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October 20, 2010

第一回国民体育大会記念切手?

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 国体の記念切手は第二回大会から発行されています。そう、第一回切手は存在しません。切手投機を仕組んだ挙げ句に潰えたことで有名な、かの悪名高き切手経済社が作った知る人ぞ知るボーガスです。今でも単片状に切り離したバラ物が雑品扱いされている場面を目にしますが、先日のスタンプショウ博多2010で完全セットを入手しました。第一回から五回までのボーガスとともに、説明文(今となってはお笑い草でしかない内容ですが)を印刷した紙と銘入りポリ袋まで揃った完全セットです。

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 こうして並べてみると印刷は当時としてはまあまあ、紙質も中程度ですが用紙の断裁がめちゃくちゃですね。製造コストを安く抑えるために面付けした大判シートの状態で印刷屋さんから引き取り、断裁を自前でやった可能性を濃厚に感じます。事務用の手動断裁機は当時からあましたし、素人でもできるだろうとタカを括って自分で切ろうとする人は今でもいます。しかし、水平垂直を正確に出して切る、それも全く同じサイズで大量に切るのは慣れないとかなり困難です。割増料金を出しても断裁機で機械断裁しないと効率と歩留まりが悪く、かえって高くつくのも今も同じです。
 なお、目打は印刷で実際に穿孔はされていませんし裏糊もありません。また、後学のために改行位置もそっくり同じで以下に全文をテキスト化しておきます。

《切手経済社製模造切手シリーズ》
第1回〜第5回国民体育大会
■日本の記念・特殊切手を全部集めると現在約600種程
 あり、1965年版のカタログ値段の合計が約36万円程に
 なります。この中には時価数千円以上もする高価な切
 手が沢山あり毎年3割から5割も値上りしています。
■しかしこういった高価な切手はなかなか手が出ないも
 ので、一般には高嶺の花とされています。
 切手経済社ではかねてよりこれらの高価な切手を本物
 と同じ高級グラビア印刷を使い精密に模刻複製して安
 価に御提供して収集家の皆様に喜ばれております。
■今度発売しました国体切手シリーズは第2回より第5
 回迄の国体切手の外に、国体は行われながらも記念切
 手は発行されなかった第1回国体の架空の切手を作り
 ました。この年は昭和21年で当時の手紙料金は30銭で
 したのでその様に原画が作られました。実在はしない
 幽霊切手ですが収集家の皆さまには何かと話題を御提
 供するものと思います。
■御参考までに本物の切手カタログ値段を記しますと
 次の通りです。2回国体4種1組1,800円、3回国体
 4種1組2,000円、4回国体4種1組1,200円、5回
 国体4種1組6,000円《何れも1965年カタログ値》で
 す。

(引用おわり)
 1965年版のカタログ云々とありますので、これらが作られたのは1964〜65年(昭39〜40)頃と推定されます。東京オリンピックの切手ブームの時期と一致しますので、スポーツ図案の模造も便乗需要があると踏んだのでしょう。
 営業職はいい加減だったり言葉に誇張があるのは珍しいことではありませんね。ウソも多少は良い意味で必要です。売ろうとする商品について、買う側がひとときでもドリームを抱く方向に誘導するのは技術的にも必要です。後にいくほど句点がなくなる傾向が明りょうなこと、そして「皆様」と「皆さま」の混在といった語彙に対する若干の無神経ぶりに、そんな営業肌気質を感じます。それゆえ、最初の項目にある値上り率はウソに近い大袈裟記述なので特に注意してください。
 切手投機の方向にさえ行かなければ立派な仕事ができたでありましょうに実にもったいないことです。切手経済社が"切手は値上りして儲かる"との神話的迷信を流布し、その結果、日本のフィラテリーにどれほど大きなマイナスを及ぼしたか計り知れません。

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Comments

疑問なのですが、当時は、郵便切手類模造等取締法に相当するような法律はなかったんですかね?

Posted by: 739163 | October 23, 2010 10:00 AM

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