« 結果報告:中原中也記念館から手紙を出そう | Main | 西郷どんお面メール »

October 12, 2012

ふたつの献辞

2012101201

 次回のファンタスティック・オークションに出すために実家から郵趣文献を何冊か持ってきました。既に10点のピックアップは終わっていますが、若干マニアック過ぎるものが目立つものですから、三島良績先生の著作を何冊か加えようと考えてのことでした。

 その時に懐かしい一冊がありましたのでご紹介することにしました。郵趣文献の収集と研究そしてドイツ俘虜の郵便の邦訳などで活躍された故吉田景保先生からいただいた「切手の話」という翻訳本です。原書はイギリスのウィリアムズ兄弟の作で昭和33年に発行されています。推薦人は当時の郵政省郵務局長の板野学(後に1977年に発覚したKDD事件の時の社長)、序文が三島良績先生。今ではおよそ考えられないことですが発行所はなんとみすず書房、しかも本書は第2刷。内容もまたすばらしく、イギリスで興ったごく初期の段階の郵趣の話、現在ではクラシックと呼ばれる19世紀の名品切手の数々の話が220余ページにびっしり記されています。古き良き時代のフィラテリストたちと時空を越えて心通わすことのできる優れた郵趣文献のひとつです。

 左側の献辞にありますように、もともとは著名な郵趣家であられた八田知雄さんに謹呈されたものでした。これほどの良著を何故?と理解に苦しむのですが、八田さんはこれを神田の古本屋に売っ払ってしまいました。それをあろうことか、翻訳者の吉田先生ご自身が発見し買い戻されたのでした。この稀有な経緯をたどった本書を「面白いからスギヤマくんにあげよう」ということになりました。その日の証にと1983年(昭和58年)6月25日の日付を入れて、改めて八田さんの右側に献辞を書き加えてくださいました。当時、千歳船橋にあった先生のご自宅で直接いただいたものだと記憶しています。
 若い時代にお世話になった吉田先生も1990年(平成2年)5月にお亡くなりになりました。それからもう20年以上が経ちました。この本だけは終生、自分の傍に置いておきたいと思っています。もちろん、このお話は初公開です。

|

« 結果報告:中原中也記念館から手紙を出そう | Main | 西郷どんお面メール »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46050/55870732

Listed below are links to weblogs that reference ふたつの献辞:

« 結果報告:中原中也記念館から手紙を出そう | Main | 西郷どんお面メール »