変り種切手

July 16, 2019

にじいろのさかなのひみつ

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 北九州市立美術館分館に見に行ってきました。切手原画の展覧会は極力行くことにしているからです。
 にじいろのさかなは、作者のマーカス・フィスター氏の母国スイスで2種の絵入りはがき(料額印面付き絵はがき)が2001年に発行されています。うろこにはホログラム箔が押されているので変り種切手の一環として入手しています。同一図案の切手も同時発行されているのですが、絵本同様に箔押し加工されているのは絵入りはがきの方だけ。当時は技術的・コスト的にも切手への加工は難しかったのかもしれません。

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 郵趣家の目線ではホログラム箔押しと言うと偽造防止と装飾の2つの目的を考えます。展覧会ではマーカス氏自身による解説映像がリピート上映されており、箔の持つ本当の意味を知ることができました。本展覧会における最大の収穫(学び)でした。なお、マーカス氏は「箔」とのみ仰っていて「ホログラム箔」とは発言されていませんでした。そのことを尊重し、マーカス氏の発言内容については「箔」とのみ表記します。

 大事なものをみんなで分かち合う、プレゼントすることを象徴する表現を模索されていました。宝物やコインのような誰にでも意味が伝わるシンボルです。その時に「箔」と巡り合ったのだそうです。虹色に光り輝くうろこの誕生です。それを絵本の出版社に提案したら即決。ところがそれをどのようにして製作するか?、コストは?という大きな壁が立ちはだかりました。最終的に箔押しをするならやろう、そうでなければこの話はなかったことにしよう、という二者択一を迫られることに。その結果はご存知の通り。透明フィルムに黒で印をつけて指示、印刷屋さんがそれをもとに版を作り、熱で箔を貼り付けるという具体的な工程まで説明されました。日本でも民生品にもよく使われているホットスタンプ方式です。

 マーカス氏の解説映像を見る前に原画を見る順路設定でした。その原画にも箔があったので不思議でした。解説映像ではきちんとそのことも説明されていました。私の疑問の通りで、もともと原画に箔はなかったそうです。ところが一般の人たちは印刷工程など知る由もなく展覧会では大不評。そこで手作業で箔を切り、スプレー糊で原画に後貼りしたそうです。

 つまり、にじいろのさかなにおける箔押し加工は、作者にとっても見る側にとっても作品のコンセプトそのものでありました。

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 ミュージアムショップでポストカードを3種購入しました。左から「にじいろのさかな」「こわくないよ」「まけるのもだいじだよ 表紙」です。講談社さんじきじきの製作品ながら、やはりというべきか箔押し加工は無理だったようで、いずれも白とグレイのインクで箔押しが表現されていました(きらりと光る光彩付きです)。

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 マーカス氏自身がお気に入りだと紹介されていたのが下から鯨を見上げた絵。海面の上から降り注ぐ太陽の光も好ましいと。なので参観記念にその絵が収められている「にじいろの さかなと おおくじら」の一冊を購入してきました。

 おしまいになりましたが、日本語版の翻訳者は谷川俊太郎さんであることも特に申し添えておきたいと思います。

◆刊行25周年記念 にじいろのさかな原画展 ーマーカス・フィスターの世界ー

 

 

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July 10, 2019

かんぽ生命の不適切営業

 郵趣とはほとんど無関係なんですが、かつての郵便・貯金と並ぶ経営の三本柱のひとつなのでさらっとチェックだけはしています。この時代、不適切営業がどのようなものであったのかを将来に伝える文書資料も集めておくことにしました。郵政省の前、逓信省だった時代には、郵便局で電話の権利料などを払うことができました、それも切手で・・・みたいに、”かつては管轄していたから”的な昔話になった時に物証を示せるようにです。ひょっとするとかんぽさんは大手同業他社に吸収されて消滅するかもしれませんし・・・。

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 電話加入名義変更請求書の郵便局保存用原簿です。消印は神戸中央、昭和10年5月28日の日付です。表面上欄外に”名義書換料八圓 郵便切手ニテ納付スルコト”から始まる3項目の注意書きにあるように、逓信省が電信電話も管轄していたので切手による料金納付が行われていたことを今に伝える実例です。かつてトラック数台分に満載された原簿が公式に払い下げられたおかげで今も豊富に残されています。

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 あるいは世界的に有名なところではベルギーの鉄道切手もあります。ベルギー郵政が鉄道事業も管轄していたので、鉄道小包の送票や通知書類にかかる料金・手数料などを専用の切手で支払っていました。切手を貼って消印を押すことで料金完納の証とされました。図はブリュッセル駅、1951年12月9日の消印が押されています。

