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August 2009

August 23, 2009

「オーストラリアの公園と庭」特別版FDC

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 郵趣誌の世界新切手ニューズは、ごく一部を除いて公式FDCの類は掲載されませんので、興味深いアイテムはできるだけ本ブログですくい上げたいと思っています。上図もそんなもののひとつです。
 オーストラリアが2009年7月14日に「Australian Parks and Gardens(オーストラリアの公園と庭)」と題する5種セットの切手を発行しました。切手そのものは特に記するべきこともないフツーの切手なんですが、15,000部限定発行の特別版公式FDC(Prestige FDC)がたいへん面白いのです。
 カバー表面左側に二つ折りのギフトカードが貼り付けられています。ゲル糊で仮止めしてあるだけなので、そっと剥がすときれいに取りはずすことができました。このギフトカードが技物でして、ブラシノキ(Callistemon citrius)の種子を含んだ100%再生紙でできています。ゆえにこれを植えると発芽・成長するというのです。
 植物を用いた異物混入・添付アイテムは、2007年にオランダが発行した「フラワーギフト(母の日)」が知られています。おそらくそれが世界最初で、本件がそれに続く2番目だと思います。そして実際にギフトカードを開くと、このように使い方が記されています。

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PLANT THIS CARD AND WATCH IT GROW
Planting instructions: Soak card in water until soft.
Place card on seed raising mix (in pot or in ground).
Lightly cover with more mix, water and keep moist.
Germination should take 7-21 days.

このカードを植えて芽を出す植物の成長を観察しましょう
植え方:柔らかくなるまでこのカードを水に漬けてください。
カードを鉢か土に植えてください。
軽く土をかけて水をやり乾燥させないようにしてください。
芽が出るまで7〜21日(一週間から三週間)かかります。

 環境にやさしいイマドキの郵趣アイテムであると、そう話は単純ではありません。オーストラリア郵政はこのPrestige FDCを売ってくれないのです。その理由は"Due to quarantine restrictions sales of this cover are not available outside Australia."つまり、植物検疫上の問題があるので国外には販売いたしません、というのです。種子を混ぜているため一歩間違えれば他の国の植生を脅かす反環境郵趣品となりかねないシロモノなのだと。どうする!、環境郵趣切手コレクターたちよ!。

 ところがよくよく調べてみましたところ、ブラシノキはとっくに日本に持ち込まれていました。細かい品種の違いはあるのかもしれませんが、さんざん植えられているので、オーストラリアの立場はともかく、日本サイドは「何を今さら」の気がします。これ以上の詳細は、植物切手の専門収集家さんにお任せすることにしましょう。
 なお、記念印は青色の金属箔押し(ホット・スタンプ)式でした。

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August 22, 2009

アラン・ビーン氏直筆サイン入りFDC

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 郵趣8月号でご紹介したNASAの元宇宙飛行士アラン・ビーン氏画のマン島切手「月面着陸40年」の公式FDCがやっと届きました。ただし、これはアラン氏の直筆サインが入った限定750部の特別版で私のは236番でした。
 そして特別版らしく記念銘と記念印(消印)が金箔押し加工でした。この手のプレステージ・ヴァージョンへの金属箔押し式消印がヨーロッパ地域で徐々に流行りそうな予感がします。
 

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August 20, 2009

優秀なマンガおたくの人材が必要

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 私たち郵趣家(切手収集家)も「切手マニア」などと呼ばれることに強い抵抗感を覚えるので、「マンガおたく」という表現に同様の反感を買ってしまうかもしれません。それも私自身の知識の無さゆえのこと(後述)であると、ひとまず棚上げして話を聞いていただきたく存じます。

