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August 27, 2019

金銀銅の金属色インク

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 昨日発行された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(寄附金付)を購入してきました。さすが400年以上の歴史を誇るオランダの王立印刷所ジョン・エンスケデ社です、1枚のシートの上に金銀銅の3色を同時に表現しています。メタリックな風合いを箔押しではなく印刷インクで表現するのは実はたいへん困難なことなのです。

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 日本最初の金色インク印刷は、1959年(昭34)発行の名古屋開府350年記念切手であることはあまりにも有名です。時の郵政省は金のシャチホコを表現するために金色インクを使うことを強く希望し、一方の大蔵省印刷局側は金色は変色しやすく印刷も難しいからと難色を示していましたが、最終的には郵政省の希望を容れ、グラビア特色の金色インクでの印刷に踏み切りました。(※)
 幸いなことに発行からちょうど60年を経過した現在でもさしたる経年劣化は見受けられません。皆さんのアルバムに収まっているであろう1枚もまた輝きを失っていないことと思います。

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 その後、印刷局では研究が重ねられ、1968年(昭43)にはついに普通切手・中尊寺金色堂30円にもグラビア特色の金色インクが用いられました。
 さらにその翌1969年に発行された日本万国博覧会EXPO’70寄附金付50+10円記念切手、1970年発行の同記念切手1次・燕子花図50円も同様です。同記念切手2次・夏秋草図50円にはなんとグラビア特色の銀色インクまで登場し、日本における切手ブームの最盛期を象徴するかのようでした。

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 しかし、日本切手にしか目が向いていない収集家が多かった当時、目立たないながらも印刷局では外国切手製造を請け負った際に金属色インクを大胆に使っていました。それが1967年(昭42)発行のシャルジャー切手”POST DAY 1967”です。大蔵省印刷局の銘版が入っていますので知っている人は知っている存在です。しかも、中尊寺金色堂30円切手が発行される前年です。
 いかなる経緯でアラブ土侯国の切手製造を扱うことになったのか今ではわからなくなりましたけれど、こうして実物だけは確実に世の中に残されました。どなたか謎解きに挑戦しませんか?。

 最後になりましたが改めて東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(寄附金付)をご覧ください。プレスリリースにあるようにオフセット6色印刷です。カラーマーク部分に注目してください。左からプロセス印刷のKCMYの4色が並び、その次に銀、金の特色2色、そして右端にエンボスがあります。まとめますとカラーマーク6色+エンボスです。さあ、ここで不思議にお気づきでしょうか。そうです、銅色の特色がありません。これはいったいどういうことでしょうか。
 すでに外国切手では行われている”銀色インクの上に金色インクを重ね刷りをすると銅色になる”ではないかと私は想像しています。皆さんも高倍率のルーペでじっくり観察してみてください。いずれ専門家の方が「郵趣」誌上に詳細を解説してくださることでしょう。

※:出典 解説・戦後記念切手II「ビードロ・写楽の時代」P.242より(内藤陽介著)

 

 

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