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November 2023

November 20, 2023

日本万国博切手資料集

 著者の石田徹さんからお送りいただきました。さして大したお手伝いもできませんでしたのに、まえがきで名前まで記して頂きまことにまことに恐縮です。

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▲表紙と代表的な1ページを著者の許可を得てお示しします。
三波春夫さんの直筆サイン入りホルダーには息を呑みました。
夢のような逸品です。これを拝むことができただけでも眼福です。

 本書の特徴はその構成にあります。基本分類は出展国、非参加、疑国、開催国の4つ。いわゆるアラブ土侯国を特別視することなくフラットな扱いをされていることに好印象を受けました。私自身、アラブ土侯国を何が何でも否定しようという、かつてのヒステリックとも思える排斥の空気を疎ましく感じていたからです。限定的なものではありますが、実逓郵便物も存在していますから「郵便に使えない=切手ではない」の論理が破綻していること、そもそも否定の先入観があまりにも強く、とても知性のある合理的な対応ではないと苦々しく感じていたものです。
 むしろ、ダバール、ナガランド、サンダなどのほぼアウトな国もどきを『疑国』(ぎこく)という新しい分類を立てて取り込んでおられる姿勢に考察の冴えを強く感じます。いずれの日にか改版を重ねてより充実されていくであろう可能性の手応えを感じました。

 以前から常々申し上げている通り、インターネットもまだない1970年代(切手製造時期はさらにその前の1960年代のはず)であるのに、おしなべて間違い図案がほとんどないことは”素晴らしい”を通り越して”誰がここまで正しい考証を行ったのか?”という驚きと疑問の方を強く感じています。これには著者も同じような印象を受けておられるらしく、次のような言葉を記されています。

『日本国内からのデザイン参加において、海外からの日本イメージに70 年代当時の先入観が最低限に抑えられた事やデザイン上のミスも抑えられた事がある。その為50 年以上を経過した当時の万博切手制作事情について、そろそろ詳細な記録が残されても良いのではないだろうか。』

 頒布申し込みについては、下記メールアドレスに、住所、氏名を明記のうえご連絡されると先に発送していただけます。代金は2,500円+送料370円(レターパックライト)の計2,870円後払いとなります。

石田 徹 t-ishida@serenade.plala.or.jp

 各自購入されるだけにとどまらず、お住まいの地域の公立図書館で新刊リクエストをされることも強くお勧めします。あの時代をともに生きた同世代の仲間たちもきっと手にとってくれるでしょうから。

(付記)
 ちなみに日本万博があった年、私は小学4年生でした。学習雑誌などで目にした『太陽の塔』に衝撃を受けた子供のひとりです。雷に撃たれたような・・・とはまさにこのこと。
 後にアート・デザイン業界に進むことなったのも岡本太郎先生のおかげです。私と同世代のアーティスト・デザイナーがことごとく岡本先生への尊敬心を抱き続けているのは、その衝撃の原体験『芸術は爆発だ!』が刻み込まれているからです。

 

 

 

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November 18, 2023

郵便書簡 (ミニレター) の本来用途

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 前職では取引先の一社が、まさにこのまんまの姿で毎月の請求書を送って来ていたので印象強く覚えています。しっかり者の経理さんがいらっしゃるのだなとうらやましく思いました。
 本来は信書を手軽に送るためのもので、明治以来「切手つき封筒」「封緘はがき」「簡易書簡」などと呼ばれていたものが、昭和41年7月1日発行分から「郵便書簡」と改称され、さらに翌42年6月15日に「ミニレター」の愛称が決められました。

 ですから企業が業務用書類を送るのは想定されていなかった節があります。でもまあこの辺りまでは本来用途だと判断しても良いと思います。なので、一般の人が手書きで送った例、企業が請求書など簡単な業務用書類を送った例、写真のような薄物を同封した例あたりをしっかり押さえておくことが第一だと思います。
 本便は防府局の機械印で昭和60年1月25日です。次の「小鳥」50円が発行される昭和63年以前の適正時期の使用例です。その見栄えのしない地味な使用例こそが本来用途なのに、これが時代が新しくなるにつれて少なくなるということを、多くの方が肌で感じておられることと思います。