 来る2009年10月6日、オーストラリアが「LET'S GET ACTIVE!」と題する6種セットの切手を発行します(上図)。勘の良い人ならすぐにピンとくることでしょう、そうです、日本漫画風イラストレーションのデザインです。同郵政の郵趣広報誌Stamp Bulletin 300号によりますと、Japanese manga comics and animationに強い影響を受けたJames Hartさんの作品ですと、はっきりインフォメーションされています。
 これ以外にも昨年ベルギーで、日本人の女性電気技師という設定の漫画「ヨーコ・ツノ」が切手になっています。これも作者は日本人ではなく、日本漫画にインスパイアされた同国の漫画家Roger Leloupさんです。
 さらにJapanese Styleの漫画は韓国では山ほど切手になっていますし、アジアはもちろんのこと、全世界で切手採用の動きが加速しています。
 私たち日本人が気付かないうちに日本漫画風図案の切手が地球規模でじゃんじゃん発行されるようになるのは時間の問題のようです。さりながら、今の日本にはこの分野に強い郵趣家がひとりもいません。私もかろうじてガンダム位はわかりますが、仮面ライダーもわかるのは2号まで。えばんげりおんとやらになるともうさっぱり。自分自身も多少は絵に関係のある職業(工業デザイン)で、漫画家のイトコもいますが、やはり研究者となるとぜんぜんあてになりません。 レベルが違い過ぎます。
 日本製の漫画やアニメが輸出されるだけの時代は過ぎ、今はそれらに影響を受けた各国の漫画家、アーティストによるJapanese Style Artが続々と産み出されています。ですからファンタスティックな郵趣文化の将来を考えれば、どうしてもこの分野に強い人材が必要なのです。鳥獣戯画から浮世絵、北斎漫画、現代のアニメ、そして全世界へと、時間と空間を超えて広がるテーマであり、絵画切手、ジャポニカ切手などにおいて極めて重要なカテゴリを形成するものです。
 現時点でもすでに漫画本を読む姿を描いた切手、ベルギーの漫画センターを題材にした切手など、非常にコアなアイテムも発行されています。私も全面的に支援する気持ちでおります。どなたか若くて優秀な生粋のマンガおたくの中で、このジャンルを請け負いましょう!という人はいませんでしょうか。改めて言うまでもなく、このジャンルの第一人者になることが約束されたようなものなのですが。

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↑世界最初の漫画切手(無目打・田型)。ブラジル・1949年6月18日発行。戦闘帽をかぶり楯を持った鳥を描く航空隊のマーク。

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August 16, 2009

現代郵趣

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 寝屋川のスダニくんから「北陸郵趣」紙2009年8月号(通算678号)が送られてきました。全日本切手展2009に出品した作品「奥の細道シリーズ」についての解説が掲載されたので寄贈してくれたのです。実際に同展会場で作品をご覧になった方も多いことと思います。ずいぶん新しい時代の切手を出すなあと漠然と感じてはいましたが、要はそれこそが彼の視線の面白さであったわけです。かの文章の一部を引用すると

 『切手展出品と言うと、古い切手ばかりが評価されて、新しい切手は出品しても評価されない。意味が無いと思っていらっしゃる方が多いと思いますが、そんなことはありません。最近の日本切手でもそれなりに纏めましたらそれなりの評価は得られると思います。』

 なるほど!

 その実例として意図的に新しい記念・特殊切手をテーマとして選定したのが「奥の細道シリーズ」であると論は続きます。このシリーズは『連刷が豊富なばかりでなく、小型シートも数多い』と、その特徴を語り、かつ、それに応じた作品構成で展開された抜粋リーフが紙面に紹介掲載されています。

 なるほど! なるほど!

 とりわけ目を引いたのは連刷の形についてです。正連刷に対して逆連刷はどのジャンルにおいても好まれないため非常に少ないと。その少ない逆連刷で消印の読める使用済をすべて揃えて見せているあたりにセンスの良さを痛感します。
 上図も昔、ミクスチャーだったか貼込帳だったかで入手した熊本・甲佐局の試行印が押された逆連刷です。かろうじてこのあたりまでは私も日本伝統郵趣的手法で収集していたのです。結局そのまま手つかずなんですが、それを体系化して見せたスダニくんの手腕は面白いなあ。

