「オーストラリアの公園と庭」特別版FDC
郵趣誌の世界新切手ニューズは、ごく一部を除いて公式FDCの類は掲載されませんので、興味深いアイテムはできるだけ本ブログですくい上げたいと思っています。上図もそんなもののひとつです。
オーストラリアが2009年7月14日に「Australian Parks and Gardens(オーストラリアの公園と庭)」と題する5種セットの切手を発行しました。切手そのものは特に記するべきこともないフツーの切手なんですが、15,000部限定発行の特別版公式FDC(Prestige FDC)がたいへん面白いのです。
カバー表面左側に二つ折りのギフトカードが貼り付けられています。ゲル糊で仮止めしてあるだけなので、そっと剥がすときれいに取りはずすことができました。このギフトカードが技物でして、ブラシノキ(Callistemon citrius)の種子を含んだ100%再生紙でできています。ゆえにこれを植えると発芽・成長するというのです。
植物を用いた異物混入・添付アイテムは、2007年にオランダが発行した「フラワーギフト(母の日)」が知られています。おそらくそれが世界最初で、本件がそれに続く2番目だと思います。そして実際にギフトカードを開くと、このように使い方が記されています。
PLANT THIS CARD AND WATCH IT GROW
Planting instructions: Soak card in water until soft.
Place card on seed raising mix (in pot or in ground).
Lightly cover with more mix, water and keep moist.
Germination should take 7-21 days.
このカードを植えて芽を出す植物の成長を観察しましょう
植え方:柔らかくなるまでこのカードを水に漬けてください。
カードを鉢か土に植えてください。
軽く土をかけて水をやり乾燥させないようにしてください。
芽が出るまで7〜21日(一週間から三週間)かかります。
環境にやさしいイマドキの郵趣アイテムであると、そう話は単純ではありません。オーストラリア郵政はこのPrestige FDCを売ってくれないのです。その理由は"Due to quarantine restrictions sales of this cover are not available outside Australia."つまり、植物検疫上の問題があるので国外には販売いたしません、というのです。種子を混ぜているため一歩間違えれば他の国の植生を脅かす反環境郵趣品となりかねないシロモノなのだと。どうする!、環境郵趣切手コレクターたちよ!。
ところがよくよく調べてみましたところ、ブラシノキはとっくに日本に持ち込まれていました。細かい品種の違いはあるのかもしれませんが、さんざん植えられているので、オーストラリアの立場はともかく、日本サイドは「何を今さら」の気がします。これ以上の詳細は、植物切手の専門収集家さんにお任せすることにしましょう。
なお、記念印は青色の金属箔押し(ホット・スタンプ)式でした。
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