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September 12, 2004

昔も今もスピードが命

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 来る10月1日にゆうパックを核とした大幅な制度刷新が実施される予定だと日本郵政公社の生田総裁が講演で語っておられました。民間宅配業者との競争から、また配達時間のスピードアップが計られるようです。その努力と熱意はそれはそれとして、このたびの台風18号で数日間ライフラインが止まってしまったこともあり、改めていろいろ考えさせられました。本当にスピードは必要不可欠なものだろうか?、ということです。超特急で急ぐだの、どうしても今日中に必要だのと目を吊り上げたところで、天変地異には勝てないんだよねえ。台風なら遅れても仕方ないって諦めてみたところ、それで甚大な支障は結局何もなし。「〆切りぃ〜っ!」ってわめいてたご当人が、最初から余裕を持った納期を設定していさえすれば良かっただけじゃん!と底が割れましたね、ほんとに。つまり「アンタさえぎゃあぎゃあ言わなきゃ問題はなかった」ということです。隠していましたが実は私はイタリア人なので(うそ)多少ルーズな方がみんながハッピーになれていいんじゃない?、と思っている私です。ええ、人命や財産に悪影響がない限り、ホンネでは〆切りなんてどうでもいいと考えている私です。

 そんな脳天気な人種(私のことです)はお呼びでない、スピードは命だ!的な郵便制度の変革は戦後早い時期からありました。占領軍による郵便検閲(昭和24年10月26日まで)のために配達日数が余計にかかり、利用者の不満は爆発寸前。特に速達郵便制度への不信感をなんとか回復せねば、とのことで昭和23年10月26日に「特別速達」という制度がスタートしました。郵便局の窓口に差し出された速達郵便物については「特別速達」の朱印を押し、速達料金以外の特殊取扱料金の追加なしに他の郵便物に優先して取り扱うというものでした。最初は東京都区内・大阪市内間の速達郵便に限られていましたが、翌24年には全国の主要都市間便にも適用範囲が拡大されました。
 上に掲げましたのは名古屋・神戸市内間の使用例で、もともとは神戸に駐在していた外国人商社マンのコレクションに混入していたものです。この区間は昭和24年8月1日から昭和26年4月19日(制度廃止日)まで取り扱われました。封書の基本料金8円(20gまで)と速達料金20円の貼り合わせで、8円が普通切手ではなく1次文化人切手の野口英世が使われているところがちょっとおしゃれで気に入りました。宛先がMAERSK LINEとあるところを見ると船会社あてのようです。
 この特別速達制度も、夕方に郵便局に持ち込めば夜行列車に乗せて翌日の営業開始時間までに配達する「あかつき便」、さらに午前中に差し出せばその日のうちに配達する「即日速達」へと制度が変遷しました。しかし、そのいずれもが速達専用の夜間航空便が開設されるなどの交通インフラの拡充に伴って、いわゆる普通の(という表現も妙ですが)速達便に収斂されていきました。

 今秋の制度改革は一体どのようなものになるでしょうか。右のリンク欄にあります「SEVEN作成日記パート2」の斧田さんが9月9日付で記されていますように、サイズは大中小の段ボール箱3種に集約し、入れられるだけ入れて料金は全国均一というEXPACK的な体系にしてくれた方がいちばんありがたいですね。とにかく料金体系が複雑なのにウンザリするのは私も同感です。これにさらに「ぜんぜん急ぎません。一週間〜10日くらいかかってもかまいません」ゆうパック、なんてのも割引料金で作ってくれるとうれしいです。そう言えば先進国のうちで優先郵便(ファーストクラス)とそうでない郵便によって料金に差をつける制度を持っていないのは日本だけですね。

 はてさて、現代の郵便スピード競争はこれから先、いったいどうなることでしょう。

(上掲のカバー:名古屋港 25.9.28 后0-4)

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