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January 18, 2009

切手が伝える視覚障害

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 表題の郵趣文献を著者の大沢秀雄さんからご寄贈いただきましたのでさっそくご紹介いたします。彩流社の5冊目の「切手で知ろうシリーズ」になります。JAPEX'08の時の大沢さんのご講演を思い出しながら一気に目を通しました。当たり前のことですがオールカラー本というのはいいですね。HYPER Philatelistにとって得難いネタのてんこ盛りです。表紙カバー上部に、実際に点字で「キッテ」と打たれているのも芸が細かい。こういうの好き(笑)。
 下記でインターネット購入できますのでリンクを設定しておきます。

■彩流社 切手が伝える視覚障害

 せっかくですから点字エンボス以外の特殊加工について記しておきます。印刷物の表面に凸部を形成すること、その総称を「エンボス」と言います。伝統的に金属製の凸形状版を紙の裏から押し当てる工法が主流でした。それが近年に至り、樹脂系の盛り上げ印刷なども登場し、これも広義にはエンボスのひとつです。つまり工程・工法が問題なのではないということです。まず、この基本認識を頭に入れておいてください。

【エンボスとデボス】
 そこから一歩踏み込んで、郵趣の世界では裏からプレスするのをエンボス、表からプレスするのをデボスと言って区別するようになりました。いずれも金属金型(ロール版等)が使われます。エンボスもデボスも成果品の見た目上の明瞭な違いが少ないことから、区別しない考え方もあります。私の場合も、発行元がデボス加工であると正式にインフォメーションしたものに限って区別しています。

【凹版切手】
 もともと凹版用インクはそれ自体の粘度が高く、高い圧力をかけるために"結果的"に盛り上がった仕上がりになります。下図左の「ハンガリー難民支援寄附金付き加刷」(ドミニカ共和国/1957)がそれで、赤版の加刷マークと寄附金表記が盛り上がっています。その下は同切手の裏面で、高い圧力の結果くっきりと押圧痕があります。日本の船シリーズでも盛り上がった凹版用インクを体感できますので指先で触れてみてください。ただし、これら凹版を盛り上げ印刷とは看做さないのが普通で、私もその理解で良いと思います。

【発泡インク】
 印刷後に膨らんで固化するもので、これは切手の世界では私はまだ見たことがありません。ただし、民生印刷物では以前からある工法なので、いつ何時、切手に使われても不思議ではありませんので一応取り上げておきます。

【透明樹脂】
 これが今、盛り上げ印刷と呼ばれているものの主流です。特に多いのが現Phil@poste(旧ITVF)製の仏領ポリネシア切手、仏カルトール社製のその他各国切手などがあります。その特徴はプレスして凸形状を形成するわけではないので、切手裏面に押圧痕がないことです。これがエンボス、デボス加工と大きく異なる点です。ただし、これも加工面積が広いと表面ニス塗りとどこが違うのか、厚みの違いだけでどこまで判別可能か(判別する意味自体があるのか)といった不確定要素があります。これらは今後の検討課題です。
 なお、この技術自体は意外な古切手に登場しています。かの悪名高いアラブ土侯国ラスアルカイマに見ることができます。下図右の「日本鉄道100年」(1971)の図柄すべてが暗青緑色の樹脂インクによる盛り上げ印刷です。図版の通り裏面の押圧痕もありません。往時のパケットにもさんざん紛れ込んでいた安切手ながら私が確認した最古例です。翌1972年の札幌オリンピック便乗切手にも同じ技術が使われているものの、アラブ土侯国だけに当時の技術情報がわからないのが悔やまれます。
 その後、1990年代まで空白期が続いているので、技術的な継続性があるのかどうかも未解明です。

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Comments

こんにちは。荒牧です。
1960年代の盛り上げ印刷切手を見つけました。発行国は意外にも「トルコ」です。
詳しくは私のブログ(aramaki.com)にて紹介しています。(URLを載せると、ブログのSPAM防止システムにひっかかるので載せていません。ご不便をおかけします。)

Posted by: 荒牧 | March 24, 2009 at 11:12 AM

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