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 究極はニュージーランドです。国家生命保険局が保険書類を加入者との間で発受するために1891年から切手を発行していました。一般に”ニュージーランド生命保険切手”と呼ばれます。当時から郵政はありましたので、なんでわざわざ独自切手を発行する必要があったのか、実は私自身もよく理解できていません(笑)
 図版上が1967年発行のデシマル加刷、下が1972年使用のオークランド宛実逓カバーです。
 生命保険切手はネット上にもカタログがありますので参照ください。種類はそんなに多くないので簡単に総覧できます。しかもなんと1981年まで発行が続いていました。

https://stampsnz.com/life_insurance.html

 いっそのことかんぽ生命さんも契約者限定の特殊切手でも出しますか?。簡易保険に入ったら限定デザインの特殊切手10枚もらえるとか・・・フレーム切手を作れば済む話でしたね(一人ツッコミ)。

 

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June 18, 2018

War Crimes in Bangladesh by Pakistan Army and their Collaborators 1971

 バングラデシュが表題の由々しい切手を発行しました(2017年7月)。日本語直訳すると”パキスタン軍とその協力者によるバングラデシュでの戦争犯罪”。さらに切手1枚ずつに”Genocid - Torture in Bangladesh 1971”(バングラデシュでの虐殺・拷問1971)と表記されているという、なんとも恐ろしい仰々しさです。

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 バングラデシュ、パキスタン、インドは昔から三巴の仲の悪さだということは一般常識として知られているところです。しかし、外交上あからさまな敵対表現の郵便切手は発行するべきではないとUPUも定めています。本券はその良識に根本的に反しています。大判の連刷シートの第1コーナー部をご覧いただきますが、腐乱死体や虐殺遺体のオンパレードで正視に耐えません。なので、その一部(と言っても過半数にも及びますが)の図案にボカシを入れました。人の遺体を食べている野犬の写真まであります。こんなのはいくら事実であっても切手にしてはいけません。

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 厄介なのは単なるグロ切手ではない点です。シート左上角いわゆる1番切手位置に不具合があったらしく真っ黒に塗り潰されています。ひどい写真図案だらけなのに、これ以上のどんな不都合があるのかよ?です。
 さらに、横4種ごとに田型に納めた計18種の小型シートも同時発行されました。1番切手位置の塗り潰しは小型シートでも行われています。なお、小型シートは無目打です(目打は印刷)。

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 厄介なのはそれだけではありません。2番切手から順に全ての切手に1番から71番までの切手位置番号が割り振られているのです。1番切手の塗り潰しのため、実際の切手位置と割り振られた番号がひとつずつずれているという無駄なややこしさです。小型シートも同じ番号が入っています。
 それでなくても切手位置番号が入った切手は、エストニアが1927年に発行した「風景」5種に次いで本券がなんと史上2番目にあたるため、変り種切手コレクターとしては看過できないのが悩ましい限りです。

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 バングラデシュ切手のポンコツさ加減は想像を超えるものがあります。今回は発行前に発覚して黒塗りになったわけですが、2007年発行の「洪水救済」連刷シートは発行後に不具合が判明し、各郵便局で問題切手部分を鋏で切断してから販売させました。
 現地の収集家に聞きましたところ、被災者に救援物資を手渡している人物が前政権の担当チーフ(大臣か?)だったからだそうです。発行するまで誰も気づかず発行後にそうした対処をしたのだとか。いかに人件費が安い最貧国のひとつとはいえ、なんともおおらか過ぎるお話です。

 なお、この大虐殺71種連刷シートと小型シート18種は郵趣誌7月号に掲載はされますが図版は省略で販売の取り扱いもありません。当然だと思います。それでもなお欲しい方はリスク承知で各自個人輸入されてください。私もこの件については一切責任を負いかねます。


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December 24, 2017

QRコードリーダーで読んでください

 お気楽で楽しい話題です。図版をクリックすると大きな画像が開きます。お手元のスマホやタブレットのQRコードリーダーを起動して読んでください。そこに示されたURLにアクセスすると切手図案になっている楽器の演奏を聞くことができます。
 切手の題名は「ブータンの楽器」です。連刷シートと小型シートのセットで、9月1日付で発行されたものです。ブータン最初のQRコード入り切手です。かつてレコード切手の発行で名を馳せたブータンもついにIT技術の活用に転換でしょうか?!。

