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July 09, 2012

原水爆禁止切手の発行運動シール(1)

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 2012年7月28日の第5回ファンタスティック・スタンプクラブ(FSC)例会で切手型シールをはじめとした官製模造などのオフィシャル・レプリカ類等についてお話しします。その予備知識として有名なアイテムをいくつかご紹介しておきたいと思います。その第1回目は有名な「原水爆切手の発行運動シール」です。
 これは由緒、身元がはっきりしています。1946年の創設からわずか9年目、揺籃期にあった日本郵趣協会が、と言うより当時の水原明窓理事長の極めて強力なイニシアチブによって世に送り出されたものです。その経緯は「日本郵趣協会四十年の歩み」のP.21に詳しく記録されています(1986年12月25日・財団法人日本郵趣協会発行)。以下、抜粋引用。

 1955年に第1回の原水禁世界大会がひらかれるということで、各地で原水禁運動が盛んになっていた。そういう情勢の中、1954年11月に東京で原水爆禁止切手発行運動促進準備会が結成された。このニュースを知った水原理事長は、積極的に参加し、切手発行にむけて強力な運動を展開した。
 切手発行の手順として、衆議院の通信委員会における請願を第一目標とした。請願を受けた逓信委員会は、この件についての審議を5月に行い、審議のやりとりは『郵趣』7月号でくわしく報告された。議員の中には切手発行に賛成するものも多かったが、郵務当局は反対の態度をとり、結局、切手発行は否決された。
 そこでつぎの目標を、シール発行による宣伝活動におき、8月に完成したシールは協会を通じても配布された。このシールは「あれから10年」特集号の1955年8月号の表紙を飾った。
 原水爆禁止切手は、それ以後も発行されず、その意味では、この運動は敗北であった。(以下省略)

 銘は東京都千代田区神田一ツ橋教育会館 原水爆禁止切手発行運動促進準備会。デザインは切手のデザインでも有名な山野内孝夫、製造は大日本印刷株式会社。目打、裏糊もある当時としてはかなりしっかりしたものです。発行日は1955(昭和30年)年8月4日、1シート10円で10万シートを売り捌いたとあるので当時のお金で100万円にもなるわけで、なかなかどうして立派な金額ではあります。
 後に原水禁運動が分裂していったように、イデオロギー上の問題から容易に反米運動に転化しかねない危惧を抱いていた政府サイドが、原水爆禁止切手など発行するわけがないことはおよそ察しがつこうというものです。また、仮に発行されたとしてもどれほどの実効性があったものかも疑問です。
 TVの地上波放送が始まってまだ数年という段階では、こうしたPRシールが情報伝達メディアとしての郵便に乗って伝播する力への期待が大きかったのかもしれません。しかし、申し訳ないことですが、今の感覚では茶番としか思えないのは正直なところです。

 有名な割にこのシールは有り余るほど目にした、というわけではありません。自分も1シート1,000円を払って購入しました。封筒の封かん紙がわりに使うなどの使用例に至ってはまったく見たことすらありません。未使用シールに限っては、高齢収集家の死去に伴って再び郵趣市場に還流されるかもしれませんが、これもまた未知数です。

関連記事:原水爆禁止切手の発行運動シール(2)

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