 さらに時代は下って令和4年3月14日、折加工を完全に廃止するとプレスリリースされました。実際に郵便局での出現が確認されたのは翌4月初めになってから。その根本原因はまさかの武漢中共肺炎こと新型コロナウイルス禍。自宅での自粛生活が続いたためにトレーデングカードの交換が活発化。郵便書簡を使えば、カードを安く送ることができると認知度が急激に上がりました。以前から折れなしバージョンもありましたが、増産需要に対応するため、折加工機械を持っていない印刷会社も広く入札参加できるよう折れなし仕様に一本化されたのでした 。
 しかし、これはさすがに本来用途ではないと、日本郵便さんも苦慮した様子を当時の業界紙が伝えています。いくら便利だ、安いとは言うものの、63円でははがき料金と同額です。はがき部門自体が大赤字なのですから収益性を考えるとやはりおかしい。合理的ではありません。
 これからも郵便書簡を発行し続けるのか、それとも制度廃止をも視野に入れているのか、さしあたって来年行われるであろう郵便料金値上げに注目です。

 

 

 

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November 15, 2023

意外と重要、2023年10月1日のゆうパックチラシ

 図は宮城県の佐藤英幸さんから頂いたチラシです。JAPEX2023の際に開催したファンタスティック・スタンプクラブの特別例会(切手の集い)の際にご持参頂いたものです。裏面には仙台中央郵便局のハンコも押されてありばっちりです。ありがとうございました。

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 このチラシ、今なら全国どこの郵便局でも容易に入手できます。がしかし、意外と重要であることにお気づきでしょうか?。表面が各地発便のゆうパック基本運賃表であることが第一の重要ポイント。わかりやすく日本地図も示されているので、宮城県差出の場合は県内、北海道、東北・関東・信越、北陸・東海、近畿、中国・四国、九州、沖縄の8区分だと明瞭にわかります。ところが我が山口県だと県内、北海道、東北、関東・信越、北陸・東海、近畿・中国・四国、沖縄の7区分と微妙に異なっています。このような違いは料金が変わるといとも簡単にわからなくなります。このような紙資料は大事です。
 第二のポイントは裏面です。セキュリティーサービスと代金引換料金が変更されたこと。そして最も盲点なのは、よほど利用者がいなかったのでしょう、荷物の本人限定受取制度が廃止されたことです。ただし、郵便はこれまで通り取り扱いが継続です。こうした微妙な制度変更も年月とともに容易にわからなくなります。

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 もし、興味がおありの方がいらっしゃいましたら各地バージョンを交換しませんか?。私からは山口県配布バージョンを提供します。事前連絡は要りませんので下記要領で直送ください。

(1) 交換数は一都道府県につき2枚。
(2) 裏面に郵便局のハンコが押されているものがベストです。
  ハンコなしの場合は採取局名を鉛筆でメモ書きください。
(3) 折っても折らなくてもどちらでも構いません。
  往信時と同じ状態で返信します。
(4) 往信封筒はお返しします。
  実逓便作成の一助としてご活用ください。
(5) 返信用切手・封筒は不要です。当方が負担します。
  額割れ切手を使うので貼り合わせや消印は期待しないでください。
(6) 送付先は以下の通りです。

  747-1221 山口市・鋳銭司郵便局留置 槇 陶岳

注)槇陶岳は椙山のアーティスト活動時の別名です。
  管轄局に正式に書面で届出済ですのでご安心ください。

 

 

 

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November 14, 2023

関門橋50年

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 今日2023年11月14日、関門橋が開通して50年を迎えます。50年前の今日、昭和48年11月14日に発行された記念切手の初日カバー+αをご覧いただきます。郵便の初日カバーの余白に簡易保険の記念スタンプ押し。カットは郵便貯金の記念スタンプです。簡保も郵貯もともに日付入りというのが気に入っています。当時の郵政三事業が揃いましたので、下関にルーツを持つ自分としてはたいへんうれしく思います。