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November 09, 2017

BLOODHOUND SSC

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 今年の9月22日に発行されたばかり、自動車の速度記録更新のために作られた専用自動車ブラッドハウンドSSCの小型シートを個人輸入しました。発行はおなじみイギリス領マン島です。
 この小型シートはいろいろ興味深いポイントがあります。まず、切手のように見える4枚ですけど、(1)(2)の2枚だけが切手で残りの2枚はタブです。左端のコックピットの写真なんかすっげーカッコいいと思うんですが残念ながら切手ではありません。なんで切手にしないのかはわかりません。しかも切手の2種も不思議です。国名と額面がこんなに小さいのでぱっと見では切手だとわかりません。デザイン重視だろうとは想像できますが、ちょっと度が過ぎます。

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 さらに(1)はぜひ実物でお試しいただきたいことがあります。真っ黒に塗りつぶされている車体部分は示温インク(サーモクロミックインク)が使われていて、指先で温めると透明になり、インクの下の図案が見えるという仕掛けが施されています。切手を指で直接触るのはご法度ですから、ビニール袋越しに触れてみてください。黒色がすーっと透明に変化する様が体験できます。

 示温インクが最初に使われたのはイギリス切手「気象」小型シートで2001年の発行でした。以後、少しずつ世界中に広まりましたけれど、現時点でも約30件しか実用化されていない数少ない変り種切手です。ストーブに近づけるようにして高温に晒さないと変化しないもの、急激に反応が収まってしまうものなど、機能の面ではかなりばらつきがありました。本券は指先程度でも容易に透明化し、反応状態も数分間に渡って長続きするなどかなり良くなっています。じきに日本の郵趣市場でも出回ると思いますのでぜひ1シートをお手元に。


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August 13, 2017

豹変したスペイン切手

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 2014年以降のスペイン切手は豹変しました。偽造防止目的と言われている「ñ」(エニェ)の穿孔あるいはエンボス加工が施されるようになり、ここ数年は全ての記念切手が何らかの変形切手・変り種切手であると断言できるような状況です。いつアイデアが枯渇するのかと心配ですらあります。

 そのスペインがまた奇抜な切手を発行しました。1960年代の世界的事件を収めた変形シートです。切手も変形、シート自体にも不思議な穴あけ加工がされている摩訶不思議なアイテムです。
 取り上げられている題材のうち、アメリカのケネディ大統領、アポロ11号の月面着陸は日本でも有名ですね。1967年・世界初の心臓移植、1968年・フランス五月革命はいまひとつピンときません。特に五月革命は実質的に失敗で、日本への影響もほぼなかったので、これを世界的な出来事だと取り上げる感覚そのものが理解しにくいです。

 今後、1970年代も発行されるようです。はてさて、いったいどうなりますことやら・・・


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August 10, 2017

富士山麓ひのき製森のはがき

2017081001 今年の富士山頂郵便局のオリジナル郵便商品の中に2種のひのき製はがきがあるのを発見。変形郵便物あるいは変り種切手のファミリーとして変わった材料・原料品も収集しているものですから、富士登山を計画されていた市村良二さんに実逓発送をお願いしました。

 実物が届いてびっくり。薄い紙仕様のはがきかと思っていたらがっつり5ミリほどの厚みがあります。紙ではなく完全に板です。重さも25-30gあり、なるほど、これは定形外郵便物120円料金です。
 さらに驚いたのが穴あき加工です。日本の伝統建築の欄間に見られるような透し彫りになっています。たまたま元木工家具デザイナーだった弟が来ていたので見てもらったら、その断面が茶色なので”レーザー加工だ”と即答。NCマシニング加工だったら旭日の光源部などの細い部分には切刃が入って行かないそうです。なるほど、なるほど。しかも小口からして茶色いので、はがきの外形切り出しからレーザー加工だそうです。四角を直角にしないで丸くR加工しているのも、単に安全性のためばかりでなく、わかる人にはわかるだろうとの密かな技術力の誇示でもあるようです。
 決定打は”富士山登頂記念”の文字と郵便番号枠です。これは表面から数ミリのところで切削が止まっていて裏まで抜けていません。画数が多く微小加工でもあるので、レーザー加工でしかできない細工です。

 ここまでハイテクなアイテムだとは思いもしませんでした。市村さんのご好意がなければ入手できなかったものです。本当にありがとうございました。
 ストラップとのセットで1枚1,200円は納得価格です。変り種郵趣に興味をお持ちの方は、この夏ぜひ富士登山を。

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[追伸]
 報道発表の図と実物のレーザー彫刻の模様が左右逆の鏡像になっています。これって図案ミスでしょうか???


