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April 23, 2018

変動管理方式の提言

 郵趣の歴史も150年を超えました。その黎明期以来こんにちに至るまで、郵趣家はその整理方法に呻吟して来ました。21世紀になって早18年、これからの時代に即した整理収納方法を提言したいと思います。

1.伝統的な固定管理方式

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2018042302 私のジャポニカと変形切手のアルバム写真をご覧いただきます。いずれも通し番号がふってあり、理路整然と書架に並んでいます。ほとんどの郵趣家の書斎で目にする日常の光景ですね。これはひとつの郵趣品に対し、テーマに沿って一カ所の収納場所が割り振られる1対1の「固定管理」方式です。しかし、これが万能ではないこともまたみなさんよくご存知のはずです。
 これだけきっちりしているのに、お目当てのアイテムがどこに入っているかわからなくなったという経験を誰もが体験しているはずです。アルバムがせいぜい10冊どまりならマシで、私の変形切手コレクションは現時点でさえNo.34です。今後も日々増大していくわけで、うっかり変な場所に納めでもしたら見つけ出すのは至難の技です。これに対し、各巻ごとにおおまかな内容リストを作ることで一応の解決を見ていますが、それでもパーフェクトではありません。

2.先進的な変動管理方式

2018042303 固定管理方式は、人間の能力(記憶力)には限界はなくミスもしないことを前提にして成り立っています。しかし、現実の人間の記憶力には限界があり、必ず物忘れもしますしミスも犯します。つまり固定管理方式には無理があると思います。
 その解決手段として、常々申し上げているようにパソコンを使いましょう。具体的にはデータベース管理ソフトを使うことです。自分の脳だけに頼らず、外部記憶装置を使ってコレクション全体を管理運用しましょう。
 私はできるだけ毎日、つまり最新日付のページに郵趣品をファイリングしています(図の赤線)。ジャンルごとの分類はしませんし、その必要もありません。極めてシンプルなルーティンです。さらに、2種類の日付を併用することでスペースが空いている場所ならどこにでも収めることが可能になります(図の黒点線)。その仕組みについて詳しくご説明します。

3.ロケーション日付(収納場所)とリアル日付(現実の日付)の併用

 リーフの実際を見ていただいた方が話が早いですね。上の日付を”ロケーション日付”と言い、どのアルバムのどこに収納したかを意味しています。収納場所のアドレスとして日付を利用しているだけで、必ずしも実際の日付である必要はありません。その下のカッコ付きの日付が”リアル日付”で、当該品の使用日を記しています。

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 もうおわかりでしょう、1986年のカバーが手に入ったからといってわざわざそれ専用にアルバムを新調していたらたいへんです。手に入れた日やアルバム整理した日、あるいは収納スペースに余裕のあるアルバムを適当にチョイスしてその日付にしたってかまわないのです。これにより、物理的な収納スペースをできるだけ圧縮することができます。ただし、これを人の記憶だけで管理することはできません。パソコンの力、データベース管理ソフトの出番です。

4.データベース管理ソフトの威力

 私はPagesでリーフを作っています。フォーマットができているので、そこに必要なテキストデータをインプットするだけで簡易ながらリーフが作成できます。ふだん使いの整理リーフならこれで十分です。そのテキストデータをデータベース管理ソフトのFileMaker Proにコピペしています。最初からテンプレートが用意されているので、少しだけ自分で手を加えるだけでいきなり使えます。
 下図の一番上に本件のデータがあります。コピペした文章に”封緘紙、付箋、リアル日付”の文言を追記しました。これにより、右上の検索窓に”付箋”と入れると、このように付箋関連のアイテムがクリック一発でピックアップされます。検索窓で全文検索ができますので、データベース化さえしておけば必要項目で名寄せができます。さらにロケーション日付順に自動的にソート(並び替え)するようにもしてあります。

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 検索ができることが必須条件です。ただ単にワードでリストを作っただけでは、品物を探し出すのにまた人力頼りになってしまいます。アイテムが数千、数万になろうかというレベルになるととても無理です。逆に言うと、人間の記憶力だけで管理できているうちは大したコレクションではないとも言えます。

5.多様性に対応可能

 データベース管理ソフトを併用することで可能になる変動管理方式のメリットに気づいたのは、実はメインの外国切手収集、それも変形切手の整理収納にヒントがありました。
 図はニューカレドニアが1999年に発行した”切手発行140年”小型シートです。ひとつの小型シートの中に凹版印刷、ホログラム、金箔エンボス等々と特殊加工が盛り込まれています。これをいったいどこに収納すればいいのか悩みに悩みました。

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 あるいはまた、イギリスが2001年に発行した”ノーベル賞100年”記念切手6種完セット貼り公式FDCをご覧ください。それぞれ示温インク、燐光インク、エンボス、香り付き、マイクロ印刷、ホログラムといった当時最新鋭の特殊加工が施されています。単片は各特殊加工別にセットをバラして収納するべきか?。しかし、それではセット全体の意義がわからなくなってしまいます。公式FDCは切り刻むわけにはいきませんのでどこに収納すれば良いのでしょうか?