 この中で肝心の郵便印の小型印だけが15日になっている点にご注目ください。これ、なぜか切手発行日の14日ではなく15日から使用開始されています。当時はさほど話題にならなかったとみえて、これを咎める文章を特に目にしたことはありません。自分も疑問を抱いてあれこれ確認しているうちに貴重な証言を発見しました。

 記念切手発行に先立つ11月9日、記念たばこが発売されたことから記念カバーを製作するため下関郵便局に行かれた方がいらっしゃいました。その人の名は岩城九州男さん。著名な方ですのでお名前をご存知の方も多いと思います。
 下関郵便局に掲示されていた予告ポスターに、小型印の日付が14日になっていたことを証言されています。告示と明らかに異なる日付だったためその誤記を印象深く覚えておられました。氏は”初日押印などで混乱するのを避けるため意図的に1日ずらしたのではないか?”と書き残されていますが、もちろんこれは根拠のないただの想像に過ぎません。その場で局員さんに確認すればよいものを。肝心の下関局さん自身が14日と誤記しているのです。意図的な1日ずらしをした説はこの時点で合理性がありません。なので私は当時の中国郵政局のケアレスミス説をとります。
 フィールドワークの経験に乏しかったらしい古い世代の郵趣家は、えてしてこうした勝手な想像・思い込みだけで1人合点してしまう非科学的傾向があるので要注意です。

 当時は山陽新幹線も新大阪・岡山間しか開通していません。遠方から来られた方は、押印作業が済むとトンボ返りされたそうです。しかし、日本風景社の吉川洋一氏は岩城氏とふたりで下関名物のふぐ鍋を囲んだとありますので、もう一泊されて図のカバーに小型印を押印されたものと思います。
(参考文献:「カバー日和」第41号 (1974年1月) 富田博一)

 

 

 

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令和6年 (2024年) 用萩市オリジナル年賀はがき

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 発売初日の11月13日 (月) に100枚買ってきました。防府切手のつどい2024冬の案内はがき用に使い切る予定です。前夜祭が1月27日 (土)、本会が1月28日 (日) なので、年賀状として使うのはちょいと早いのですが、こればかりは致し方ありません。毎年恒例ということでどうぞご容赦ください。
 今回のテーマは「萩まちじゅう博物館」、発行枚数は18,000枚。画像データをダウンロードすることもできます。自作の場合、オリジナルは四面はがきを使っていますので、表面右下の四面はがきマークの有無で区別可能です。
 なお、県内各自治体の広報誌をざっとチェックしたところ、今年は萩市以外での発行は見当たりませんでした。

2023111303 ▲ 広報 萩 第388号 (20231101) より

 

 

 

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November 13, 2023

イベント用名簿管理の重要性

 防府切手のつどい2017夏から2023夏までの6年間、支部主催イベント・切手展参加者の名簿を管理しています。その間に蓄積されたのは220人(亡くなった方は含まず)。そのうち、過去3年間に一度でも参加された方には案内状をお送りしています。さて、そのアクティブな方々はいったい何人いらっしゃるでしょうか。

 答えは90人です。

 私自身も少ないなあと感じています。定着率が低い、リピーターさんが増えない=イベントの魅力がないのではないか?と。そこでブース出店者さんを積極的に勧誘する、SNSでの告知を徹底する、地元ローカルFM局に出演するなど創意工夫を重ねてきました。ようやく新型コロナからの復調が感じられるようにはなったものの、いまだに実際の参加者は70名程度です。

 イベントに来られなくなった人の中でも、きちんと連絡をくださった方々をみますと、高齢で行けなくなった(家族が反対している)、親の介護を抱えている、郵趣誌を見て行ける時に行くので案内状は不要、”あて所に尋ねあたりません”のハンコが押されて案内状が返送された等々、さまざまな理由が見受けられます。しかし、突然再訪される方も少なくないため、明らかに亡くなったことが判明した場合以外はデータを残しています。その蓄積結果が"6年間で220人”という数字になりました。