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July 01, 2017

HAPPY CANADA DAY

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 今年はカナダ連邦成立150年です。カナダ郵政はそれを記念し、”HAPPY CANADA DAY”と題する10種の記念切手を発行しました。カナダのシンボルであるカエデの葉の変形シール切手に、この50年間に起きた忘れることのできない10の出来事を取り上げています。それぞれを説明するビデオも公開されています。詳しくはカナダ郵政ホームページもしくはfacebookページをご覧ください。

Learn about the 10 unforgettable moments and achievements from the last 50 years that are being commemorated.

・Expo67(1967)
・Trans-Canada Highway(1971)
・Summit Series(1972)
・Marathon of Hope(1980)
・Canadarm(1981)
・The Constitution(1982)
・Nunavut(1999)
・Marriage Equality(2005)
・Olympic Games(1976, 1988 & 2010)
・Paralympic Glory(1976 & 2010)

 この中でNunavut(ヌナヴット)を特にご紹介したいと思います。ヌナヴットとはカナダに住むエスキモー、イヌイットのことです。いわゆる先住民族のひとつで、1999年には彼らの自治政府が認められヌナヴット準州が誕生しました。その際にも記念切手が発行され、印面に彼ら先住民の文字で”ヌナヴット”と表示されています。

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 このたびの記念切手も同様にカナダ先住民文字が表記されています。カナダの歴史と先住民に対する意識が大きく変わったことを象徴しています。
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 なお、本件も全て額面表示のない”無額面”でなおかつ”永久保証”の切手です。カナダ国内あての封書基本料金85セントで販売されています。将来、郵便料金が値上がりしても値上がり分を貼り足す必要はありません。購入者は”郵便を差し出す権利”を購入したもので、その権利は永久に保証されています。これをカナダではパーマネントスタンプ(Permanent™ stamp)と呼んでいます。
 さらに、今年発行される全ての記念切手にはUVインクで隠し文字が入れられています。ブラックライトを照らすとでマージンに「CANADA150」の文字が見えます。

[参照]
カナダ郵政ホームページ
カナダ郵政facebookページ

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July 28, 2016

ついに日本でも「翌日切手」を発行

2016072801 昨日7月27日付で日本郵便さんのプレスリリースがありました。リオデジャネイロ2016オリンピック・パラリンピック競技大会期間中、日本選手が金メダルを獲得した場合、翌日の正午にメダリストのフレーム切手が東京中央郵便局で各1,000シート販売されます。売り切れた場合でもオンライン通販サイト「切手SHOP」で受注販売されます。詳細は、金メダルを獲得した翌日に発表されます。
 日本切手初のことなのでたいへん驚かれる向きもあろうかと思いますが、実はこれと全く同じ切手は16年も前、2000年のシドニー・オリンピックの時にオーストラリア郵政が実現済です。左はその時に発行されたうちの1枚で、女子400mで金メダルを獲得したキャシー・フリーマンです。たまたまミクスチャーの中から掘り出しました。その世界最初の翌日切手について、当時の郵趣誌(2000年11月号)の記事を引用しましょう。

【シドニー・オリンピック2000】
 世界に先駆けて、切手の”翌日”発行を成功させたオーストラリア。同国の誇る最新のデジタル技術とデータ送信システムが、高速印刷を可能にしたといえる。郵政ではオーストラリア・オリンピック員会(AOC)の支持を得て、この企画を数カ月にわたって準備したようだ。以下に”即席”切手が発行されるまでをまとめてみた。
 シドニー五輪で同国の選手が金メダルを獲得した場合、まず表彰式での受賞の瞬間を、高解像度のデジタルカメラで撮影。公式のオリンピック写真団体「オールスポーツ」所属のプロ・カメラマンにより、郵政切手デザイン専任官の立会いで行われ、何十枚ものショットが撮られる。
 それらの画像データを元に、最も相応しいショットが選ばれると、切手シートの形に加工される。候補図案のデータはすぐにAOCに送信され、認可を受ける。ここまでの過程で2時間弱。
 AOCが承認した切手図案は直ちにシドニーの郵政デザイン・スタジオに送信され、最終的な修正が行われる。
 完成した図案は高速データ通信で、同国6州の州都にある専門の切手印刷センター(在シドニー、パース、アデレード、キャンベラ、ブリスベーン、メルボルン)に送信。翌日の昼には、全国の主要67局の窓口で、全く同じ切手が一斉に発売されるという仕組みだ。なお同国では、1996年から存命中の人物の切手発行が許可されている。
 世界初の「Pスタンプ」や一般市民が登場する切手など、革新的な試みを行ってきた、オーストラリアならではの切手発行といえるだろう。(引用はここまで)

