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May 21, 2012

ギリシャ切手の異変

2012052101

 ギリシャの経済危機がいよいよ正念場を迎えようとしています。ユーロ圏からの離脱もやむなしとの極端な論調も出る始末で目が離せません。郵趣はそのような政治経済の動きを反映します。その多くは切手やカバー上に世の中の動きの痕跡が残されるといったもので、いわば「後追い」です。しかし、変化の前兆が現れることも珍しくなく、要は私たちが気が付いていないだけです。ギリシャの場合もそうだと感じています。
 私がギリシャ切手の異変に気付いたのは2004年のアテネオリンピックの頃です。実際はもっと早い時期から変化が起きていたのかもしれません。それは、新切手の価格が異様に高かったことです。ユーロ表記ですから他のユーロ導入国と簡単に見比べることができました。外国の新切手取り次ぎディーラーさんの値段を調べても同じで額面の何倍もしていました。いくらなんでも発行されて間もない新切手でこれはないでしょう。
 そしてなぜか金箔・銀箔押しの豪華な切手が激増し、と同時にますます日本に輸入されなくなってきたと感じたのが2007年頃です。郵趣誌の担当連載記事で扱いたいと思った切手もあったのですが、入荷量が極めて少なく世界新切手ニューズ欄にすら掲載されない券種が多発したため、やむなく没にしたものも2〜3あります。
 極めつけが2008年5月に発行された上図の修道院シリーズ第1集5種です。切手の文字部分、耳紙の紋章部分などが金箔押しで発行枚数はわずか5万セット。しかもそのうち12,000セットがFDC用に使われたため、未使用はわずか38,000セットしかありません。これは現地のディーラーさんに直接聞いた数値です。どうしてこんな限定数発行なのかと聞きましたが、さすがにそれ以上は知らないという返事でした。郵趣サービス社さんは取り扱わず。アメリカの新切手取り次ぎディーラーさんで約$29。最も安かったところで$20、日本円で2,200円もしました。額面合計はたったの7.70ユーロしかないのにです。
 さしあたって第一発目だけは確実に押さえておき、後続券は余裕がある時に買えばいいという収集哲学に従い、これ以後のギリシャ新切手は一切買っていません(データだけは記録しています)。2009年11月にアイスランドが破綻した時など、たとえ新切手でも米ドル建てであれば無茶苦茶安く買えたことを思えば明らかに不自然です。いずれ暴落するだろうから買うのはその時でいいと考えてのことです。
 新切手なのになぜ額面の数倍もするのか、その理由はいまだ不明です。同国の公務員体質のひどさが伝えられている昨今、ひょっとすると一部官吏のよからぬ工作が介在しているのかもしれません。いずれ明らかになる日が来ることを期待したいと思います。

 さて、今さらユーロをやめて昔のドラクマに戻ろうったって話はそう簡単ではありません。信用も裏付けもありませんからたちまちハイパーインフレに見舞われることは必至。切手印刷でも有名なイギリスのデ・ラ・ルー社がドラクマ紙幣の再発行を検討しているとも伝えられていますが、発行してすぐに紙クズになりかねないものを一体どうする気でしょう。
 あるいは暫定的にユーロとドラクマを併記する二重通貨も可能性がありましょう。下図は2002年1月1日のユーロ導入を控え、1999年から2001年の3年間のみ実施された二重通貨併用時期のオーストリアの切手付き封筒です。この頃は未来への明るい期待が優位で、まさかわずか10余年後にユーロ通貨圏から離脱(脱落)しかねない国が現れるなどとは思いもよらなかったに違いありません。

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 なお、これはシリング(13)とユーロ(0.94)を併記したオーストリア唯一の切手付き封筒です。ウィーン・チューリッヒ間初飛行75年の記念印が押されています。日付は1999.4.23です。

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