« 新着切手から | Main | 気の早い切手 »

August 07, 2004

無額面切手流行のきっかけ

040807.gif

 無額面切手の歴史は意外と古く1850年代に一部の英領植民地で発行されています。ただし、その歴史は継続的なものではなく、中国内戦時期の悪性インフレに対応するために発行された「国内速達・書留用」表示無額面切手(1949)など、極めて例外的・散発的なものに過ぎませんでした。それが全世界的に広がるきっかけを作ったのが、今日ご紹介する3種のアメリカ切手です。
 左の2種は1975年に発行されたクリスマス切手です。一回の発行枚数が億を越えるアメリカのこと、郵便料金値上げの議会承認を待ってから印刷を始めたのでは発行に間に合わなかったため、やむを得ず無額面で発行されました。発行時は10セント切手として販売されました。
 引き続き1978年、またもや郵便料金の値上げが議会承認に手間取るという場面が起きましたが、アメリカ郵政は1975年の教訓から大胆なアイデアを導入しました。それが右端の通称「A切手」です。これは国内封書基本料金であることを意味し、実際には15セント切手として販売・使用されました。このA切手は何の混乱も起こさなかったため、以後、アメリカはB、C、D式に記号表示型の無額面切手を現在も発行し続けています。これが現在、全世界的に流行している無額面切手導入の直接のきっかけになりました。
 旧ソ連の崩壊後、東欧圏(旧共産圏)やNIS諸国では強烈なインフレに見舞われたことが直接の理由となって無額面切手の手法が使われました。また、大きな額面数字を表示しなくても済むデザイン上の利点、郵便料金が変わってもそのつど新切手を発行しなくても済むコスト上の利点も大いに着目され、今も無額面切手を採用する国々は増え続けています。現時点で無額面切手を採用しているのは、アイルランド、イギリス、イスラエル、オーランド、カナダ、コロンビア、ジブラルタル、シンガポール、スウェーデン、スペイン、スロベニア、中国香港、ナミビア、フィンランド、ブラジル、ベルギー、ラオスなどです。今世紀に入り、無額面切手はすっかり「ごく普通に見られるもの」に変わりました。日本にはまだないこの制度、特に新発行の外国切手には注意して観察してみてください。
(クリスマス切手2種1975年発行/購入参考価格:220円)
(A切手1978年発行/購入参考価格:110円)

|

« 新着切手から | Main | 気の早い切手 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/46050/1145636

Listed below are links to weblogs that reference 無額面切手流行のきっかけ:

« 新着切手から | Main | 気の早い切手 »