 翌日切手の基本的な仕組みは、最初の2000年の時点でほぼ完成していることがおわかりでしょうか。当時と比べてIT技術ははるかに進歩している上に、日本では原則的に東京中央郵便局1局だけの発売ですから、意外に余裕がありそうに思えます。

【北京オリンピック2008】
 また、オーストラリアでは翌日切手とは別に、正式な平版印刷の切手も後日発行しています。その実例を2008年の北京オリンピックの例で比較しました。
 翌日切手の方はデジタル版、後日発行分が平版と呼ばれ、プリンター性能の違いで前者のドットが粗く見えますので容易に区別ができます。これは2000年のシドニー・オリンピックの時から行われていまして、私の持っているものはことごとく平版です。デジタル版は皆さん使わずに大事に残しておられるのでしょう。
 日本の場合も同様の違いがあるのかどうか、についての説明はありません。もし、違いがあるとしたら、全国の郵趣家の皆さんの目がまたしても大きく吊り上がることになりそうです(笑)。

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2016072803【ロンドン・オリンピック2012】
 2012年のロンドン・オリンピックの際、イギリス・ロイヤルメールも全く同じ金メダリストの翌日切手を発行しました。その時、これだけのための切手発行案内書を作成し、それを全世界の収集家に向けて発送しました。左はその表紙です。表紙をめくると下のような解説ページがあります。ここでも「最新のデジタル技術、データ送信、高速印刷」あってこその翌日切手というスタイルが踏襲されています。
 下図をクリックするとより大きな鮮明画像がポップアップウィンドウで表示されます。簡単な英語ですからぜひお読みください。

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2016072805【翌日切手の問題点】
 オリンピックメダリストの場合、ドーピング違反によるメダル剥奪の危険性が容易に想像つくと思います。実際に問題が発生して販売中止・回収騒ぎになったのが左図です。2004年のアテネ・オリンピックの際にギリシャが発行したものです。
 重量挙げ男子62キロ級のレオニダス・サバニスです。ドーピング検査で陽性反応が出たため、メダル獲得の翌日10月17日の発売日から、メダルが剥奪される22日までのほんの数日間のみ販売されました。郵便局に残っていた切手は回収されました。
 日本選手は倫理と遵法意識が高いので、このような問題は起きないだろうと信じます。むしろ、繰り上がりで金メダル獲得になった場合、当の選手もかなり白けそうだなあと、そちらの方を懸念しています。

【基本技術はPスタンプで培われた】
 勘の良い方は既にお気付きかと思います。翌日切手を可能にした基礎技術はPスタンプです。シドニー・オリンピックの前年1999年3月にメルボルンで行われた国際切手展オーストラリア’99会場で、帆船ポリー・ウッドサイド号45c切手のタブに個人の肖像を印刷した「個人切手」こと正式名称”Personalized Stamps”が世に出ました。
 本来は図のようにタブ部にはコアラの記念ロゴが印刷されているのですが、会場だけでこの部分に個人の肖像が印刷されました。この技術開発に数社の民間企業が参加しており、写真処理はMac、印刷機はフジゼロックスのDocucolor4040カラーレーザープリンターであることも判明しています。何のことはない、日系企業が一番最初から噛んでいたのです。
 にもかかわらず日本で翌日切手が実現するのが最初から数えて16年もかかってしまいました。せっかくの技術がありながらこれほどの周回遅れは忸怩たるものがあります。技術立国ニッポンの名折れです。
 日本郵便さんも民間からの提案をどんどん受け入れ、ぜひとも世界中があっと驚くテクノロジーの切手を”世界最初に”世に送り出して頂きたいものです。

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July 21, 2016

郵趣誌8月号まもなく発行

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 ご報告が遅れてしまいましたが、郵趣誌8月号の担当連載記事が無事に校了しました。今月末には会員のみなさんのお手元に届くことと思います。著作権の関係で今回も一部の記事のみチラ見せです。

 8月号最大のみどころは、国連加盟各国の一番切手を集めた連刷シートの巨大セットです。けっこうなお値段がしますけれど、一番切手の鮮明画像を揃えるだけでもたいへんな労力を要したことでしょう。印刷精度も悪くありません。むしろ、このような企画こそ、切手代理発行エージェントでなければ実現できなかったと言えるでしょう。個人ではなく郵趣団体・グループで切手展用に購入されてはいかがでしょうか。マスコミ向けの切手展宣材(報道資料)にも使えますよ。

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