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April 13, 2008

デジタルコードの新しいムーブメント

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 郵趣4月号P.68を参照ください。フィンランドが発行した「ヘルシンキ工科大学100年」と「バレンタイン/ハート」の2種の小型シートとも、シート地にUpcode(アップコード)という見慣れないデジタルコードが表示されています(上はその拡大図)。Upcodeは誌面の説明通り、携帯電話のカメラなどで読み取るとインターネットに接続し切手の情報が得られるという機能を持っています。
 あるいはまた、郵趣2月号の私の連載記事(P.39)でご紹介しましたスイスの「インターネットへのリンク」切手に表示されているBeeTagg(ビー・タグ)もまた同じく、インターネットという別の媒体へ接続する機能を持っています(下図)。
 以上3件は郵便切手におけるデジタルコード利用の新しい方向性を示したもので、その点において特記すべきものと考えています。
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 従来からシートの耳紙や小型シートの地、つまりいわゆる「余白」部分にバーコードが表示されている例はありました。これは日本のスーパーなどでも実用化されているPOSシステムの一種で、切手の場合は売上・在庫管理といったごく基本的な管理システムとみなしてよいものです。
 その次に出て来たのは郵便物の区分に利用する目的のデジタルコードです。その代表例としては下図上段の「クリスマス切手」(カナダ・1986年)と同下段の「普通切手2種」(スイス・1993年)が挙げられます。前者はクリスマスメールを選別するために用いられたもので、若干の改良を加えられながらも1995年まで実用されました。太く黒々としたバーの列は、やはりクリスマスメールには似つかわしくない美観上の欠陥が感じられます。
 後者スイス切手も同様に郵便区分のためのものです。60サンチーム切手には長さ1mmほどの青い線が21本、80サンチーム切手には赤い線が23本、印面の右辺に等間隔で並んでいます。スイス切手の方がデザイン上の配慮が伺えます。
 さりながら、今となっては過渡期の技術であったようで、いずれも新世紀まで生き延びることはできませんでした。従来からある蛍光・燐光インクの技術向上などにより、美観を損なわず、新技術を利用するためのパテント料の支払いも不要といった方向に流れが変わって行きました。あるいはまた、全世界的に切手を貼った個人差し出しの信書郵便物が減っていることから、それを区分するためにしては対費用効果が評価されにくい側面もあろうかと思います。
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 簡単に要約しますと、郵便切手におけるデジタルコードの利用を歴史順に並べると、(1)売上・在庫管理→(2)郵便区分へと変遷してきました。その特徴は大量の郵便物を扱う先進国のみが必要としがちな技術で、特に郵便区分に関しては情報を読み取って活用するための機材(ハード)設備も欠かせないことから、世界的な潮流となるほどまでには成熟していませんし、しえないと思われます。かろうじて売上・在庫管理目的での使用が生き残っているくらいのもので、これは郵趣研究の側面からは一般的にそれほど魅力ある対象ではありません。
 そこへ冒頭のUpcodeとBeeTaggの話に戻ります。もうおわかりですね、個人が持つ携帯電話というミニマムなインフラしか必要としない利点があることを。そもそも携帯電話網は郵政当局が整備しなければならないインフラではないし、言わば既存インフラへ便乗する応用技術です。
 しかも興味深いことに、UpcodeもBeeTaggも日本の携帯電話では読めません。つまり、オープンなようで実は閉鎖的・排他的性格を持っているのですね。当該郵政のサービスエリア内のユーザーのみが利用できるようにコントロールできるフォーマットを使っています。この「囲い込み」技術がより精緻に行えるのであれば、むしろ郵便切手の別媒体(メディア)へのリンク機能以外にも様々な新しい機能が実用化される可能性があります。その点に非常に大きな関心を持っています。

 できることならデジタルコードに関してはパソコン、コンピュータ郵趣をしている専門コレクターさんたちがきちんとまとめて研究発表して欲しいです。どなたか手を挙げてはいただけないものでしょうか。

※興味のある方は郵趣4月号P.68を参照ください。
 または同号の見本誌はこちらから申し込めます(本文末を参照)。
 「バレンタイン/ハート」(フィンランド)はこちらを参照ください。
 「インターネットへのリンク」(スイス)はこちらを参照ください。

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