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 近年このように一枚の小型シート、ひとつのセットに多様な要素が盛り込まれている事例がたいへん多いのです。郵趣品と収納すべきアルバムが一対一対応の固定管理方式が使えないのです。やむなく”特殊加工の複合”というアルバムを作らざるを得ませんでした。しかし、これでは分類整理したことにならないのではないか?と思いました。ところが逆転の発想で”ならば無理に分類しなければいいじゃないか”というアイデアが閃きました。これが郵趣ダイアリーという形になり、HYPER Philatelistブログや郵趣誌で記事化することになりました。しかし、この時はまだこれが変動管理方式だという明確な認識は伴っていませんでした。

参照:郵趣ダイアリー2016のまとめ

6.アマゾンの在庫管理

2018042308 TVでアマゾンの在庫管理の様子がレポートされた時に変動管理方式について明確に意識化できました。
 同じ商品をひとつの場所に集約するのではなく、空いている棚に分散して在庫。注文があると最適条件の品をロボットがピックアップしてきます。システム全体を管理しているのはコンピュータでありAI。なので同じ商品を同じ場所に集めておく必要がありません。
 なんだ、私の郵趣ダイアリーはまったくこれと同じじゃないかと、その時に初めて気がつきました。

7.運用上のノウハウ

(1)なぜ日付なのか

 変形切手アルバムのように1,2,3,4・・・と番号を振ってもかまわないのですけれど、それは変形切手というごく限られたテーマだからです。収集品が増えてくると出し入れの際に間違いやすいです。ロケーション日付ならミスに気付きやすく、元の場所に戻すことも容易です。”人間はミスをするものだ”が前提の予防策のひとつです。

(2)実は元に戻す必要もない

 リーフ作品を作る際などに品物を取り出すわけですが、事後に元の場所に戻す必要が、実はありません。一括して新しいロケーション日付に付け替えて別のアルバムにまとめて収納しましょう。リーフのロケーション日付を手書きで書き直し、データの方もコピペで書き換えるだけで済みます。

(3)収納場所に悩む必要がない

 前述の過去記事”郵趣ダイアリー2016のまとめ”でも実際の収納例をお示ししています。さらに直近例として「瀬戸大橋30周年」の記念カードをご覧いただきます。瀬戸大橋だけでアルバム一冊できるほどの物量がありませんので郵趣ダイアリーに収納しました。後々の資料性も考慮し、新聞記事をリーフにコピペしました。
 なお、この時は届いたその日にリーフ整理しましたので「ロケーション日付=リアル日付」でしたが、忙しい時は無理する必要もありません。時間が空いた時にロケーション日付とリアル日付を併用して整理してください。

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 その他、会報、収友からの手紙、郵便局のチラシ、パンフレット、シール類、領収書、名刺などなんでも収納できます。今までは”これだけ一点持っていても仕方ないから”と手を出さなかったものもこれで解決します。無理に収集範囲を絞る必要はありません。また、そのことを覚えておく必要もありません。パソコンがデータベースとして記憶しているからです。

(4)モノが集まってから固定管理方式に移行する

 最初から一定量があると予想される場合、結果的に一定量に達した場合、その時にのみ初めて固定管理方式(=専用アルバム)に移すのが良いでしょう。なぜなら専用アルバムにすると確実に物理的に収納スペースを食うからです。また、データベースも専用アルバム名を追記し、データは消さないでおくことをお勧めします。
 ただし、これも”経験者は語る”になるのですが、百均で買ったケースファイルといえども50冊を超えるようになると、再びファイル自体を探す事態に陥ります。ここでも人間の能力を超えてしまうわけです。専用アルバムへの移行はよくよく吟味されますように。

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(5)すでにある固定管理方式のアルバムは変更しない

 そこまで手をつけてしまうと人生が何回あっても足りません。整理のための整理になっては意味がありません。

(6)次世代へコレクションを受け渡そう

 何の説明もなく品物だけが残された郵趣品の末路は悲惨です。本人にとっては価値あるものでも、往々にして第三者には理解されにくいものです。意味不明と思われて二束三文で売り飛ばされるならまだしも、下手したら廃棄処分になってしまいます。リーフ整理することと同時にデジタルデータも揃っているとスムーズに次世代に受け渡すことができます。

 おしまいに変動管理方式の要点を記しておきます。
 それはただひとつです。

 『分類・整理しない』

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