最高裁の合憲判断からコロナ禍そして特別あて所郵便へ (1)
2017 (平29) 年12月6日、最高裁はNHKの受信契約の締結を義務づけた放送法の規定を合憲とする判決を妥当と判断しました。この判決を境にNHKが一気に強気の営業に転換する様を私たち一般国民はリアルタイムに見てきました。私自身も強烈な記憶があります。
合憲判決の下ったまさにその当月、NHK山口放送局近くの蕎麦屋さんの暖簾をくぐったところ、店主がどえらい不機嫌で眼鏡をかけた若いお兄ちゃんにお金を払おうとしていました。店主は「なんで払わなきゃならないんだ」とぶつぶつ不満を言い続けています。そのお兄ちゃんは表情を一切崩さず「最高裁判決が出たので従ってください。お願いします」と努めて低姿勢でした。そこでお兄ちゃんがNHKの集金人であることが理解できました。
奥から女性店員さんも出てきて「毎日来てくださるお得意さんなんだから仕方ないじゃない」と店主をなだめています。あ、そういう関係なんだね。そりゃ受信料くらい払わないと町内会的な関係にヒビが入りますわなあ。
メシが不味くなるような場面でしたが、私もそしてくだんのお兄ちゃんもいつものように昼蕎麦をひっかけて出て行きました。店主は終始不機嫌だったのをよく覚えています。
▼最高裁の合憲判決を受けての個人向け営業
2018 (平30) 年9月8日、山口市内の個人宅にポスティングされた書類一式です。最高裁判決から一年も経たないうちに地方都市にまでこうした営業活動が展開されていた物証です。受信契約をしていない家庭に網羅的にポスティングされたようですが、残念ながら拙宅には配られることはありませんでした(その理由は最後にご説明します)。
ポスティングされた封筒の表裏です (郵便物ではありません)。サイズはA4判です。これを放置していたら同じものが翌月にもポスティングされていたそうで、その2通とも寄贈していただきました。
同封されていた添状 (左) とA3判2ツ折のパンフレット表紙 (右) です。パンフレットの裏表紙には「NHK営業局 2018.08」の銘があるほか、大河ドラマ「西郷どん」のPRが入っていることから印刷時期が特定されます。一方の添状には日付がなく、長期にわたって同一書面を使用する意図が伺えます。
契約手続き申し込みはがきです。サイズはA4判の両面印刷で、ルレット部分で切り離し、同封されていた目隠しシールを貼って投函するようになっています。料金受取人払郵便で成城郵便局の承認番号3024、差出有効期間は平成31年5月31日までとなっています。
天下の悪法・個人情報保護法のせいで、本状の実逓使用例が郵趣市場に出てくることはないでしょうが、おそらく全国的に配られていますから、成城郵便局をはじめとする東京都世田谷区ゆかりの郵趣家の皆さんは、せめて未使用の1枚は確保しておきたいものです。
▼企業向けの受信料契約・収納業務の勧誘
2019 (令元) 年9月、収集協力者さんから提供していただいた料金後納郵便です。中には受信料契約・収納業務の勧誘書類が入っていまして、つまり、それぞれの地場企業に向け、御社の新規事業として新たに立ち上げませんか?という内容です。個人への集金営業強化とともに、新規契約と集金業務そのものを外注していたことを示す物証です。
A4判両面印刷のチラシです。この時点で270社と委託契約を結んでいると明記されています。
A4判で8ページの案内パンフレットです。表紙以降、その一部をご覧いただきます。裏表紙には「2019.08 NHK営業局」の銘が入っています。
新規契約と集金は、営業の中でも最もベタで厳しいものです。最高裁判決で合憲の判断が示されたとはいえ、いまだに極めて激烈な反対意見が多く、訪問先で罵倒されることも少なくないでしょう。そうした一番の汚れ仕事を外注する経営姿勢は是認されるものか、あるいは新たな仕事の創出という点で評価されるものか、当然ながら賛否両論さまざまな意見があることと思います。
▼個人向けの受信料契約・収納業務員の勧誘
2020 (令2) 年前半、周南市の各戸にポスティングされたA4判チラシの表裏です。新規契約と集金業務であることが一目でわかります。また、問い合わせ先が一般企業となっていることから、前述の業務委託請負会社であることもわかります。
ただし、時期的にはちょうど新型コロナが最初に流行〜5月25日に緊急事態宣言が解除された頃合いです。そのタイミングで外回りの営業マンを募集するとは、緊急事態宣言解除後を見越しての社員募集であったのか、それとも単に危機感の希薄さゆえか???
※最高裁の合憲判断からコロナ禍そして特別あて所郵便へ (2) へ続く
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