提言:郵趣のための押印サービス見直しを
定額小為替の手数料もどえらい高くなってしまったので、この際、郵趣のための押印サービスを全面的に見直していただけないでしょうか。新切手発行に際しての押印に関しては最初の2点が主旨です。
(1) 発行後1ヶ月間に限り郵頼を受け付ける
新切手は各自が地元の郵便局で買い、カバー、カード、押印台紙に貼ります。後は押印するだけの状態のものを初日指定郵便局に送ります。指定局では発行後1ヶ月間に限り、押印だけして依頼者に送り返します。
この方法だとお金のやり取りが一切無いので依頼者は助かりますし、局側も金銭授受にまつわる労務管理が劇的に省力化できます。もちろん、新型コロナ対策を兼ねているのはおわかりですね。
損するのはゆうちょ銀行さんだけですが、彼らとて本音では定額小為替はもうやめたいと思っていますからむしろ好都合でしょう。
アメリカはすでにこの方法を運用しています。
(2) 記念押印のみとし引受消印は廃止
押印サービスは基本的に記念押印だけに限定し引受消印は廃止しましょう (あるいは百歩譲って普通便のみ)。文通・交換を趣味にしている人は困ると言うでしょうが、引受消印廃止はデメリットよりメリットの方がはるかに多いです。
引受消印は必ず初日印を押印して送り出さなければならないので、記念押印を後回しにせざるをえず、その労務負担は莫大です。ましてや昨今は、シート丸ごとを大型封筒に貼った国際書留郵便物をひとりで300通も持ち込むような、極めて非常識なモンスター客が実際にいますので、彼らを排除する方が先決です。
例えば、このような初日カバーがあったとします。これに宛名を書けば引受消印として差し出すことができたわけですが、よーーーっく考えていただきたい。記念押印と引受消印で郵趣的に何が違うのでしょうか?。今の日本は植民地があるわけでもなく、国際紛争状態でもありません。北海道から沖縄まで、どこで郵便使用しようがなんの差もありません。あえて実逓にこだわる合理的で積極的な理由は極めて希薄と言えるでしょう。本当にどうしても実逓でなくてはならないのか、よく考えて宗旨替えを検討していただきたい。
そもそも、日常の社会生活で自然に差し出すのが本来の「実逓」です。郵趣家が意図的に差し出したものは本来の意味での実逓ではありませんから、記念押印で代替できない理由はありません。
(3) 別会社に業務移管する
理想的には記念押印だけに特化した下請け子会社を作って業務を移管しましょう。何でもかんでも自分たちだけでやろうとするから話がややこしくなるのです。それにこだわったために潰れたのがあのダイエーです。
日本郵便さんと大手切手商さん、あるいは業界組合で共同出資して新会社を設立すると言うのはまんざら夢物語でもないでしょう。現に押印技能一級を持つ郵趣家は私をはじめとしてすでに多数育成されています。そして新会社のトップや部長クラスには日本郵便さんから人材を派遣していただきます。皆がハッピーになれます。誰も困ることはありません。
(4) 大きな波及効果が期待できる
以上は新切手の押印だけに話を絞って書きました。しかし、記念押印に限定すれば新切手以外の一般の風景印や小型印にも展開でき、例えば全国の風景印を集中押印センター方式で一括で押印処理することもできます。各地の郵便局では、旅行先での個人客の引受消印など、本来業務に支障しない規模に抑制することができます。
そして実際に郵便を出すことがないのですから、何も「1単位につき1押印」という複雑な押印規程を規制緩和することも可能です。1単位とははがき料金、つまり今は63円ですね。この基本が簡単なようで、現実にはおおいに混乱を招いている元凶です。
例えば「1押印は10円以上」のように大幅に簡略化できます。10円以上の切手が貼ってあれば何をどう押印しても良いので話が簡単です。これが制度化されれば、例えば地域の風景印ラリーを大人だけでなく子供さんたちも楽しめます。風景印というせっかくのリソースを生かすことができます。
料金証紙との混貼では特殊通信日付印は押せないとか、ひたすらわかりにくい”規程運用の袋小路”に迷い込んでいるのは、記念押印と引受消印を一緒くたにしているからです。郵便局員さんの中には記念押印と引受消印の区別すらできない人も珍しくありません。それゆえ国際郵便には風景印は押せない等の誤解から、押印客と無駄なトラブルを惹起しているのはご存知の通り。
郵趣のための押印サービスを記念押印のみに限定することで非常にシンプルに、わかりやすくなります。それでもなお、郵趣サービスの一環としてどうしても引受消印をしたいお客さんがいるのなら、例えば1通につき100円程度の別料金を徴収しても良いと思います。
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