
アオヤマスタンプさんでこのオランダ領インド切手4枚を買いました。向かって左の縦2枚は普通の使用済、右の縦2枚は水剥がしの時にインクがはげちゃびんになってしまったもの。この時代(1940〜45)のチョーキーペーパーは水に浸け過ぎるとこうなりますよ!との解説付きでわずか120円でした。
アオヤマさんをとっつかまえて「なんすか、このチョーキーペーパーって?」と聞きましたら、「チョークだよ、ガッコで使う白墨のあのチョークね。石灰でできた紙の・・・・」の説明を遮るように私は濁点付きで「え”ーっ!」と口に出していました。驚いたのなんの!。
ほとんどの方は全く意味がわからないと思います。切手の印刷と石灰は一体何の関係があるのか?と。切手に限らず一般の水性インクを紙に印刷する場合、紙の表面に受理層というインクを受けとめる層が必要です。受理層がないとインクは紙に染み込むだけで不規則に拡散、あふれたインクはだらだら流れ落ちてしまいますし、定着せず水で滲んだりもします。
受理層はコーティング加工の際に形成されるのが一般的な製造工程で、その主成分がまさしく石灰です。高級印刷や精密印刷のジャンルでは、とりわけ受理層の果たす役割は重要で、石灰以外の多孔質成分に改良された現在でも基材の紙とコート層という積層構造は変わりません。
それが第二次世界大戦当時のオランダ、その植民地の普通切手になにげに使われていたとは、一体オランダという国は何なんだ?!と0.3秒くらいの間に脳裏をかけ巡ったのでした。
オランダは戦前からグラビア印刷を実用化しています。記念切手はもちろんのこと普通切手にも使われていまして、同時代の日本切手と比較するのも気後れするくらいです。もちろん、グラビア印刷だからいい、凸版印刷だからダメという安直なことを言っているのではありません。切手の印刷方式にはその国の工業力が現れていて、グラビア印刷の方が明らかに技術水準が上なのです。それは疑いようのない事実です。
この頃、日本でも第1次国立公園シリーズの発行が進んでいます、それもグラビア印刷で。郵趣誌でも素晴らしい出来ばえだの世界的にも人気があるだのという記事を目にしますが、ありていに言ってそれはちょっと言い過ぎ、身贔屓に過ぎるというものです。製版に使うグラビアスクリーンメッシュ自体が国産できずドイツから買っていたくらいですし、実際の刷り上がりも暗部から明部へのグラデーションの変化が必ずしもなだらかではありません。同時代のオランダ切手は刷り上がりにキレがあって明らかにレベルが上です。
グラビア印刷だけに限らず、オランダはこの当時から金属色インクを使っているなど、この他にも様々な驚きの技術が散見されます。わが日本国にはオランダ切手に明るい専門収集家さんはいらっしゃらないものでしょうか。世界的な視野でオランダ切手について教えを乞いたく思います。それこそがオランダ切手も日本切手についても八咫烏の役割を担ってくれるものと思います。
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