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November 24, 2015

印刷会社の特長を生かしてください

Wasyoku

 新南陽郵便局で本日発売の特殊切手「和の食文化シリーズ」第1集を見かけました。たまたま、今朝のワイドショーでも取り上げられていましたね。日本に7人しかいない切手デザイナーのおひとりとして星山理佳さんが登場されていました。わざわざ和食のミニチュアを作り、それを写真撮影して切手図案にするなど、短い時間でよくまとめてありました。
 私は郵趣家ですから、紙粘土でミニチュアを作られた等々の情報は事前に郵趣誌等で知っていましたし、テレビ画面で見て、そして実物を郵便局窓口で見て、やっぱりいい仕事をされていらっしゃるなと感動に近い感情を覚えました。その一方で、もう一歩踏み込んだ希望も脳裏をかすめました。

 製造銘版を見てください。この切手を作ったのはオランダのジョン・エンスケデ社です。

 すでに何種かの日本切手製造を請け負っている会社さんですから、特になんの違和感も感じられなかった方がほとんどでしょう。確かになんの問題もありません。そこが引っ掛かったのです。
 エンスケデ社はただの印刷会社ではありません。王立印刷所として1600年代からヨーロッパの証券類印刷を手掛けてきた伝統と技術と格式のある企業です。日本で例えますと「安土桃山時代から続いている宮大工集団」とでも表現しましょうか。日本切手だけしか興味がないとご存じないと思いますけれど、エンスケデ社が製造した切手には、精密・精巧なもの、特殊印刷技術を駆使したものなど、素晴らしい実績に溢れています。できることなら、わが日本国の切手にもそうした輝きを発揮していただきたいのです。

 郵便切手の国際入札の詳細は存じませんが、いちばん安い値段を提示したところに発注するだけではない工夫をお願いしたいです。切手の原画データを渡し、仕様書通りに作って終わり、ではあまりにも勿体ないことです。印刷会社ごとに得意がありますので、それを生かすべく膝詰めで話し合い、時には印刷会社からの提案も盛り込んだ切手を世に送り出していただきたいです。
 新年早々に日本の城シリーズが凹版切手で発行されるとか。凹版彫刻師が芸術家として認知されている歴史が長いヨーロッパには、キラ星のごとくマイスターがいらっしゃいます。日本の彫刻師さんの仕事ももちろん見てみたいのですが、せっかく国際入札をするなら世界の技にも接してみたいです。
 そうなると随意発注にならざるをえず、大人の事情でなかなか難しいことかと思います。しかし、年に1回くらいはそんな世界水準の「紙の芸術品」を見てみたいとは思われませんか?。
 私の知らない超絶技術が盛り込まれている「和の食文化シリーズ」第1集かもしれません。それでもオフセット6色印刷なら、なにもエンスケデ社でなくても出来たのではないでしょうか?。

 三ツ星レストランに行けばそれはそれは美味しい料理を食べることができるでしょう。しかし、せっかく行ったのにそこでラーメン・ギョーザ定食を食べたいとは誰も思わないはずです。

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