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December 03, 2011

こてこて加刷

11120301 これを目にした時、こんなにテキトーにやっちゃって問題にならないんだろうかといぶかしく思いました。2006年発行のフィリピン・イギリス外交関係60周年記念切手です。1984年既発行「船」4種のうち1種(p7.20)に記念銘と新額面p26を青色の金属箔押しで加刷しただけの安直なものです。同じ年にフィリピン・日本友好年と題する外交関係50年を祝う立派な記念切手2種と小型シートを発行しており、余計なお世話とは言え、あまりにも差があり過ぎです。
 フィリピンの切手発行ポリシーは柔軟といったものではなく、失礼ながらいい加減な印象が極めて強いです。収集家目当ての外貨稼ぎのための濫発ならば、不健全とは言えども意味はわかります。しかし、今どき加刷なんて手間と経費がかかるばかりでロクにもうかりません。ちゃっちゃと新切手をしつらえた方がはるかに安上がりです。何らかの別の理由があったとしか思えません。
 その目線でフィリピン切手を眺めてみますと、戦後に限ったことですが、安易な加刷対応が目立ちます。その中でも極めつけをご紹介します。ガールスカウト45年記念切手の初日カバーです。

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 順を追ってご説明します。まず最初に「ミュンヘンオリンピック(1972.11.15)」10c切手へ15c改値加刷して「モントリオールオリンピック(1976.7.30)」としました。次に1985年、さらに金インクで加刷および2.40P, 4.20P, 7.20Pに改値して「ガールスカウト45年」記念切手としたものです。13年かけて2回加刷の重ね刷りをした結果、汚らしいだけで何がなんだかわからなくなってしまいました。ここまでぐちゃぐちゃなのは珍しいと思います。切手単体でもファンキーなのに初日印がまた変わっています。表示のど真ん中に「SURCHARGED」と大きく表示しています。翻訳すると「加刷済」という意味で、マニラ中央郵便局ともあろうものが、わざわざこんなことを初日記念印に入れるなんてどういうことでしょうね。
 私は面白いと思うのですが、やはり世間一般では見向きもされないのでしょう、処分値で叩き売りされていたので残りの在庫4通をまとめ買いしました。フィリピンのお国柄と気候ゆえにカバーの状態に差があるのを承知された上でのことでしたらおすそ分けします(状態の良い方から500〜350円くらいになります)。

 なお、郵趣用語では昔も今も「加刷」と言いますが、既発行券種に文字通り加刷することは確実に減ってきています。少なくとも日本では台切手から全部刷り直しています。昆虫シリーズのオーダーキャンセル(面白切手帳・1989)、戦後50年メモリアル第5集・手塚治虫のオーダーキャンセル(戦後50年メモリアルアルバム・1998)ともそうです。本当に加刷していると思っている人が少なからずいますのであえて記しておきます。それもベテランの域にある方に多いので。
 今はロール状の切手用紙に印刷、目打を施して断裁する輪転印刷機が主流です。一方、あらかじめ規格のサイズに断裁された紙に1枚ずつ印刷するのは枚葉印刷機と言います。一般のコピー機などがそうで、数百万枚以上の大量印刷には向かないのはおわかりでしょう。製造済の切手シートはソリがあって位置合わせしづらく、目打穴も穿孔済で機械にひっかかる危険が大きいです。先進国のわが国が、そんな厄介な媒体相手に1枚ずつ加刷するなんて非能率なことをするわけがありません。それ以前に枚葉機はとっくの昔に廃棄されて切手印刷所にはありません。もちろん、いったん配給したものを回収して別の用途に転用する経理的な問題が一番の問題です。こんなことが会計検査に通るわけがありません。
 昔ながらの本当の加刷をやっているのは、製造量が50〜100万枚以下の少量で済む規模の小さな国、枚葉印刷機を使っている国、作業する職員・職人の人件費が安い国だけです。

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