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August 12, 2012

モナコ公国の無額面・永久保証切手

 日本にはない郵便制度下で発行・運用されている切手も収集範囲です。先進諸国で次々と採用されている代表例が無額面切手で、その多くは永久保証切手でもあります。なんのことかわからないと思いますので詳しくご説明します。

 現在の日本の封書の基本料金は80円です。それに対応する切手には額面が80と表示されています。無額面切手とはその額面数字を表示しない、あるいは「第1種用25gまで」といった方式で郵便等級を示します。この無額面方式に一体何のメリットがあるのか即座には思い及ばないことでしょう。その威力を発揮するのは料金値上げの場面です。わざわざ新額面の切手を印刷する必要がないのです。現実に起こった事例では1975年のアメリカのクリスマス切手でした。料金値上げの議会承認が長引き、議決を待っていては印刷が間に合わないからと、2種のクリスマス切手を無額面で発行しました。結果的に新料金は10セントになったので郵便窓口では10セントで販売されました。そしていかにも荒っぽい手法かのように思えた強攻策であったにも関わらず、実際にはまったく何の問題も起きませんでした。
 これに永久保証という新しい運用制度が加わったのが普及に拍車をかけました。これも例えて言いますと仮に販売当初80円だったとします。料金値上げで90円になったとしても、第1種用25gまでの郵便物に貼って使う限り、差額の10円は支払わなくても良い、としたのです。つまり80円分の金券ではなく、あくまでも「該当する種別の郵便物を差し出す権利」を永久に保証するという考え方です。これも料金値上げ時に威力を発揮します。値上げの1〜2ヶ月前に買い溜めしておけば値上げ後はその分割安になります。世界中どこでも公共料金は一般的に値上りするものですから、駆け込み需要を当て込んで切手を売ることができるのです。
 その結果、カナダでは2006年から「永久保証」を意味する商品名「PERMANENT STAMP」の頭文字の「P」とのみ表示した無額面・永久保証切手が発行されています。同様にアメリカも2007年から「Forever」(Forever Stampsの意)とのみ表示した普通切手を発行し、さらに2011年からはすべての記念切手がForeverになりました。

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 そしていよいよ本題、上図のモナコ切手です。これも額面が入っていません。切手は2000年に発行されたもので第1地帯と呼ぶEU圏内およびスイスあて20gまでの郵便物(日本のような封書、はがきの区別はありません)に使う切手です。それが発行後9年も後の2009年7月6日であるにもかかわらず1枚貼りで使われていることこそが重要な意味を持っています。従来の伝統郵趣では切手が発行されておおむね3ヶ月以内の使用を初期使用例と呼んで重宝していましたが、こと無額面・永久保証切手ではまったく逆で、より後年の使用例の方が意義深いのです。
 下図のように2000年以降も数年おきにデザインを少しずつ変えた無額面・永久保証切手を出しています。それぞれの券種についても1枚貼り使用例が欲しいところですが、はい、まったく焦る必要はありませんね。使われた時期が遅ければ遅いほど意味があるのですから。

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※関連記事:左欄CATEGORIESの「永久保証切手」「無額面切手」をクリックしてください。


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