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 デジタル技術を駆使して原画作成から製版、印刷まですべての工程を行い、徹底した品質管理で滅多なことではエラーが世に出ることもない超一流の高品質を誇る現在の日本切手。以前、某審査員さんが「現行切手は未使用とみほんと銘版付きを並べて、それで製造面の分類は終りだなんて、いくらなんでもそれはないでしょう」と言われたことを思い出します。しかし、現実にそうなっています。目打の変化もなし、アメリカやカナダのように耳紙に版番号が表示されているわけでもなければ、みほんもとっくの昔に廃止され、事故でもない限り定常変種すら発生しえません。
 これをクラッチ製版だとか粗版の組み合わせだとか、今時の街のチラシ印刷屋さんでさえやっていないようなプリミティブな製版・印刷方法の研究を、あたかも郵趣の本道かのようにありがたがっている感性では現在の日本切手収集の指針にはなりえません。何100万枚と発行された切手シートがすべて同一品質であり、それで製造面分類を何リーフも展開せよと要求するなら実際にやって見せてみろという反発もわかります。
 かといって満月消の羅列が肯定されるとも思いません。消印が読めることの意義は、局名や年月日によって使用状況を知る手がかりのひとつになるからですが、これも昔の古い郵趣理論によるものです。今では植民地があるわけでもないので、例えば北海道で使われようが沖縄で使われようが使用例としての意義に違いはありません。強いて言えば局名より年号の持つ意味の方が重要です。それもカバー、エンタイアの完璧性には及びません。
 しかし、消印収集はそれ自体が楽しいものであることも知っていますので、これを日本独特の伝統郵趣手法とどうマッチングさせるか、国際標準との整合性をどうするか、それは切手展審査員の皆さんでよく相談して例示してくださいな、という以外にありませんね。

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 日本に限らず、単色オフセット印刷しかできないような極端に遅れた切手発行国は確実に減ってきています。自国でできなければ外国に発注すればいいし、その費用も国際協力による資金援助を充てれば良いと。国力に似つかわしくない立派な切手が多いのはそのためです。
 そんな、以前には考えられなかったような時代になりましたので、現代郵趣の新しい収集方法(フォーマット)を作っていかねばならない面白い時代になりました。スダニ作品は、伝統的な手法を採る形でいながら、そんな新しい体系の萌芽を感じさせるものがあります。

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↑私も奥の細道シリーズは、小型シートの切り抜き使用だの何のと集めていたんですが・・・・・

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August 12, 2009

タタールの軛(くびき)

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 コレクションを整理していたら、またまたこんなものが出てきました。1996年8月、(財)日本郵趣協会から派遣された日本・モンゴルジュニア親善訪問団の団長であったDOCTORイノウエくんから送られてきた実逓カバーです。貼られている切手にはこれまた面白いストーリーがあります。

 1962年7月20日、モンゴル郵政は図の4種のチンギス・ハーン誕生800年記念切手を発行しました。いかにモンゴルの英雄とは言え、当時はソ連の衛星国としての社会主義国家の時代です。ロシア史上でも200年間にも及ぶタタールの軛(くびき)、その張本人であるチンギスの切手を出したモンゴルの無神経ってのは凄いね。
 案の定、ソ連からえらく不評を買ってしまい早々に発売中止。この事件が直接の原因となり、以後、チンギスはタブーとされてしまいました。やがて時が経ち、1989年に始まった民主化の動きと連動し、郵政当局が保管していた切手に”CHINGGIS KHAN CROWNATION 1189”の文字を黒加刷し、チンギス・ハーン即位800年記念切手として1万組のみ発行されたりもしました。
 上図の実逓カバーは、訪問団メンバーが同国の郵趣家たちとの交流会での切手交換で入手したセットを貼って送ってくれたものです。実に36年後使用の郵趣家便とは言え、非常に貴重な実逓カバーであることに変わりはありません。これら訪問団が作成したカバー類はいずれも丁寧に消印され、きちんと日本に送り届けられるように、なんと!、その時の郵政大臣に差出しを直接お願いしたということです。最高水準のフィラテリック・メールにして、これほどまでにはっきりした由緒であればこそ高い信頼性もあるというものです。

 あれから13年、訪問団のジュニアたちもすっかり三十路のオッサンになっております。もう公開しても良い頃合いだと思いましたので、ここに初公開いたします。

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