個人情報の取り扱いについて(3)
行政事務上の通知書はある意味もっとも難しい事例だと言えます。日本伝統郵趣における使用例は、郵趣家が意図的に作成したものではないナチュラルなものを優先する考え方が基本となっています。ここにある「労働者災害補償保険 支給決定・支払通知書」は、郵趣家が作るなどという余地は全くないわけですから、コレクターズ・アイテムとしてはもっともふさわしいものです。おまけに2ヶ月強しかなかったはがき30円料金時代の金色堂30円切手単貼り使用例ですからスタンダードに評価されるものでもあります。
ただし、本例のように企業倒産・廃業等に伴って、予期せず郵趣市場に持ち込まれた場合、個人情報保護の観点からどのように扱うか、少なくとも切手展や出版物、ホームページ、ブログなどの図版では自主的にふさわしい対処を講じ、郵趣界以外からの強制的措置を受けないようにする努力が必要ですね。これも30年近く昔のものですが、モザイクなしで全面公開できるに十分な時間が経過したという感覚はまだないです。
その(2)でも軽く触れましたが、これら行政事務文書・通知書が、個人情報保護法施行後に郵便はがきから別のフォーマットに変えられたものは、その理由とともに調査しておくべきではないでしょうか。国や地方公共団体ごとにガイドラインがありましょうから、公務員の多い郵趣界であればなおさら有志による研究を期待します。各文書の性格や経過年数等の組み合わせによって合理的な自主規制方法が導き出されると思います。それこそ公務員郵趣家さんならばお得意なタスクのはずです。
(消印データ:守口81.1.27)
Comments