河原慶賀の植物図譜
下関市立美術館で開催中の表題の展覧会に行って来ました。同館友の会の会員ですから特別展の入場料が半額です。同館のキュレーターさんの腕がいいのでしょう、必ず期待値以上の満足感があります。今回もまたそうでした。
シーボルトに依頼されて絵を描いた河原慶賀という絵師のことは実はよくわかっていません。今で言うアーティストではなく、依頼されたものを描くだけの職業画家の側面が強いことも関係しているでしょう。前半に展示されていた植物図以外の風俗絵は正直、綺麗なイラストという以上のものはありませんでした。特に量産に迫られて工房式に弟子たち(というより従業員)に描かせたものは明らかに質が劣っています。これは展示しなくても良かったんじゃないか?とさえ思われました。
が、いったい彼のどこにこんなスイッチがあったのかと思わせるのが主展示の植物図譜です。西洋画法をマスターしたうえで正確緻密に描かれたそれは第一級の博物史料図です。葛飾北斎父娘もシーボルトに依頼されてたくさんの肉筆画を描いていますけれど、それとはまた違った趣と画家の意志が感じられるものでした。職業画家であればこその使命感のようなものがありました。しかも同館では細部まで観察できるように貸し出し用拡大鏡まで用意されていました。
特に郵便を愛する我々郵趣家であれば、郵便はがきの元となったと言われるタラヨウはマストアイテムです。展示品の中にそれを発見した時はテンション上がりましたよ。売店でもポストカードを発見し、12枚のうち10枚を買い求めて現役郵便局員のお友だちあてに第1弾を発送しました。もう一回くらい行きますので未着の郵便局員さんは今しばらくお待ちください。
また、実際に鹿児島県に住んだことからすっかりみかん星人になった自分、ウンシュウミカンの図にはっきり”ナガシマミカン”と記されていたことにニヤッとしました(笑)。鹿児島県北薩地方の東シナ海に浮かぶ長島が原産地です。長島みかんの名前ではセールス的にいまいちだったため、中国の温州にあやかってその名を付けただけなのです。実際には何の関係もありません。
その後、関連展示をしている下関市立歴史博物館にも行き記念栞2種もGETしました。栞にもタラヨウの絵が採用されていることも嬉しいですね。
参観日当日20日は日曜日、ゆめタウン長府内簡易郵便局は廃止されてすでになく、展覧会後に記念押印する意欲がなくなりました。いつも長府郵便局ではさすがに飽きます。風景印も下美とは無関係な図案だし、日曜日のゆうゆう窓口の職員さんでは押印があまりお上手ではありませんのでストレス感の方が先に立ってしまいます。
そこで今回は発送物はぜんぶポスト投函しました。地域区分郵便局の山口郵便局が開局して以来、山口県内の定形郵便物はすべて同局の消印が押されます(各地域の集配局は押印作業をしません)。県外の人にとっては下関も萩も岩国もそんなにロケーションの違いは気にならないでしょう。”山口”の表示であれば間違いではないのでそれにしました。結果、図版のようなスマートな出来栄えになりました。今後もこの手を使いたいと思います。地域区分郵便局の郵趣的なメリットのひとつだと思います。
※下関の後、10月7日(土)~11月26日(日)の予定で長崎歴史文化博物館でも展覧会が行われます。九州の方はぜひご参観ください。
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