 しかし、90人に案内状を送り、そのうちの70人が参加してくださるのですから、考えようによっては対費用効果は高いと言えます。今ではこれが普通なのかもしれないと思い始めています。
 新型コロナ以後に環境も激変し、不特定多数で何百人も来場するようなイベントは会場側が警戒するようになりました。むしろ70人程度なら問題ありません・・・と言われました。100人越えを目指していた昔とは考え方が完全に逆転しました。

 名簿管理は本当に面倒臭いです。イベントが終わるたびにおひとりずつチェックをしなければなりません。パソコンが使えないと無理だと思います。それでも毎回やらなくてはいけないと痛感しています。昔のようにバラ撒き方式で案内状を送っていては、その過半数が捨て金になってしまうことが十分以上に理解できたからです。

 イベント主催者の皆さん、基本中の基本「名簿管理」をがんばりましょう!。

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 上は名簿管理の実際のデータ入力画面です。四角欄に数字の1が入っているのが”参加”のマークです。後々各種集計ができるように◯✖️等の記号ではなく数字にしました。なのでご夫婦で参加された場合などは2になります。
 なお、2020春は新型コロナのため、2022春は会場の改修工事のため中止を余儀なくされました。

 

 

 

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November 12, 2023

JPS防府支部例会資料(20231119)

 多忙につき先月は例会資料が用意できませんでした。今月は鋭意準備を進め、一週間前に完成しました。
 例会ではSTAMP-SHOW in はかた2023で仕入れてきました外国切手ファイル5冊のバラ売り(1点10円〜)を行います。また、JAPEX2023で購入した「ロワールのシャトー」額面販売、印刷朝陽会の特製シール(2種セット)の無料配布もご用意しています。どうぞご参加ください。

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November 02, 2023

グリーティング・シンプルを『ビジネス切手』に

 グリーティング・シンプル切手の種類も増えてきたので、そろそろグリーティング切手の括りから独立させて「ビジネス切手」に昇格させるべき時期が来たと思います。日本郵便さんの分類は今後もグリーティング切手の一部という位置付けでも構いませんが、郵趣家サイド独自の分類としてそうした方がはるかに有意義です。

 日本切手にしか目が向いていない郵趣家は、前世紀には既にオランダやベルギー等でビジネス切手が発行されていたことを知りません。それゆえグリーティング切手としては違和感と不満感しか持てないようです。事実、すべてセルフ糊式だしシート構成も50面で分割購入も不可で明らかに切手の性格が異なります。およそグリーティング性はどこに?。はっきりビジネス (専用) 切手と謳った方が売る側・買う側とも納得できるでしょう。

 何よりその使われ方が独特です。官公庁や企業など個人以外のまとめ買い&使用がほとんどです。自然な使用例を丹念に見ていくと適正1枚貼りがほとんどで、2枚以上の多数貼りや混貼そして特殊取扱が本当に少ない。これほど面白味がない切手も珍しいだけに、逆に郵趣家のやる気を起こさせる存在でもあります。
 図版右の特定記録郵便は返信用封筒同封が条件だったので、作り物が嫌いな自分もこの時ばかりは多数貼りを意識してシンプル切手3枚貼りにしたほどです。

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 地元の収集協力者さんから来信郵便物を買い取りさせていただいています。また、JPS防府支部で山口県内各地の社会福祉協議会さんが集めた使用済切手も引き取らせて頂いています。そうした実際の使用動向を見ますと、郵趣家が思っている以上にシンプル切手は使われています。ベテラン郵趣家ほどその現実とのギャップに気付いていないようです。それを正す意味でもせめてカタログ上だけでも独立した分類を立てることが急務だと考えます。

 なお、シンプル切手のデザインが良くないと感じている人は、申し訳ないですが美的センスがないと自覚してください。諸外国と比べてもはるかにグッド・デザインです。元デザイナーの私が言うのですから間違いありません。プロのアーティスト・デザイナーでシンプル切手をダメと言う人は皆無だと思いますよ。

 

 

 

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