通関処理
       ↓中野さんがインターネット経由で15日8〜12時の配達希望連絡
・20230815 宝塚郵便局に到着
       ↓台風のため配達取りやめ (付箋の記載の通り)
       ↓中野さんが郵便窓口に出向かれて受取

 台風7号の影響があった8月15日のまさにその当日にバッティングした不運がこの実逓便を生み出しました。しかもアメリカからのFedex→日本郵便という国際来信便というところが華を添えています。災害郵便のリアルタイムな記録の大切さを痛感させる1通です。
 なお、付箋はセロテープで止めてあったのですが、そのままだと劣化してしまうため、これのみ剥がす等の後加工を加えましたことをお断りしておきます。

 

 

 

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April 10, 2023

郵趣家は死んで郵趣品を残す/植田総一先生

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 再建したJPS鹿児島支部の初代支部長、鹿児島大学名誉教授の故植田総一 (うえだ・そういち) 先生差し出し、直筆サイン入りカバーをまた1点入手しました。
 鹿児島大学水産学部の練習船かごしま丸の船長として数多の船乗りを育てられた植田先生はまた航海郵趣関係の大先達でもあられました。ご存命中に練習航海のお話も伺っていましたので、入手の機会があれば必ず買い求めるようにしています。
 本便も航海目的がタイピングされている上に直筆サイン入りです。カシェスタンプも先生が自ら手彫りされたもので、今の消しゴムはんこブームのあけぼのという解釈も成り立つと思います。
 なお、本便はパクボーではありません。仏領ポリネシアに上陸された際にパペーテ郵便局で切手を買い求め、その場で差し出されたものと思われます。先生は旧日本海軍の軍人さんでもあられたので、南方にはきっと思い入れをお持ちだったのでしょう。
 航海郵趣関係であのレイモンド・ミリング氏とも交流があったようですが、残念ながら詳細をお伺いする機会は逸してしまいました。

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October 26, 2022

ポスコン?! 2023と委託便

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 ポストカードを使ってみんなでつくる展覧会”ポスコン?! 2023”の募集要項が送られてきました。毎年恒例の秋吉台国際芸術村の企画展です。2019年の初参加&審査員特別賞受賞以来、毎年欠かさず参加しています。作品募集お知らせが届くといよいよ年末年始だなあと実感します。

 毎年全国から2,000点以上が集まるすばらしい展覧会です。ぜひ気軽に参加してください。

秋吉台国際芸術村/ポスコン?! 2023

 信書ではないので募集要項はヤマト運輸さんのクロネコDM便で配達されました (図は実逓便の部分カット)。なぜそれをわざわざ取り上げたかと言うと、実際に配達したのは日本郵便さんだったからです。今、こうした日本郵便への委託配達便が全国規模で拡大しています。
 ヤマト運輸さんのTracking & Trace情報を確認すると発送は10月24日、翌25日に日本郵便に委託して公開情報はここで終わりです。日本郵便さんでは委託されてから配達までの記録はありません。部内的には何かの電磁情報が残されているのかもしれませんが、万一紛失事故などがあった際、ユーザーの立場では委託された後はまったく手がかりがないのが現状です。これ、いずれ問題にならなければ良いのですが。

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 山口県におけるヤマト運輸さんからの受託は2021年 (令3) 3月1日から実施されています。そのプレスリリースは前年の2020年10月6日には出されていますので、入念な準備期間を置いて実施されたものでしょう。そのスクショを下に貼っておきます。
 Tracking & Trace情報を確認しない限り、郵便受箱に入れられただけではわかりません。実際は以前にも同様例があったものと思います。今日はたまたま在宅していて配達員さんからじかに受け取ったのであえて取り上げてみました。

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July 09, 2022

有明海の海上交通記念スタンプ

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 天神の即売会で上図左側のポストカードを買ってきました。九州商船株式会社 (現存) の三角島原連絡船 (みすみしまばられんらくせん。現存せず) の記念スタンプが押された絵はがきです。遠方の方はイメージしにくいでしょうから地図も添えておきます。 

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 瀬戸内育ちの自分は、九州の有明海に対しても同じような内海の印象があります。瀬戸内海と同様、距離的に近過ぎることもあって船内印は使われていません。郵便印がない以上、こうした観光記念スタンプも軽視せず収集しておきたいものです。
 なお、地図の下の方にちょこっとだけ見える長島はもう鹿児島県です。皆さんよくご存知の温州みかんの原産地です。

 オマケに三角・松島間郵便専用船終便記念スタンプ押しの官白もご覧にいれます (上図右)。プリミティブな絵ながら、橋が架かったおかげで専用船が役目を終えたことが見て取れます。〒旗を掲げた郵進丸(あるいは郵逓丸)のイラストがいい味出しています。

 郵便印にこだわって直径32ミリしかない小型印を使用し、押印モンスタークレーマーに悩まされるくらいなら、記念スタンプ (直径が58ミリもある!) を使った本例の方がお利口な気がします。
 なお、このスタンプはおそらく三角町の郵便局さんがあつらえたものだろうとは思いますが詳細はわかりません。何度も繰り返し言っていますように、押印して終わりではなく、しっかり記録とともに残しておいて欲しいです。

 

 

 

 

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July 20, 2021

東京2020オリンピック聖火リレーの影響

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 富澤昇吉さんから東京2020オリンピック聖火リレー・東京の小型印付きカバー・カードをご恵送いただきました。いつもありがとうございます。
 私はそれに同封してあった交通規制のお知らせチラシの方に目が止まりました。郵趣品ならそれ自体価値あるものとして残されますが、こうしたチラシ類は残らないものと思います。私はこれらも大事だと思います。

