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February 03, 2014

忘れられたビジネスマナー

2014020301

 交流会などで初めてお目にかかった時など、翌日のうちに手書きの礼状(はがき)を書きましょう、なんてことをビジネス・セミナーではよく言われますね。でも、訪問する前に郵便を出す商習慣があったことをご記憶の方はいらっしゃいますでしょうか。上図をご覧になって、ああ、あれかと思い出されましたか?。

 新幹線も高速道路網もなかった昭和30年代、モータリゼーションもまだ起きておらず、当時のビジネスマンの出張手段はもっぱら鉄道でした。小津安二郎監督作品の「秋刀魚の味」と同時代かもう数年前くらいをイメージしてください。営業マンは鉄路をたどって全国各地に足を伸ばしていました。行った先々で注文をもらい、また次のお得意さまのもとへと長い時では数週間かけて回っていました。その時に彼らが携帯していたのが切手帳や郵便はがきでした。それで次の訪問地に出張伺いのはがきを送っていました。その実物は明治時代のものを含めて相当量残されているので、かつては普通に見受けられる商習慣であったことがわかります。ご想像の通り、電話の普及がこれを忘れさせてしまったものと思われます。
 とっくに廃れてしまったと思っていたところ、極めて稀にこれを継続していた例を入手しました。上図は昭和62年(1987)の例で、三重県四日市の陶磁器卸商から新潟県上越市のお茶屋さん宛です。有名な萬古焼を茶器として販売していたのでしょうか。
 以来、注意して観察していましたところ、はがきの山の中から下図の平成6年(1994)の例も発掘しました。これすらも今から20年も昔のものですが、まさか平成時代に入ってからも続けている会社があったのかと驚きました。新潟県三条市の金物卸商から大分県津久見市の金物店あてです。その文面のかしこまり方がまた素晴らしいです。

拝啓 毎度御引立を蒙り謝し上げます
左記の日程に出張員を参上させますから
何卒御手透の品御調べの上精々御用命の
程お願い申上ます

 代々受け継がれてきた文章ではないでしょうか。今では「精々」の意味も変わってきたのであまり使わなくなりましたね。このまんまパクるわけにはいかないでしょうけれども、かくも礼を尽くした文面が届いたらそりゃあぐっとくるでしょう。さらに今風に記念切手を貼って風景印でも押して送った日には、単なる出張お知らせ以上の効果があることでしょう。古き良き時代のビジネスマナー、ここはひとつ復活させてみませんか?。

2014020302

<余 談>
秋刀魚の味にご出演の俳優・故中村伸郎さんも切手収集家でした。それも手彫切手の本格派で知られていらっしゃいました。

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