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 実は山口県でも5月13,14日の2日間にわたって聖火リレーが行われる予定でした。しかし、武漢肺炎こと新型コロナウイルス禍のため、直前の10日になって初日の13日は記念式典のみとなり、公道でのリレーは中止されてしまいました。
 写真は5月5日に防府郵便局管内のポストに掲示してあった交通規制に伴う取集時間変更のお知らせです。これもいつの間にか撤去されました。後年の記録としてこれも掲げておきたいと思います。

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May 08, 2021

新型コロナウイルスPCR検査に関する郵便

 新型コロナウイルスPCR検査/唾液採取用キット等に関する郵便資料等一式を荒牧裕一さんからご寄贈いただきました。いつもありがとうございます。
 これは荒牧さんが3月にJALで北海道にフライト利用された際に付いてきた特典だそうです。JALと提携している「にしたんクリニック」で2,000円で検査が受けられるというもの。実逓カバーの仕様はA4版のクッション封筒です。料金別納郵便のところ、荒牧さんが2021年4月30日受領の裏書きをしてくださいました。

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 検査キットそのものは郵送して残らないものの、取扱説明書はしっかり残しておいてくださいました。その一部をご覧いただきます。
 箱を組み立て220円分の切手を貼って差し出すよう指示されています。これは定形外郵便の規格外50~100gまでの郵便料金です。プライバシーや衛生上の問題からこの箱の実逓使用例は出てこないものと思います。

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 これら郵便資料がなぜ重要なのか。それは日本郵便がセルフPCR検査の検体取り扱いを開始した最初期使用例だからです。

 私の郵趣データベースからヘッドラインを示します。2021年2月1日から取り扱いを開始したばかりです。そのプレスリリースは同年1月18日。
 そして取説の右下に小さく「210308_01」の表示がありますので3月8日第1版の意味だと読み取れます。この日付も重要です。日本郵便は、来る5月10日からセルフPCR検査の検体の取り扱いを明確化する旨を4月26日付でプレスリリースしています。よって20210201~20210509の約3ヶ月間の使用例はまごうかたなき最初期使用例と特定できます。

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 せっかくなので日本郵便のプレスリリース全文も記録として掲げておきましょう。2021年2月1日から取り扱いを始めることが述べられています。文書は2枚あります。

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 2021年5月10日から取り扱いを明確化することが述べられています。ブレスリリース文書は1枚です。

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March 10, 2021

鹿児島 山形屋の商品券発送

 鹿児島市の叔母から香典返しとして商品券が届きました。ヤマト運輸の伝票を使いながら黒マジックで抹消し、実際は日本郵便の簡易書留で発送しています。検索結果(追跡記録)を参照すると、ヤマト運輸さんは登録なし。つまり最初からヤマト運輸さんには出されていないことを意味します。叔母に電話し、さらに封筒に記されている「配送のお問い合わせセンター」にも直接電話して委細を聞きしました。

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 香典返しは葬儀屋さんにやってもらうのがふつうですね。うちの父の場合もそうでした。ところが本件はそうではなく、叔母が山形屋の外商さんに家まで来てもらって手配したのだそうです。葬儀屋さんを通すと高いから、というのがその理由でした。

 山形屋さんでは商品券の場合のみ書留で発送する決まりになっているそうで、発送部門がヤマト運輸の表示を抹消し、鹿児島中央郵便局に直接持ち込んだそうです。検索結果(追跡記録)によると3月8日20:27に鹿児島中央郵便局に持ち込まれていました。つまり、いわゆるヤマト運輸が受注し、日本郵便に下請けに出した例ではありませんでした。
 それにしても、ギフトの一種なのに宛名ラベルを汚損したかのような数ヶ所もの黒マジック抹消はちょっと引いてしまうよ、とだけは電話オペレーターさんに伝えました。

 実は同じものが弟宛にも送られています。さっき義妹にLINEしてガワの封筒だけきれいに残しておくようにお願いしましたところ、なんと、明日引っ越しだそうです。転居届もまだ出していないとか。郵便局の配達原簿の書き換えに数日かかるので、ふつうは転居前一週間位に出すものです。タイミングが合わないと最悪差出人戻しになる場合もあります。今日配達にならなかったらどんな取り扱いになるのかも興味津々です。

 なお、ご存知の方も多いと思いますが、山形屋と書いて読みは「やまかたや」です。

 

 

 

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January 27, 2021

メールアートを知っていますか?

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 第5回なでしこ切手倶楽部展2021に、表題の1フレーム作品をMail & Postal Artistの槇陶岳 (まき・とうがく) 名義で出品します。新型コロナ対策もしっかり講じられた上での開催ですので、お近くの方は安心してぜひご参観ください。また、会場内には豊島郵便局の小型印投函ポストも設置されますのでどうぞご利用ください。
※臨時出張所はありませんのでご注意ください。

 Facebook内に高解像度のjpg画像を収めた写真アルバムを作成しました。どなたでも自由に閲覧できますので下記URLにアクセスしてください。また、リーフ中のQRコードをスマホやタブレットのQRコードリーダーで読み取ると、より詳しい解説ページにアクセスすることができます。
 なお、ネット上での一般公開は、切手展終了後適当な時期にCLOSEしますのでご注意ください。

https://www.facebook.com/media/set?vanity=100034848790031&set=a.459048801933409

 作者からのお願いです。メールアートの認知度を向上させること、展示の機会を少しでも増やしたいこと、作中で触れています中野秀昭氏の情報を広く求めていることから、作品の転載等についてはむしろ積極的に認める方針です。ただし、あくまでも著作権者としてその権利の行使を留保するものであって放棄した訳ではありませんのでご注意ください。よって、動機を問わず作品の改変までは認めません。詳細はお問い合わせください。
 なお、これはあくまでも作者としての考え方であって、なでしこ切手倶楽部の方針とは一線を画します。

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